2019年3月27日 18時40分 入場後
真っ暗なステージには各楽器がセットされており、その中央には艷やかなアコースティックギターが置かれ、そこにだけスポットライトが当てられていました。
その演出で何を言わんか、ですね。
ここから始まるAnother Storyの象徴がこのアコギです。
後のMCで知る事になりますが、有安杏果史上最高額の買い物だそうで。
「いい音するんだよ〜」と、とても嬉しそうでした。

19時
場内のBGMはそのままに暗転、バンドメンバーが先に入場。
すぐにセッティングを終わらせ、少し遅れてから見覚えのある人影が。

杏果、お帰りなさい。

恐らく自分で作ったであろう、白い衣装に見覚えのあるポニーテール。
でも、目の当たりにした彼女の雰囲気は1年前と少し違っていました。
姿形は確かに本人なのですが、漂う空気は完全に大人の女性。
周りの意見は置いといて、いい恋愛をしてるのだなと思わずにはいられませんでした。

さあ、始まる。
武道館のライブを越えてみせろ!!(謎の上から目線)

●Another Story
1曲目は当然これですよね。
完全に憶測ですが、彼女が描いていた卒業→復帰までのシナリオを想定してこの曲を作ったのではないかと思っています。この曲に限らず「ココロノオト」にはそんな曲が多い気がしています。

そして今回あたかも当たり前のようにエレキギターを弾きながら歌うんです。ああ〜これは相当練習したなと。楽器が出来ない身でもはっきり分かるレベルでスキルアップを感じました。途中でチョーキングを入れてみたり。
この曲に限らず、エレキとアコギを曲ごとに持ち替えてずっと弾いていた印象が強いです。曲が終わる度にスタッフさんが来てたなあぐらいにw

そして歌声もよりクセが抜けてスゥーっと抜ける真っ直ぐな歌声に進歩していました。
雌伏の時間は決して無駄にしてないですね。

これ、感想戦で出た話題なんですが、結局彼女はこの1年間「普通の女の子」では無かっただろうと。楽器を練習し、歌を練習し、歌詞を書いて、曲を作って、裁縫したり、資格取ったり、タピオカ飲みまくったりw
復帰のスケジュールを念頭に置いて、そこへ行き着く道程を自分で描いてその通りに生活して。
最初はもしかしたらスケジュール帳も真っ白だったかも知れない。でも結局スケジュール帳が真っ黒になっちゃう、多分あの子はそういう生き方が身に染みてるんでしょう。

2曲終わった所でMC。第一声でひっくり返りそうになりました。この人、こんなに話し声高かったっけ?
そして諸々の騒動でご迷惑をおかけしましたとお詫び。
「予定通りには行かない」と口にしていたのが印象深いです。うん、やっぱり復帰のシナリオを想定してたんだなと。
ここらではかなり冷静に話を聴いてて、「フラット」であったと思います。
まあ、こちらとしても想定通りというか。

●色えんぴつ
以前よりより情感を込めて歌っていました。
 僕にだって 出来ることあるんだ
これが彼女の魂の叫びだろうか、かなり想いを込めていたように思えます。

●ペダル
例のアコギ登場です。
もうこの曲はアコースティックVer.専用になったのかな、でもそれじゃあ今までと一緒だな…と途中まで思ってたんですけど、バンドサウンドが乗っかった事と、そもそものアコギのスキルアップで完全に『有安バンド』の1曲になっていました。

●裸
最初の Hah〜Hah〜 の表現に少し色気を感じました。
あと10年経ってから聴きたい1曲。

●心の旋律
バンドメンバーが消え、彼女1人に。
どうやらピアノの弾き語りをするようです。
武道館でもまだおっかなびっくりで弾いていましたが、こちらもスキルアップしています。本人はむちゃくちゃ緊張していたそうですけど、堂々としていたと思います。
これも完全な憶測なんですけどピアノに関しては多少の基礎は身に付けたでしょうが、用意された音符通りに弾けるように練習したのかなと。曲の前奏や間奏は極限まで簡略化して、それでも成立するように演奏していたように見えました。
まあ期間を思えば凄い進歩なんですが、ちょっと物足りない…かな。(贅沢な要求)

アンコール後の逆再生メドレーを含めて「握ったマイク もう離さない」のパートだけは演奏を止めて、ア・カペラで歌った。一時的にとはいえ一度彼女はマイクを離してしまった。でも今度は絶対に離さない、とファンに宣言するかのように両手でマイクを包み込むように歌った。

●サクラトーン
来ました。ミディアムテンポの新曲です。
お、いいんじゃないかなぐらいですね。初見だと。なんせTRAVEL FANTASISTAとか、初見のイメージそんな良く無かったのに今は大好物なので、アタシの感性そんなもんですw

ちょうど2番のAメロで「作り笑いはもうやめた」とインパクトのある歌詞を聞いた瞬間に
「ちょっとストップ 止めて!」を演奏を止めた杏果。
何の演出だ? と訝しげに見るとどうやら観客が倒れたらしい。
目ざとく見つけて演奏を止めて「何回でも歌うから、しんどかったら言ってね」「新曲が2回聴けるね」というホスピタリティ。

ええい、今日のライブに人柄は必要ないのだ。アタシを惑わせるな!とガンダムキャラが言いそうなセリフが脳内に浮かぶw

●DriveDrive
「私はエレキ彈くからみんなはタオル回してね」と。
めっちゃ普通に弾いてるんですけど! 元々この曲エレキ弾いてたよと言わんばかりなんですけど!

TRAVEL FANTASISTA
やっぱり曲の力って凄いですね。イントロが流れた瞬間に「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!」と思わず大きな声を出してしまいました。
もうおじさんノリノリです。大きな身体を揺さぶってノリノリです。周りの方ごめんなさい。

●遠吠え
個人的にこのライブのMVP…いやMVS(SONGのS)です。
トラファンからの流れですが、完全にここだけJAZZのライブになりました。
よく見たらベースもウッドベースに変わってる。
低い声で歌うクールな姿、表情も良い。
ベース、キーボード、ドラム、ギターそれぞれのソロパートがあったりしてたまらんかったです。
この路線、もっと追求して欲しいです。多分…いや、間違いなく化けますって。
有安杏果を隠してこの日の映像を色んな人に観て貰って評価して欲しい。

●小さな勇気
やっぱりいい曲だ。歌詞は拙いのに曲に込めた想いが胸を打つ。
Cメロの「この声が〜届くように」は力強く優しく歌われた。会場に来られなかった人達へ自分の歌を届けられるように…。

●feel a heartbeat
Wow Wow Yeah Yeah!!

―本編終了―
アンコールどうすんのかなあ〜って思ってて、アイドルじゃないしやっぱクラップかなと思いリズム良く叩いてたのも束の間、誰かが速度を上げて尋常じゃない速さになって一旦終了した。そんな速度で何分も叩けるか!www
なんでやねんって思ってたら、どこからともなく「ももか」コールが。

ええい、まだあの子をアイドルに縛りつけたいのかね。

でも流れとなってしまい会場に轟く大ももかコール。
腑に落ちないのでクラップだけを続ける事にした。

幾分かしてライブTに身を包んだバンドメンバーと杏果が登場。
最近行ってたライブはアンコールの再登場が早いものばかりだったので、久々に長く感じた。

―アンコール―
●愛されたくて
いつかビッグバンドでやって欲しい1曲。福岡のいいバンド知ってますよw
イントロの例のダンスは健在。そうだ、この人にはコレがある。他のミュージシャンにない大きな武器が。「Catch Up」もバンドメンバーの演奏に合わせてクルッとターンをしたりして踊ってました。本人的にダンスはどう思ってるのかなあ。

●逆再生メドレー
過去一のアレンジでした。メロウな曲ほどハードなギターサウンドに。アップテンポな曲ほどメロウに。ボサ・ノヴァやレゲエ、HR、パンクなど色んなアレンジが。
出色はギターサウンドでした。ゴリゴリ攻めててカッコよかった。まあ、まさか「色えんぴつ」でヘドバン出来ちゃうとはねえw
冷静に考えたら曲順は分かるはずなんですが、アレンジのクセが凄くてどの曲になるか全く分からない。タテ乗りの「小さな勇気」ってなんだw
恐らく編曲はギターの福原さんだろうな。
「DriveDrive」は『ドン ドン パン』の「We Well Rock You」をリフにして観客にリズムを刻ませてからの歌い出しで仰天。
「Catch Up」はサビを「ラララ」とみんなで歌う流れに。会場1Fの比率は男女比が6:4ぐらいだった印象なんですが、女性ファンの歌声が凄かった。杏果にも「男子負けてるよ〜」と煽られる程。

●MC
アンコールありがとう、から再び一連の騒動についての話。
前日からのSNSによる感想のアレコレについても触れる。「来られなかった人にもたくさん伝えて」との事。まあ、アレだよね。歌詞はまあアカンよね。歌詞サイトが何故コピペ禁止になってるのかって話で。(と言いつつも自分も引用してる矛盾は置いとく)
アレコレ言われる中、みんなが自分の事を信じて守ってくれたのが嬉しい、みんな優しすぎるよと。開演時に杏果を見て泣き出した数名に危うく泣きかけた。ずっと開演から我慢してたけどと嬉しくて泣き始める杏果。

…うん、その涙は想定してた。やっぱり彼女は女優なんだよ。
そして本人がどれだけ否定してもアイドルなんだと思う。
MC中、ファンがたくさん声をかける。いちいち拾っちゃうんですよね、この人は。
ファンとの会話を楽しんでるんだよね。
でも、彼女が涙を浮かべて話をしている時ぐらいは黙って聞こうよ。全部聞いてからいっぱい声かけたらエエやん。気持ちは分かるけど一向に話が進まないよ。
本人が脱アイドルをしたがっているのなら、ファンはそれを察して意図を汲んであげてもいいんじゃないかな。まあ、それでも天性のアイドル気質は変わらないんだろうけどね。
次のライブ(Zeppツアー)があるって本当にありがたいし嬉しいね、と語る。
過去の発言と矛盾してるかも知れない。でも結局この人はスケジュールを真っ黒にしなきゃ生きていけないんですよ。根っからの芸能人なんだ。

●虹む涙
色んな事でみんなを悲しませてしまった。だから私はその涙を集めて虹にしたい、そんな想いが生んだ新曲。ピアノのコードと必死に格闘して作ったとは驚き。だからピアノの弾き語りで歌った。「心の旋律」よりも伴奏がしっかりしていた理由は自分で弾いて作ったからだろうね。
Bメロのマイナーコードへの転調(多分)とサビのファルセット連発(フィリップ•ベイリーか!)が印象的だった。

●ハムスター
MCの前にバンドメンバーは全員退場。まだこの曲が残っているのになあと思ってたら、ギター1本で歌う。サビ前の印象的な♫タララランって音もちゃんとギターで表現出来てたのは感心しました。

最後は出来る限り多くの人に手を振り、笑顔で去っていった。

―有安杏果完全復活―
それを存分に見せつけたライブでした。



【終わりに】

………見てから決める。そう宣言した。
どうだろうか。
悔しいけど、倒れた人への配慮やMCなどで見せた姿。結局人柄に惹かれている自分がいました。もしかしたらそれはただの虚像かも知れない。なら徹底的に騙されてみようかなと。
毒を喰らわば皿までの精神ですかね。
でも運営側はもっと上手に立ち回って欲しいな。やるこそなすこと全部タレントのブレーキになってないか。本当に芸能の素人だけでやってるのかも知れないけど、『深慮遠謀』って大事だと思いますよ。彼女の音楽活動をしっかり支えてあげて欲しい。少なくとも今は彼女の最大の味方なんだからさ。


ただ、ライブは楽しめたけどやっぱり物足りない。
ミュージシャンとしての可能性を沢山感じるからこそ物足りなかった。
それが本エントリーの表題に表した気持ちです。
既存曲に2曲追加したライブ。曲順こそ違うけど構成はあまり変化していない。
(逆再生のアレンジは素晴らしかったが)
確かに進歩はしていたが、進化では無かった。ココセンVol.0から1の時は確実な進化がありましたしね。武道館の続きでしかなかった、かな。

復帰ライブの前に新しい音源が欲しかったなとは思います。
それでもライブを優先したのは1日でも早くファンに歌を聴いて貰いたい、元気な姿を見せたいという願望があったのだろうと想定します。まあ、らしいと言えばらしいです。

もしZeppツアーが今回と同等になるのなら行かなくても良いかなと思います。
でもそんな事は無いだろうと信じて大阪公演にお邪魔したいですね。
…チケットが当たればですがw


今回はこの言葉で締めたいと思います。


有安杏果さん、お帰りなさい。
貴女の歌が1人でも多くの人の勇気、元気、癒やし、力になってくれる事を心から願います。