風葬の教室/山田詠美【B2019-14】 | 本のうんち(たまにマジでゴルフ)

本のうんち(たまにマジでゴルフ)

人は食べたらお尻からうんちが出るように、本も読んだら頭から感想が出ます

本を読んで湧き起こる喜怒哀楽、蘇る過去の記憶など、自分の心の中を余すところなくさらけ出すことで、気持ちのデトックスをしてみませんか?


【内容】コピーライトAmazon

教室という牢獄の中で、

生贄となり苛めをうける


転校生の少女は、

自分を辱めた同級生を、

心の中でひとりずつ処刑し

葬っていく


少女が女へと変身してゆく

思春期の感性をリリカルに描く



【感想】

転校生がクラスでいじめに遭い

阻害されていく中で、

主人公の心のあり様がリリカル

(=叙情的)に表現されています



叙情的な表現の素晴らしさは

琴線に触れるとともに、その内容


つまり、この物語の主人公が

クラスメートから受ける仕打ち

に対しては逆鱗に触れてきます



果たして弱冠小学5年生にして、

これほど大人びた思考を持つこと

ができるのか?

定かではありませんが、読む者の

心をグイグイと惹きつけます


コピーライトbokete 様


この本が出版された昭和63年

この頃はまだ、

いじめは強い心を持って立ち向か

おうという風潮のようでした



主人公が自死を選択する直前に

考え直し「責任」と「軽蔑」を

もっていじめに立ち向か追う姿は

勇敢に映り、かつ尊敬に値します



しかし、時を経て

風潮は変わってきています



現代は、当時とは比較にならない

ぐらいストレスフルな時代に

なっているため、


「立ち向かう」に変わって

「逃げる」という選択肢が

推奨されるようになっています



戦争やビジネスの戦略においても

敵わない相手には戦わず逃げる


負け戦にはあえて挑まず、

ひとまず退散して、

体勢を立て直すことに注力する

のは、もはや自明の理です



社会事情における時代の変遷

も感じられた1冊でした




※何冊も本を読んでレビューまで
 しっかり書いているのに、
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