明日にはこの感動が上手く伝えられないような気がして,今書くことにした。
最初は,あまり乗る気でなかった(スポーツをしている人という間違った先入観で)三屋さんの話は,実はものすごく良かった。感動した。
三屋さんの背は178cmだそうだ。確かに,一般人に比べて非常に背の高い方に違いない。
小学校6年生の頃にはすでに170cmもあり,5,6年生で30cm背が伸びたと言われていた。
当時は背が高いことがコンプレックスで悩んでいたらしい。
中学校の時に三屋さんの才能を見つけ育ててくれた恩師に会って,バレーを始めて,背の高さのコンプレックスがむしろ長所となり自信をもてるようになったと言う。
その恩師からの話が素晴らしい。
三屋さんも,言葉を身体で感じて大事にされる方だった。
「ボールとボールのやり取りがバレーではない。心と心のやり取りがバレーなのだ。」と。
「バレーに必要なのは,『思いやり』だ。こういうボールが欲しいという気持ちではなく,チームの誰かが欲しいと思うボールを上げるんだ。皆がこういうボールが欲しいと言っていたらバレーにならない。」
私(女王様)は,このボールの部分を『言葉』にバレーを『コミュニケーション』に置き換えた。
スポーツ選手の方が,巷でコミュニケーションを述べている言語政策にかかわる文科省出の似非大学教授よりもずっと分かりやすく納得できる説明が出来る。
優秀なスポーツ選手,特にチームスポーツはコミュニケーション能力が高くないとやっていけない。個人競技と違って,チームとしての競技は仲間を生かすことが重要だからである。
三屋さんの話は,普通のスポーツ選手と違う。淡々とした口調なのだが雄弁で,思ったことや感じた事をはっきりと率直に素直に述べていた。彼女が聴衆を感動させることが出来るのは,やはり積み重ねてきた目に見えない苦労とか努力とかがあるからなのだと感じる。小手先の狡賢さが寸分も見えない,心身ともに本当に鍛えられており,本物の人が発する言葉だった。
選手時代は,こうすればこうなるというものは全くなかった。この練習をすれば必ずレギュラーになれて,オリンピックに行けるという保障は何もなかった。自分自身を信じるしかなかった,と言われた。
それから続けて三屋さんはこう述べた。
・好きとか嫌いで物事を始めたら,嫌いになると辞めてしまう。そうではなく,「最初から自分の人生をこのようになるようデザインしたんだ。」と考えるとよい。
・長い箸で食べ物を食べると,必死になって自分の口に入れようとして,箸が長すぎて食べられないと愚痴を言ったり,無理でないかと諦めたり無気力になったりするのが『地獄』にいる人。そうでなくて,箸が長いのだから人に食べ物をつまんであげようとするのが『天国』にいる人だ。
・誰でも壁にぶち当たるものだ。壁にぶち当たるたびに,自分に負けることだけは止めようと思い踏ん張った。逃げても何も始まらない。
・皆さんは今まで必死に一生懸命になったことがおありですか?多分何度かご経験されていると思いますが,一生懸命になれた自分を誇りましょう!ちきしょー!コノヤローっと思って一生懸命になれた自分がいたことに誇りを持ちましょう!
・自分の人生を振り返り夢が全部叶っていたら,『挑戦』していない自分に気付いた。挑戦していない自分は抜け殻のようだった。だから私は新しいことに挑戦した。
・『楽』と『楽しい』とは違う。楽は苦しくなると逃げたくなるものだ。
・町の中でよく高校生が,「なんか面白い事はないかな。」と言って,ブラブラとしているのを見かける。私は高校時代そのような言葉を発する必要のないほど一生懸命に打ち込むことがあったことに幸せを感じる。一生懸命になることの経験が,若いうちにできた事は私の財産だ。決して『楽』ではなかったけれども,幸せだったと思う。
など,たくさんのメッセージを下さった。
最後にゲーテの言葉を教えてくださった。
『財産を失うこと それはまた働いて取り戻せばよい』
『名誉を失うこと それは名誉を挽回すれば世の人々は見直してくれるだろう』
『勇気を失うことーこれはすべてを失うことだ。それならいっそのこと、お前は、生まれなかった方がよかったのだ』
すべてが本当に素晴らしいお話だった。
人に感動を与えることのできる話は,その言葉を発している本人の心が常に響いていないといけないのだと思った。
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講演のあと書籍コーナーに行くと,
何やら見覚えのある姿が見えるではないか。
そう,
ピアノの先生だ。
暫らく2人でこの感動を分かちあって立ち話。
先生も私と同じ事を考えていた。この書籍が,本日,ピアノの先生と女王様が購入したものだ。
読んだ後は,クラスの読書コーナーに置くこととする。
あなたが打ちやすいボールを送りたい―思いやりの心がビジネスを育てる
