Incestuous -3ページ目

「さくら」その3


小学校、中学校の頃の私はどちらかというと「いじめられ」側だった。
高校に入ったら、まぁイジメそのものがダサかったのか、私の学校ではいじめとかあまり見かけなかった。
それと・・なぜか部活に剣道を選んでしまったので・・
ある意味、イジメの方が楽と思えるような高1時代だったな(笑)


部の師範は、県警の機動隊でも上の方だったらしく、鬼のような体格だった。
性格は温厚で優しい師範ではあったが・・練習はまさに鬼でした・・
部の先輩達も優しく楽しい人ばかりでしたが、なぜか試合になると
『喧嘩上等(未だに意味が理解できてない)』だったらしい。
県内ではそこそこ有名な方だったようだ(笑)

あと、師範が柔道、それに合気道は特に逮捕術で使うらしく、練習の合間に
よく技を教えてもらったのが、体力が衰えた今でも体は技を覚えていてくれる。
たまに師範に付いてきていた若い機動隊員の人には玩具のように投げられたな・・あれも今思えば練習という名の虐めかストレス発散じゃないかと思えてきた(笑)


そして、20代後半にして、試合や練習以外で人と立ち会う機会に
まさか訪れ、その時の経験が利用されるとは。


「どうする?」
格好良い決め台詞も出せず、一人は地面に伏せさせたものの、未だに
足が震えてる情けない自分に「(俺・・ちょっと格好悪い?)」と思う。
内心、このまま立ち去ってくれたら嬉しいとすら思っていたが・・
連中も女連れって事もあるのか、素直には引いてくれそうもない。
一番、引きそうにないのが女連中だったのが一番痛かった。
一応、女は殴らない主義なので、向ってこられても困るし・・

地面に伏せてたヤツも起き上がってきて、再度戦闘体勢に入る。
それを見て、他の2人も体勢に入った、一人は完全に傍観者になってるけど・・
「ふざけんな、てめぇ~」
「俺のダチになにしてくれてんだ」
等々、ほざくと今度は三人一斉に掛かってくる。

「(部活でやったバトルロイヤルを思い出せ・・)」
練習で1対多数での打ち合いを時々やっていた。
あくまで練習で、しかも防具をつけ「剣道」をしての事なので
この状況とは訳が違うが、とりあえず相手も素手だし、そう思えば
なんとか乗り越えれるかと・・その時は思った。

左からさっきまで倒れてたヤツ、後ろの輪から加わったヤツ、最初についてきたヤツの順で襲い掛かられる。三人が真近に来る前になんとかしないと・・

左のヤツに再度攻撃する振りを見せて、一気に2番目の右のやつに体当たり&ボディー&アゴ打ち、肘のコンボ+関節取っての立ち投げで、まず一人。やられたヤツは「なんで俺のほうに」と思っただろうね。
理由はないです、強いていえば最初のヤツはやられて激怒してたので、なんとなく避けてしまったという・・そんな情けない理由でした・・

さすがに2人目のダウンで、少し腰が引けていくのが感じ取れた。

「まだやるなら付き合うぞ」
今度は少し台詞が言えた。が・・内心ガクガクです
「(頼む・・もう引いてくれ・・もうすぐ三十路の体は今ので一杯一杯なのよ)」

倒した2人目は、どうやら倒れた際に顔面を地面に強打したのか、鼻血がすごい。それを見た仲間がどうやら怯む。私の腕力ではあそこまで「痛そう」にはできないけど、とりあえず心の中にしまっておこうと思った。

「もう、やばいって」
後ろの女の一人がそう叫ぶと、場から戦意が消えて行くのがわかる。
「くそ!いくぞ」
最初に倒されたやつがふてくされながらも、その場を立ち去ろうとしてくれた。
鼻血男を他の男が支えて、一斉に私に背を向け、その場を立ち去ろうとしたので、とりあえずやり過ごせたか・・と思ったが、さっきまでその連中に虐められていた女の子の事を思い出して、頭の中である方式が過る。

女の子を虐める
  ↓
それを知らない大人にとがめられ、なおかつ倒される
  ↓
それを理由に後日、また虐められる


「(ここで勝負付けしておかないとダメだ)」
「おい、誰が帰っていいっていった、まだ終わってないだろうが」
連中、ビクっとしたのを見逃さない。
「また今度、同じ事をしたら倍返しだからな!!」
一人、2人は悪態を返したが、傍観してた男の一人が走って逃げ出したので、それに釣られて連中も走ってその場を立ち去ってくれた。


「ふ~~~~・・エライ目にあったわ・・」

さっきまで虐められてた女の子は、まだ座り込んで呆然と成りゆきを眺めていた。



「さくら」その2


虐めをしているその集団に無言で近付く。
集団の輪から10mほどまで近付いたところで、集団の中の一人が私の存在に気付いて声を荒げた。

「何見てんだよ!向こういってろ!」
集団の中の一人が私に向ってそう言うと、数人の男女がいっせいに私に向って睨みをきかせる。
無言でその集団と数m離れた場所で立ち止まった。


「(さて・・どうする?)」
ふと、自分の足を見ると震えているのが見えた。
集団とはいえ、まだ幼さを残したガキ共とはいえ、やはり体は正直に恐怖を感じていた。
が・・その集団の中心で土埃や血、涙で汚れた子を見たら、さらに恐怖が加速するものの、逆に言いえぬ怒りも湧いてきた。

「(あれ・・?・・・もしかして・・女の子なのか?)」
最初は男の子だと思っていた虐められていた子は、よくよく見たら女の子だった。年は集団と同じくらいだろうか。
「(同級生のいじめ・・か・・)」

頭の中が真っ白になっているのか、集団の声もあまり聞き取れない。
集団の前で固まっている私に一人、2人と近付いてきた。
時が止まったように感じる。
「(どうする?・・)」

胸ぐらを捕まれ、何かを罵られている。
後から近付いてきた男のガキはニヤニヤと笑いながら、たぶん罵っているんだろ。
虐められてた女の子を取り囲んでいた数人もこっちに向って歩いてくる。


時間にしたら、ほんの数秒だっただろうか
私の胸ぐらを掴んで罵っていたガキが、再度胸ぐらをたぐりよせようと力を入れた時、やっと我にかえった。

その瞬間、私は右肘でガキのテンプルを痛打していた。
ガキは私の襟から手を離さずによろめくので、再度引き寄せて再度肘を打ち込む。
空いてた手でガードされたが、そのまま体重をかけて打ち込んだ後、襟を掴んでいた腕をからめて横に投げ飛ばすと、つんのめる様にガキは転げた。

まだ自分の足は震えてはいるけど、固まってはいない。
場の空気が少し変わったのが何となく感じた。
余裕が生まれ、視界が広がる。
「はは・・10年ぶりだけど体が動くわ」
久しぶりに人を叩き、投げ飛ばした感触を思い出した。


「どうする?」
口から出た言葉は一言だけだった。
後で思ったが、格好良い台詞ってのは日頃から言い慣れてないと出てこないモノだなと思ったね。
視界が開けた事で、対峙する相手が見えてくる。
一人は肘打ちで地面にふしてる男のガキ。
そのすぐ後ろで少しビビりが入っているも、まだ交戦的な男。
さらにその後ろには男2人に女が三人。どれもまだあどけなさが残るガキ共だ。
一人の男は威勢はよさそうだが、踏み込んではこない。
もう一人は腰が引けてるのが見てわかる。
女3人は男共以上に好戦的ではあるが、手を出す雰囲気ではないが、口は男以上に激しいモノがあったが、キンキンと響く怒鳴り声に頭が痛くなりそうになった。

再度、口を開いてみたが・・出てきた言葉は
「どうする?」の一言だけだった。



「さくら」その1


はじめまして。タロウといいます。
ここで綴るのは過去から今までを・・
フィクションかノンフィクションかは読んでくれた人が判断してくれればいいです。



彼女達との出会いは今から10年ほど前の、今日のような暑くて爽やかな日でした。
あれから私の人生がこんなに変わるとはその時は思いもしなかったけど
出会えた事に今は感謝しています。



「暇だ・・・暇すぎる・・・」彼女と別れて早数年。行き付けの店の女の子を口説くもケンもホロロに断られ
独りさびしく休日を過ごしていた、今日のように爽やかな日。
誰かと遊びにでもと誘うにも、友人は結婚したり、彼女ができたりと暇な私の
相手をしてるほどヒマではなさそう・・
しょうがないので、引っ越して間もなかったこの街の探索がてらにブラブラと
街を歩いてみる事にした。


住んでる街は、それなりの大都市の、それなりの下町風情を残した、
まぁどこにでもある、普通の街。
実家とそれほど離れてもなく、一人暮らしをするにはそれなりに揃った
便利の良い街を私は好きになってた。
ただ、仕事と部屋の往復だけで、ゆっくりと町並みを見る余裕もなかった。
・・独りで歩くのに抵抗があったのかもしれない。


商店街は夕飯の準備に追われる奥様達が自転車で颯爽と駆け抜ける様を横目に
歓楽街では開店準備前に水撒きなんかしている横をすり抜けて、はじめて見る
裏露地に好奇心がうずいて、ついつい見知らぬ風景に足を踏み込む。

少し歩いた先に、そこそこ大きな公園が目に飛び込む。
「へぇ~~、こんな所に公園があったなんて知らなかったな・・」
公園だけじゃない、商店街の店も、歓楽街の飲み屋のネオンも何もしらなかった。
気が付けば、コンビニくらいにしか出歩いてなかった自分に気付いた。
「たまの散歩もオツなものかな」
陽がかげりだした公園の木々は濃い緑色に姿を変えだしていた時間だった。


それほど大きくもない公園を横切ろうとしていた時、木々の影に数人の集団を
目にしたのだが、どうも様子がおかしい。
立ち止まってその集団を観察すると・・・・どうやら一人を取り囲りかこみ
なにやら騒いでいる。

「・・・いじめか?・・・」
集団の中に一人がしゃがみこみ、廻りから蹴りを入れられたり、叩かれている
ようにも見えた。
よく見ると、中学生くらいのガキ達だった。
パッと見、不良と判断はできないが、自分の子供の頃とは違って、不良も
それなりに普通の子供と大差ない格好だから、最初はじゃれている程度に見えた。

「・・・さて、どうしたものか・・・」
正義感が強いほうでもない。できればトラブルや喧嘩沙汰には近付きたくない。
ただ・・廻りを見渡しても自分以外は、その集団しか公園の中には存在しない
状況に頭を抱えた。素通りしようか・・


意を決して、その集団へ足を進めた。