臨床心理士の先生のお話「こころ」の器③ | 女王様のブログ

女王様のブログ

ある女性教師の日常のこと,悩みや課題を率直に書いた,ぶっちゃけ話。

「自分は大丈夫だ」という幼児期の器から,とりあえず一人前の大人として扱われる成人という器になるまで,どのような「こころ」が育っていくのか?



③自然や世の中の仕組みといった未知の世界を,仲間と一緒に体験することを楽しめる器(小学校3年生のころまで)


小学校へ入学すると,生活や人との関わりの中心が,家族や家庭から学校という世界(社会)へ移っていく。

そこで,親以外の大人たちから,これまで知らなかったいろいろな世界を教えてもらい,仲間と一緒に体験することの喜びを味わう。まるで,吸い取り紙のように,目を輝かせながら世の中の事を吸収し始める。もちろん,そのためには,自然や世の中の面白いことや楽しいことをたくさん知っている大人の存在が必須となるが。



④人間関係の苦労(やりくり)ができる器(10歳という2けたの人生の始まり)


「半成人」という10歳を表現した言葉がある。

「こころ」の器で例えると,とりあえず生きていくために必要な器(人格)の半分が出来上がる年齢になったと言えようか。

この頃になると,それぞれの子供の器に,「個性」というその子なりの色合いや形の特徴ができてくる。

これを日本語では,昔から「性分」という。そして,他の人の性分との会い具合のことを「相性」と呼ぶ。人は自然と居心地の良いよりどころとして,相性の合う人を求めるように出来ている。これが10歳頃から始まる。グループ作りである。くっついたり離れたりしながら,互いの性分を確かめ,相性の合う人達(本当の意味での友達)を自分の意思で見つけるのである。それは同時に自分探し(思春期)へとつながっていく。



この自分達で作り上げたグループの中で,大人になるために必要な様々な力を身に付けていく。時には我慢したり,言いづらいことも言ったり言われたり。自分で選んだ友達やグループだからこそ,つぶさないための苦労や努力は厭わないのである。



⑤お守りとしての「親友」を見つける器(思春期の頃)


思春期とは,春を迎える(性というエネルギーを持てるようになった)我が身を,思い悩みながらも抱え始める時期ということである。この時期,身体の内側から迫ってくる不安や怖さを一緒にしのいでくれるのが,「親友」なのである。


思春期に大切な事は,性的な変化以上に,このお守りとしての特別に相性の合う「親友」を見つけることができる器があるかどうかなのだ。この力は,人間関係の苦労(やりくり)ができるという器を礎とし,伴侶を見つけ家庭を持つという先々の成人としての器にもつながっていく。


⑤人との間で生きていける「成人」という器


これまで身に付けた「こころ」の器で,人と「やり取り」や「やりくり」しながら,違いも含めた互いの存在の意味を確かめ合って生きていける器のことである。



次回から,この「こころ」の器の危機的状況について述べたい。