実家の畑では、えんどう豆が大きくなってきています。

先日、モロッコインゲンを追加で植えます。

今後の成長を考えて支柱を立てなければなりません。

杭を打ちます。

 

そこへ父がやってきてます。

杖をつきながらよろめきながら

杭を打っている私に近づいてきます。

 

私から杭を取り上げて

支柱を埋めるための穴をあけます。

 

「こうして、こねて、ちょっと持ち上げて

おろす」

 

歩く姿からは想像のできない

しっかりした腰つきです。

 

再び父から杭を受け取って

教わった通り穴をあけます。

 

満足そうに

また、つえをついて

よろめきながら

椅子まで移動して腰かけます。

 

父は、軍師のようにどっしりと椅子に腰かけて、

畑いっぱいに支柱を立てるまで

満足そうに私と母の作業を見守ります。

 

人工透析、膀胱癌、肝細胞癌と

たくさんの病気と

折り合いをつけながらの

日常の父ではありますが、

季節季節の農作業が

生きる楽しみです。

 

4月に入り

父は肝細胞癌、母は乳癌の経過観察のための

定期通院が入ります。

 

結果は二人とも経過良好です。

 

本人も家族もほっと一安心です。

 

母は、節目節目で神様に参ります。

 

経過がよかったことも神様に報告です。

 

その報告の時、

父が米寿になっていることに

きづきます。

 

誕生日が師走の父は、昨年、満86歳を迎えます。

数えではその時点で87歳。

年が明けました。

数えはすぐに88歳。

 

実家は

数えで祝い事をする地域です。

 

早速、母は、参拝計画を立てます。

 

多くの神社には本殿までに階段が多く

父の移動が難しいと

いろいろと自分の体験を

検索しています。

(「インターネットって何?」という母は自分の体験が

最大のデータベースです)

 

「川尻神社にしよう」

大安の日に参拝することになります。

 

当日、運転して父と母の参拝支援にあたります。

 

大きな神社です。

 

本殿の近くまで車で行けます。

階段もほとんどありません。

 

受付には

祝い事毎に

受付票がおいてあります。

 

一度に3組の参拝を受け入れられます。

 

神事の最中

静かな中

鳥のさえずりが心地よく聞こえてきます。

 

「えっ」

車の音も聞こえてきます。

 

交通安全祈願に

車を乗り入れられるようになっているようです。

 

なるほど、階段が少ないのも

うなずけます。

 

神事を終え

父も母も満足そうです。

 

お昼は、近くの老舗うなぎや

「若松屋」で

ささやかなお祝いの昼食をとります。

 

「やっぱ、酒が多かったな。

ここは酒蔵があるけんね」

父がつぶやきます。

 

何のことを言っているかと思っていると

どうも正面にはられていた

神社へのお供え物一覧を思い出していたようです。

 

心穏やかに

健康であることを感謝しているかと思いきや

その注意は・・・

 

でも、これが長生きの秘訣なのかもしれません。

 

88歳の父は

うなぎ定食を

のこすことなく

ぺろりとたいらげます。

 

「いやー、うまかった。

ありがとう、ありがとう」

 

次は白寿を目指す食欲旺盛の父に

母も安どの米寿の参拝です。

 

※神社からは長寿のお箸をいただきました。

実はお祝いに同じく箸を考えて、別行動で妻が買い出しにあたっていました。

移動中、そのことがわかり、

急遽、妻に連絡。

ぎりぎりで夫婦カップに切り替えることができました。

参拝してお祝いの品を渡そうと計画するときは

要注意です。