大根をひいた後の畑の写真

畑の大根は、最後です。

抜いた後は、土をならして次の作付けの準備です。

 

 

「水分をいっぱいとってくださいね」


父に看護師さんが声をかけられます。

 

内視鏡を挿入したことから

予後のケアとして告げられた内容が

透析中の注意事項と正反対なのに

透析患者の父は、困惑しています。

 

「父は、透析中ですので・・・」

 

「あっ、そうでしたね。

それでは、いつもの通りの

水分調整にしてください」

 

少し、ほっとしたようです。

 

診察時に、

経過は良好であること

内視鏡検査後の感染防止のために

昼食後抗生剤を2錠飲むよう

医師から説明と指示があります。

 

父は、

入院しなくて済むと

安堵して

薬の説明の時は上の空です。

 

同伴している母が

薬局から薬をとり

帰路につきます。

 

父は

車中で

昼食用に買ったパンを

食します。

 

薬をなるべく

早くのむためです。

 

母は、

信号待ちの間に

助手席に座っている

父に薬を渡します。

 

「あっ」

父が声を上げます。

 

どうも手渡された薬を落としてしまったようです。

運転している私はどうすることもできません。

 

「なんでちゃんととらんと」

母が後部座席から

怒ったように言います。

 

「すぐはなすけんたい。

よか、薬のまんでん、死にはせん」

父は開き直ります。

 

「さっき先生がいわしたよね。

検査に内視鏡を入れているんだから

炎症防止に

今日は、2錠しっかり飲んでくださいねって。

飲まんと膀胱に炎症がおこるかもしれんね」

 

父の態度が変わります。

 

「そこの工事中の空き地があるから

とめんかい。

とめて探してくれ」

 

我が身に危険だとわかると

豹変します。

 

母はあきれ気味に

「ほらみてごらん、

誰のための通院ね。

自分の薬は自分で管理せんとね」

 

車を止め

座席を探します。

落ちています。

 

薬を受け取ると

手早く口に放り込み

水で流し込みます。

 

薬の渡し方をめぐっての

夫婦喧嘩

 

こうした光景も

平和だからこそ

ほくそ笑んでみて

いられます。

 

これから数日後

かの国では

誰もがまさかの

戦火が・・・。

 

平和の中で保たれている命。

 

戦争になったら

 

今の生活は・・・