寺島隆吉 「英語教育」講義① | 女王様のブログ

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ある女性教師の日常のこと,悩みや課題を率直に書いた,ぶっちゃけ話。

寺島先生の講義



先生の講義は午前中は, 会場の参加者の質問に答える形で行われた。場所が変わっただけで,昨晩の飲み会の席と同じ形式であった。




先生が最初に述べられて印象的だったのが, 

自分自身の英語が日常で役に立っているのかどうなのか」ということを目の前にいる英語教師に問うていたこと。

英語を教えると言うこと以外で,私も含めてその場の人たちの誰一人として明確な答えを出せる人はいなかった。




先生は続ける。

子供たちが一体どこでつまずいているのかを知ることが大事である。」


知りたくさせるのが教師である。答えを出さない。」

以上は,どの教科の教師であれ,教師たる者の姿勢を端的に示されたことばだと思う。




私が先生にお聞きした質問は以下の通りだ。


「英語の指導法ばかりに着眼点が置かれた研修会やワークショップばかりで, 英語の本質についてはあまり語られることがないです。英語の教授法の研究に終始固執するのは英語の教師としては仕方ないことかもしれません。しかしながら,英語教師(学校の語学教師)になった場合, 英語教師としてのどうしょうもない壁があり, それはどうしても避けられないものであると私は考えます。今日は, 先生に英語教師の本質的な部分の話を率直にお聞かせ願いたいと思います。」





私はすでに, 先生の著書の中にその答えを発見していたのだが,未だ先生の著書を読まれていない周りの先生方に知らせたいという気持ちもあった。ほんの何時間かの間では語られることの出来ないものであるとは承知であったが,この日に集った心ある教員の方々の中にも,あまり自覚のない方がおられるかもしれないので, あえて上げさせていただいた。




先生の著書は, 英語教師を目指す人たちは必ずぶち当たる問題に触れておられるから,必ず読んでおいた方がいい。これは間違いない。




会場には, 英語教師だけでなく国語科の先生も来ておられた。その先生は, ハングルを独学でマスターされた方で,以前の学校で国語以外にハングルを教えておられたそうだ。その先生の話も非常に興味深く面白かった。




午後は, 読みの指導と文章の構造についてと, リズム読み・通し読み・表現読みについてであった。




文章が読めることとは一体どういうことなのか, 先生は次の4つの段階に分けて述べられた。


1.文が読める

2.文章が読める

3.段落が読める

4.全体がよめる




このことをまた詳しく説明される。


以上のことをふまえ, 漢文訳読式に下から訳しあげる読み方(英文解釈法もこの部類ですかね。)でなく, 直読・直解ができるようになるにはどうしたらよいかということを理論的に説明された。





日本人が書く日本文と英語のネイティブが書く英文の構造の違いにも触れられた。大西先生やKaplanの論文を取り上げられて,東洋人と英米人の論理構造の違いを示されたのも興味深かった。




前書き→序論→本文→結論→後書きの順で, 東洋人には序論が無く,欧米人は結論部分がない(序論に含まれるため)。という傾向がある。




東洋人の論は, まわりくどいため英米人からすると鳴門の渦巻きのようにグルグルと回っていて, わかりづらいようだ。(Circular

英米人はLinerだそうだ。私にしてみればLinerの方がわかりづらい感じがする。




先生の資料の中に,先生の授業を履修したある学生の手記があった。


タイトルは「英語教育者に求められること」。

英語にとって音声とは何か?と彼女が問うている部分は, しごく哲学的で興味深い。「音の化学変化」という言葉も興味深かった。


「学習者にとってどのようであるか」という視点で常に論じているところが, やはり先生の生徒さんであるなぁと感心する。現場の教員ですら,このようなことを真剣に論理立てて考えている人は少ないのではないかと思われる内容だった。




彼女の文章の中で,教育とは何かと述べられている部分がある

私は,教育とは知識を教えるものではなく,学習者の意欲や潜在能力を引き出すことだと考える。だから, 教科書ばかりに囚われておもしろみのない授業をする教師ではなく, 英語の楽しさを伝えられる教師でありたい。」と。私が教師になった時のことと重なる。




その後, 広島のY先生が,全国英語研究会で「要約指導法定式化への挑戦」というタイトルでされたワークショップがあった。

大西忠治先生の名前をここでも述べられていて,この後、書店で先生の本を注文してみようと私は思っている。




先生が出された英文を的確に分類できたのは, 英語教師の中でも1名のみだった。そのくらい構造オンチであることも分かった。英文を単文でしか見ていない証拠であることも分かった。英文を構造で読み進めることの重要度を再認識した。




最後に先生の言葉で心に残ったことを書き留めておこうと思う。


「教師自身がクリティカルリーディングの力を付けていかなければ, 子供たちにそれを,身につけさせられない。」




「要求することは尊敬すること」




もっと色々なお話をお聞きしたかったのだが,時間切れで叶えることができなかった。これからも, 先生から様々なことを勉強して多くの知恵を拝借していきたいと思っている。




今回は先生が多くの著書を出版されているのを知り, なんだか近寄りがたい感じがした。先生の率直で飾らない, 包み込むような語りに甘えて, たくさんお話ししたことを私はずっと忘れない。




もしかしたら先生みたいな教師になれるのかもしれないかと錯覚を起こしておこうと思う。そうであったらいいなぁと憧れておこう。




*先生の著書の,「魔法の英語」とキング牧師の演説の教材は, 早速2学期以降に使わせていただこうと思っている。感想はまた後日に。


それから、私の中での先生の講義は今回が完了したわけではなくこれからも続く。

だから,今回を講義の①としておく。