【ようこそ、あなたが来るのを心よりお待ちしていました】
文字数と戦いながらようやく辿り着いた最終章。
君は、刻の涙を見る…(見ません)
北側の反勢力が遂に動き出しました。
そもそも南側が勝利した事で北側は敗戦国としてかなり抑圧されてるみたいですね。(原作で知るの巻)
当然負けた方にはまだやれる、もう一度戦争をして実権を取り戻したいと考える奴等が出るのは想定されていた訳で。
ライデンシャフトリヒとしても全力で鎮圧する必要はありますよね。
大陸内の勢力争いもあるでしょうし。(原作で知るの巻)
戦時中ならギルベルト率いる部隊を派遣して鎮圧を図れたんでしょうが、もう彼も彼の部隊もありません。
もちろん彼の『武器』も無い。なので兄であるディートフリートに動いてもらおうという魂胆。
ディートフリートも皮肉をぶつけてましたね。
いつの時代も上層部は自分の都合に合わせて手駒を動かすものです…。悲しいけど、これ戦争なのよね。
原作ではそういうしがらみを上手く利用する為にギルベルトは出世街道に乗って行くんですが。
アレです、踊る大捜査線の室井さんと同じですね。偉くなりゃ何でも出来るって事で。
ただ、ギルベルトの場合は全てがヴァイオレットの為、という大変不器用な愛情の示し方でしたが。
むむっ、また逸れたか。(恒例行事)
ようやく『南側』の代表であるライデンシャフトリヒと『北側』の代表であるガルダリク帝国で和平の書簡が取り交わされます。
カトレアさんがその代筆の役目を務めるようですね。
これが実現すればやっと『戦争が終わる』と。
そこへやってくるディートフリート海軍大佐。
ギルベルトの兄。
そっか、ヴァイオレットちゃんとホッジンズ社長以外は初対面か。
それにしてもディートフリートとカトレアさんのやり取りは良かったですね。
今回、ヴァイオレットちゃんが来ていない事に安心する大佐。
彼はずっと『人間もどきの出来損ない』を憎み(そして畏怖)し続けているようでヴァイオレットを罵倒しますが、カトレアさんと珍しくベネディクトが擁護します。
ヴァイオレットの書く手紙の素晴らしさを上手に表現していました。
「スッと人の心に入り込み、自分が素直になれる手紙」
なるほど、彼女の手紙で心打たれる訳だ。(アタシがね)
とても不満そうな大佐の顔が印象的です。
ガルダリクの残党達は南北縦断鉄道を乗っ取り、南北和平を妨害しようとする作戦のようです。
皮肉にもあのインテンス最終決戦の指揮官、メルクロフ准将が首謀者とは。そして再びインテンスを奪還するのが目的です。
南北のほぼ中心にあり、巡礼地として栄えた場所インテンス。
南への侵攻にこれだけ適した場所がないんでしょうね。
ただ、彼等にとって不運だったのが偶然ライデンへの帰りに上空から状況を確認できた1人の少女がいた事。(エイダンの件でかなり落ち込んでいるように見えますが)
ライデンシャフトリヒにとっては幸運だったんですがね。
前回世話になったヴァンダルさんの飛行機でライデンへ向かっています。そこで南北縦断鉄道が(特に)北側にとって生活を支えてくれる和平の象徴であると知ります。
そして…少佐を喪った地、インテンスも横切ります。
上空から素人が火事だと感じる現場を見て、複数の爆発の跡と見抜ける辺りは流石。
偶然、火事の影響で停車している縦断鉄道の車内にカトレアさんの姿を確認したヴァイオレットちゃんは、ライデンへ帰るはずの飛行機から降ろしてくれと懇願します。
危機を知らせる為に車内で再会するも、ライデンで社長が彼女の帰還をずっと待っている事を知っているカトレアさんはライデンへ帰れと促す。
そこにディートフリートがやってきますが、ヴァイオレットの姿を見て嫌悪感を隠しません。
ヴァイオレットちゃんは冷静にクトリガルでの状況を説明します。当然彼女が持っている情報は非常に重要且つ正確なものなので、流石の大佐も事情聴取を行います。
一通り確認したあとに「貴様もさっさと降りろ」と言うのですが、
「そのような状況であれば、私も…大佐、ご命令を!」
「貴様…今も命令が欲しいだけの『道具』なのか?」
(ここで一瞬、「チッ」と舌打ちした演技があったのが嫌悪感満載で素晴らしかったです)
「違います!」
「私は…もう…」
「失せろ!」
ディートフリートにとっては弟を亡くした悲しみを思い出す憎い存在であるようですが…しかもただの『武器』だったはずなのに自分の意志を持っている事に苛立ちがつのっています。
残党による作戦が決行されます。
ライデン兵の乗った4両目以降を切り離し兵の無力化を謀られます。その爆発に気付いたヴァイオレットちゃんは和平の使者である特使を保護し、信頼できるカトレアとベネディクトに預け、自身はディートフリートの部屋へ向かいます。
流石のディートフリートも戦力が0に近い状況ではかつて一騎当千を誇った彼女は大きな戦力であると判断し、指示を与えます。
「やはり命令が欲しいのか」
「………違います」
「違わない。貴様は『道具』だ。俺が敵を皆殺しにしろ命じたら、平然と殺すんだろう?」
こう言って彼女に拳銃を渡すのですが…
「誰も殺しません。」
「武器は要りません」
“もう誰も死なせたくない”
彼女はそう決心したのだから。
その姿にさらに苛立ち(というより動揺かも)を見せるディートフリート。
「…道具じゃないなら何だというんだ」
遂に応戦を始めるヴァイオレット。
敵の中に『エイダンの仇』の1人がいました。人の命を軽く扱い、彼の死をあざ笑う相手に一瞬本気になりかけるものの不殺の誓いを立てた彼女は相手の顔面を一発ぶん殴るのが精一杯でした。
そして列車の屋根でメルクロフ准将と対峙します。
複数の敵にたじろぐ事なく次々と無力化させていく姿はまさに『ライデンの戦闘人形』でした。彼もその姿に見覚えがある事を思い出します。
「また…戦争を始める気ですか」
「お前の中で戦争は終わっているのか?」
その問いには答える事が出来ません。間違いなく彼女の身体はずっと“燃えていた”のですから。
「私もお前も暴力の記憶は火傷のように残って…永遠に終わらない」
一瞬記憶に浮かぶ目の前で逝ったエイダンと彼の死を悲しむ両親、そしてマリアの姿…。
戦争は終わっていない、と敗戦国が背負う様々な歪みを突きつけられます。国の為に戦った兵達は居場所を無くし、忌避されます………もしかしたらその立場は逆だったのかも知れないのですから。
戦闘は避けられないと理解したヴァイオレットは
「もう誰も殺したくないのです…」と呟く。
「誰も死なせたくない」は「誰も殺さない」でもあって、戦場でそれを実行するのは大変危険な行為である事は彼女もよく理解しているはずなのです。
それこそ自分が無力化した後に、車上から落ちかける敵兵を助けるなど、彼女は誓いを守りながら戦うんですね。
1対複数、しかも手練の兵を相手に武器も持たず戦うヴァイオレットでしたが、流石に不殺では限界があるようです。
背中を斬られ、右肩を撃たれ、遂には大切な大切なブローチを敵に奪われ………。
『ライデンシャフトリヒの戦闘人形』は不殺を誓ったのです。
それは翼をもがれた鳥と同じでした。
遂に捕縛され、首に軍刀を向けられます。
あとは上から振り下ろすだけでヴァイオレット•エヴァーガーデンの短い人生が終焉します…。
刹那、どこからともなく銃弾が軍刀を弾き飛ばしました。
いつの間にかディートフリートが車上へ来ていました。
敵を一掃し、運良く彼が助けてはくれましたが彼の浴びせた罵声は残酷な現実を突きつけます。
「自分すら守れないくせに不殺とは烏滸がましい」
「俺の弟ギルはそんな奴を守ろうとしたのか!」
「もう…誰も殺したくないのです。少佐の命令は『生きろ』であって『殺せ』ではありません!」
さらに大切な弟を喪ってしまった怒りと悲しみをヴァイオレットにこれでもかとぶつけます。
「戦わない、殺さない戦闘人形など足手まといでしかない!」
「だからギルベルトを守れなかったんだ!」
「お前がギルを殺したんだ。だからお前も死んでしまえ!」
「早く死ね!!」
罵詈雑言とはまさにこの事でしょう。
これも原作で読んだのですが、人を殺す事しか出来ないこの『獣』を、自分にだけ着いて回るこの不気味な『獣』を処分する方法が1つあったと。
「自分を殺せ」という恐ろしい命令。
もしもこの命令があの頃の『獣』に下されていたら………。
しかしもう彼女は『獣』ではなく、ギルベルトに愛情を注がれて育てられた1人の『人間』でした。
だからギルベルトが自分に出した最後の命令「生きろ」を忠実に守る事を選びました。
「守りたかった! 私も守りたかったんです!!」
メルクロフ准将もまた車上へ戻って来ました。
と、そんなやり取りをしている2人を重火器が狙います。
さっきの『エイダンの仇』だ。
素早く気付いたディートフリートが何とか射手を仕留めたもののその銃弾は発射され………。
素早くヴァイオレットちゃんが立ち塞がった。そうか、アダマン鋼で出来た義手なら!
金属音と共に激しい爆発が車上で起こりました。
爆風の中でもヴァイオレットの目は敵の姿を捉え続けていました。
工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工
ここで終わり?
いやいやいやいや、めちゃくちゃ気になるやん!
これリアタイの時だったら翌週が待てないヤツやん!
うわあああ〜って気になって夜しか眠れないヤツやん!
《第13話》
遂に、遂に最終回です…。
車上の戦闘はまだ終わっていません。
頑丈に作られた両腕を十字にして敵の首謀者、メルクロフ准将の弾丸を食い止める姿がめちゃくちゃカッコいいです。
でも徐々に腕が削られ…そして右腕が吹き飛びました。
彼女は再び戦場で右腕を失いました。
今度はディートフリートを守る為に。
スキを見て列車から逃亡を図るメルクロフ准将ですが、いち早く察したヴァイオレットに蹴飛ばされます。
その瞬間、彼に奪われていたブローチが宙を舞うのですが、ディートフリートが受け止め、ヴァイオレットへ投げ返します。
ブローチが自分の元へ帰ってきた瞬間に見せた表情にディートフリートは何かを感じ取るのですが…。
これ、きっと考察班の仕事でしょうね。(職務放棄)
ディートフリートはこれだけでなく、劇場版でも幾度か彼女の見せる表情(もちろんギルベルトの話をした際)に何かを感じ取っていました。それは弟への一途な想いなのか、あの『武器』がここまで『人間』の感情を表す事についてなのか。
本作は一貫して全てを語らず、視聴者(及び読者)の想像の余地をあえて残す作り方をされていると思うのです。
だからこそ、こちらも感じ取った感想や物語の行く末などを色々と思い耽る事が出来るのでしょう。
…おおっと、そうでした。
まだ車上の戦闘中でしたね。
メルクロフ准将達の狙いはやはりグランテッツァ大鉄橋でした。
大鉄橋に差し掛かり慌てて列車を急停止させますが、すでに爆弾が起動しています。
メルクロフ准将は最早自分の仕事は終わったとばかりに勝利の笑みを浮かべながら大鉄橋の下へ落下していきます。
ヴァイオレットは迷いなど一切見せず爆弾処理をする為に大鉄橋へ飛び降りるんですね。もう左腕しか残っていないのに。
しかも残された左腕で鉄骨にきつく留められた爆弾を引き剥がそうと。
「もう誰も死なせたくない」からこそですよね。
で、ここから驚きです。ヴァイオレットの手助けに列車に乗っていたベネディクトが出てくるのですが…
彼女が「もう1つの爆弾を!」と叫ぶと、
「わかった!」と大鉄橋へ飛び降り、文字通りのヒールキック(ちょっと違うか)を爆弾に食らわします。
彼が愛用しているヒールで繋ぎ止めてあった爆弾を外します………って外れるの? 凄くない? しかもベネディクトも一切の迷いが無かったし、一発で決めるし、そもそもその身体能力は何よ?
アニメにおいてはほとんど語られていませんが、多分このベネディクトが一番謎めいた人物だと思います。
なんせアニメ公式サイトのキャラクター紹介を読んでも彼の能力などについては全く書かれていません。
もちろん、今となっては原作の『ベネディクト•ブルー』を読んだ後なので色々把握はしていますが。
(結構衝撃的でした。まさか彼が“壊れかける”とは思いもしなかったので)
彼の腕を見込んでカトレアさんのボディガードを任されてたんでしょう。ヴァイオレットによく似た髪の色と瞳の色の持ち主に。
何にせよ、爆弾はあと1つ。
義手が壊れるのが先か、爆弾が外れるのが先か。
少しずつ部品が飛び、壊れていく義手の表現がとにかく細かいです。
こうやって組み立ててんだぞ、と言わんばかりに。
指が数本壊れてもなお、残った指で歯を食いしばり剥がしにかかるヴァイオレット。
左腕に全力を傾け必死に引っ張り続けたその瞬間、奇跡的に爆弾を鉄骨から剥ぎ取る事に成功します…
が、同時に左腕も完全に壊れ弾け飛びます。
爆弾は水面と空中で爆発。
大鉄橋は守られたのですが、両腕を失い身体を支えるものが無くなったヴァイオレットは大鉄橋から落下………しませんでした。
ベネディクト、あんた凄えな。足場も良くない所でよく彼女を捕まえた。ただの郵便配達じゃねえだろw
ヴァイオレットちゃんの物語は劇場版で終わってしまったけど、ベネディクトの話ならまだまだ掘り下げられそうな気がします。いや、掘り下げて下さい。お願いします。
これで無事南北の和平も成立して良かった良かった、で終わらないのがこの作品の凄いトコ。
何ならここからが本番と言っても過言じゃないでしょう。(実際、13話開始4分弱でここまでです。なのに13話の感想はもうこんなに長い…ヤベえぞ)
ようやく戦いは終わったはずなのですが…確かにヴァイオレットちゃんが言っていた通り外面的には間違いなく終わりました。
これは「この世界の片隅に」でも語られたのですが、戦中も戦後も結局毎日の延長であって、これからもこの生活が続くのは何も変わらないんです。だから家族を失った人は失ったまま、そしてヴァイオレットが一番会いたい人は帰ってこないままなんですね。
戦後ようやく再開される航空祭。
この祭りでは人々の書いた手紙を飛行機からバラ撒くという一大イベントがあります。
当然ランダムに撒かれるので誰のどの手紙が自分の所に降ってくるかは分かりません。
カトレアさんから「せっかくだから書いてみたら?」と提案されるも何を書けばいいか検討も付かないヴァイオレットちゃん。
そんな中、これまでぼやけていたインテンス決戦前夜の記憶が鮮明に描かれます。
自分が不要になったのか? 少佐に捨てられるのかと問うヴァイオレット。
ギルベルトはもう自身の彼女に対する感情には気付いていたはずなんですがそれを言葉に出来ません。
「私の命令はこの戦い以降聞かなくていい。いや、誰の命令も聞かなくていい。自由に生きなさい。」
という彼なりの優しさを伝えてもまだ「それがご命令ですか?」といつまでも自分の命令を欲する彼女に苛立ちを見せてしまいます。
…いや、これね八つ当たりですよね。
結局ギルベルトも色々なしがらみに縛られて生きてきた人なので、ヴァイオレットの事を『武器』として利用し続けるしか出来なかった事、、自分の気持ちは分かっているのにそれを伝える事も出来ない。
そんな自分に対する苛立ちを彼女にぶつけているように見えます。
もちろん、『感情が無い』彼女に自分の『感情』が伝わらないもどかしい気持ちも間違いなくあって、自分の怒りを見せつける事で彼女に何とか分かって欲しい、と思ったんでしょうね。
結局、正体の分からない“何か’に突き動かされてヴァイオレットは涙を浮かべます。
彼女にしてみたらただただ、少佐のそばに居たいだけなのに。
その為には自分が彼の『武器』であり続けなければいけないと。
それを悟ったのかギルベルトは彼女に詫びるのですが、自身のこれまでを責め続けます。
この後の戦いで彼女は両腕を失います。劇場版のあれこれはその積み重ねですね。
『心から愛してる』はずの彼女を自分のせいでボロボロにしてしまったと。
ま、それは一旦置いといてですね。
翌日、あれだけヴァイオレットちゃんの事を憎んでいたはずのディートフリート大佐が休日の彼女の元へやってきます。
口ぶりからして随分軟化したようです。まあ…自身の盾となり、必死に弟の事を想い、自分の身を犠牲にして大鉄橋を守ったのですから。
彼が連れて行ったのはライデンの自宅。
そこには年老いた兄弟の母が。すでに記憶障害が起きてしまっているようです。
ブーゲンビリア夫人がヴァイオレットに会いたがったようです。
ヴァイオレットは夫人の瞳に確かに見覚えがありました。
待ち人であるギルベルトと同じ色の瞳。
その瞳に吸い込まれるように夫人のそばへ向かいます。
きっと夫人に赦しを乞うつもりだったんでしょう。
夫人は「あなたのせいではないわ。あなたが背負わなくていいのよ。」と。
ヴァイオレットに辛くてもギルベルトの事を忘れなければ心の中で生き続けると優しく諭します。
「だって今も愛しているんだもの」
その言葉を噛みしめるように「はい…はい…」と号泣するヴァイオレット。
観てるこっちはそれ以上にボロボロ泣いてますけどね…。
この出会いも劇場版に活かされています。そりゃあこれだけ温かい言葉を貰った人ですから。
ブーゲンビリア邸を去る前にディートフリートは初めて彼女の名を呼びます。愛した弟が付けたその名を。
「ヴァイオレット、あいつの分もお前は生きろ。生きて、生きて生きて、そして死ね。これが俺からの最後の命令だ。」
彼自身、自覚してるんですが、この人はホントにひねくれてます。そんな彼なりの精一杯のエールですね。
ま、劇場版で株バク上げです。ストップ高ですw
そんな言葉に対し、ヴァイオレットは微笑みながら一言。
「もう、命令は要りません」
ギルベルトの願いであった「誰の命令も聞かなくていい」が成就された瞬間でもありました。
航空祭の前夜、ライデンでは非常に珍しい(そうです)雪が降りました。ヴァイオレットちゃんはやっと、やっと少佐への手紙を書き綴ります。
ここ、BGMが最高ですね。
「The Love That Binds Us」というこの曲は本作で一番好きかも知れません。それほど印象に残る使われ方をしていると思います。
航空祭当日、カトレアさんに暴露されるホッジンズ社長の『未来の娘へ』の手紙。
みんなにはからかわれましたが、アタシの涙腺には結構クリティカルヒットでしてね。
引いたはずの涙がまた。
追い打ちをかけるように「Violet Snow」が流れます。
この曲は文庫本のCM曲で、ある意味初代テーマ曲ではありますが、聞くところによると歌詞の内容が原作においてギルベルトがヴァイオレットへ送った手紙がモチーフとなっているそうです。全くその事は知らず、またこの13話で耳にした程度だったんですが…
原作小説4巻を読了した時に自然に脳内にこの曲が流れたんです。「Sincerely」でも「みちしるべ」でも「WILL」でも「未来のひとへ」でもなく。
あ、作り話っぽいんですが実話です。まあ、アタシの脳内の話ですけどね。
不思議な体験でした。
という事で「Violet Snow」はとてもいい曲だというお話でした。(アレ?)
歌うご本人のMVなんですが、訳詞が一緒に流れます。
ホントにいい歌詞なんですよ。
空から撒かれたたくさんの想いが綴られた手紙が舞う中、
ヴァイオレットちゃんが初めて少佐へ宛てた手紙が読まれます。
その中の一節
「春も、夏も、秋も、冬も、いくつも季節が過ぎましたが、少佐のいらっしゃる季節だけが…巡って来ません」
…なんて切ないんだろうか。そりゃこの人、人気の自動手記人形になるわ。
彼女の手紙の背景にこれまで彼女が代筆してきた数々の地が映し出されます。
9話と同じ手法ですが、今回はアンの家とそれからエイダンを看取った小屋もあるのが…ね。
手紙の最後にこう綴られています。
「今、私は、『愛してる』も少しは分かるのです。」
愛しい人を想い、流す涙の何と美しい事か。
戦う事しか知らなかった『獣』は、いつか人を『愛して』美しい涙を流す『人間』へと成長していました。
そしてある日「ヴァイオレット、代筆依頼。至急の要件だって!」とカトレアさんに呼び出されるヴァイオレットちゃん。
彼女が向かった出張先でいつもの挨拶をする
「お客様がお望みならどこでも駆けつけます。自動手記人形サービス…」
………と何かに気付いた彼女はこれまで観た事がない程の笑顔を見せます。
「ヴァイオレット•エヴァーガーデンです」
第13話 自動手記人形と「愛してる」完
いやいやいやいや、彼女があれだけの笑顔見せる相手は1人しかおらんやろ。このシーンに劇場版を匂わせるものは無いんですが、海沿いとか…これ島じゃね?とか…。
ドイツのロケハン時には劇場版の脚本は執筆中だったそうですが、狙ってますよねコレ。
まあ、そこを詮索するのは野暮ってもん(十分詮索しただろ)ですが、あのヴァイオレットちゃんがあんだけの笑顔見せてるのが嬉しくて仕方なかったんですよ、ええ。
だってこれは彼女の成長の物語ですから。
ちょっとの間だけ一緒に歩んだつもりになってますもん。
この「ヴァイオレット•エヴァーガーデン」という作品は京都アニメーション大賞唯一の大賞受賞作です。(2021年2月現在•今は京アニ大賞自体お休みになっています)
審査員の満場一致で大賞になっただけでなく、関わる全ての方が良い作品にしようと努力された結果、本当に素晴らしい作品となりました。
※その辺りの話は公式サイトにあります
しかも演者さんの熱意が凄い。
特に主演の石川由依さん。
ヴァイオレットへの愛情の注ぎ方が半端ないです。
これも公式サイトのコメントに
これ読むだけで間違いなく『推せる!』のですが、さらに劇場版の舞台挨拶を読むと『推すしかないやろ』になります。
この作品は彼女の熱演無くしてあり得ません。
機械のように話していたヴァイオレットも、少しずつ感情を見せるようになったヴァイオレットも、『愛してる』が少しわかるようになったヴァイオレットも微妙に違うと感じるのですが、そんな細かい気持ちの変化まで見事に演じられていました。
凛とした雰囲気が声からも滲み出ています。
劇場版は日本アカデミー賞にノミネートされるほどの評価を得るまでになりましたが、個人的には主演女優賞にノミネート(いや、なんなら大賞受賞)されてもいいんじゃないかと思っています。
関わる全ての方の熱意が生み出すもの、それが『名作』だと思います。
機動戦士ガンダム第28話「太平洋、血に染めて」は今もファンの間で語り継がれる名作として知られています。
とこちらにあるように、いい話だから何とかより良いものにしようという熱意が溢れていたようです。
また話を逸しましたが、アタシはこの熱意に完全に打たれたんですね。熱意には熱意で応えたい。その1つがこの無駄に長過ぎる感想文だと思います。名作は語っても語り切れないです。
徹底的に作り込んだ結果、そこにヴァイオレット•エヴァーガーデンという人があたかも居たような気持ちにさせられたんです。だからこそ、彼女の人生の行く末が気になるし、たくさんの人を幸せにしてきたんだから今度は彼女には幸せになって欲しい…いや、幸せになって貰わないと困るって思っちゃいます。
まあ、それは劇場版の役割ですかね。
まあ…自分の人生を棚に上げてますけどね、
これを『現実逃避』っていいます。良い子はマネをしないように。
原作小説では少し違う彼女の人生を見ることが出来ました。
どっちにしても『彼女に幸せになって欲しい』気持ちは変わりませんし。
ただ………アニメ版には未登場のラックスちゃんが気になって気になって気になって気になって仕方ないです。
動いて喋るラックスちゃんが観たいなあと思うのは贅沢でしょうか。
4巻目『エバーアフター』の最後の2章がたまらなく好きです。
キレイに伏線も回収しつつ、こってりとカタルシスを味わう事が出来ました。
それから暁先生のちょっとクセのある文体がクセになりました。(彷徨える日本語)
あとがきを見ても中々の曲者じゃなと。だが、それがいい。
次回作とか書かれるなら是非読んでみたいですね…いや、読ませて下さい。
…と思ってたら遂に新作の発表が!
キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!!
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
— 電撃文庫 (@bunko_dengeki) 2021年2月10日
著者、暁 佳奈の待望の新作ーー
『春夏秋冬代行者 春の舞』
2021年4月10日、上下巻2冊同時刊行決定!
暁 佳奈からコメントも届いております。
スオウ(@sdurorhr )による
美麗なイラストも必見ですので
お楽しみに🌸#春夏秋冬代行者 pic.twitter.com/5VvugugQz4
アニメ版を観ただけで自分でも信じられないぐらいに涙を流していました。
昨今、『涙活』なんて言葉もありますが別にそれを求めてこの作品を観た訳ではありません。
『愛』の意味を探し求め続けた1人の少女に心を打たれ続けただけなのです。
人生でこれまでに流した涙の4分の1ぐらいはこの作品に持っていかれた気がしますね。
この短期間でいい歳した男が…とは思っていても、出るもんはしゃーないんです。
こちとら涙腺ぶっ壊れてますからね。(逆ギレ)
もしこれを読んで彼女の物語に興味を持った方がおられたらとても嬉しいです。
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あと結果的にとんでもねえ沼にアタシを沈めてくれた友人に感謝します。“しゃーなし”で始まった本作との出会いでしたが、まさかここまでになるとはねえ………想像もしなかった。
謎の交換条件を出してくれてありがとね。
Sincerely.
【(いつもより長い)終わりに】
ここまで辿り着けた、ものずk…じゃなかったツワモノ様、お疲れ様でした。
本ブログ史上最多の文字数でお届けしました。完成まで約2週間かかっていますw
長い割に内容が薄いのはいつもの事ですが、コメント欄に罵詈雑言とか止めて下さい。
マジで凹みますw
読んだ方の反応が良ければ、気を良くして「外伝」「劇場版」の感想文も書くと思います。
(と言って結局書くんだろうけど)
さて、次の更新はいつになるかなあ〜かなあ〜かなあ〜(FOしながら逃げていく)
先日、実家のある京都に寄った際に実家からは電車で数駅の宇治市へ立ち寄りました。
そう、京都アニメーション第1スタジオ跡地です。
まっ更になった土地に塀だけが残っていました。
今更何を言っても帰ってこないと分かっていても、本作に出会えた事への感謝を伝えたかったのです。
雨が降りしきる中、閑静な住宅街でもありましたので今も残る門の前で黙祷を捧げてすぐ後にしました。
彼がやった事は許されるはずもなく、それこそ犠牲になられた方々の『いつかきっと』を奪う権利は誰にもありません。
自分に出来る事は被害に遭われた皆様に1日でも早く平穏な日々が戻る事を心より祈り、微力ながらではありますが故郷京都の誇り、京都アニメーションを応援し続ける事です。
改めてご冥福をお祈り致します。
そして「ヴァイオレット•エヴァーガーデン」を作って下さり本当にありがとうございました。
[2/17更新 リンクがちゃんと貼れてなかったので修正しました]