タオル帽子横からの写真  タオル帽子正面からの写真

▲ボランティアの人に作っていただいたタオル帽子。

自分のお気に入りのデザイン柄のタオルでこんなに素敵に。

ありがとうございます。

 

 

▲午前中いっぱい強い雨が降り続きます。

 

 

▲病院の喫茶で治療の終わりをまつ。

窓越しのみどりが疲れをいやしてくれます。

 

 

▲午後は雨がやみましたが、雲はまだまだ暑く垂れこめます。

 

 

「一回り小さくなっていますね」

 主治医は超音波の写真で

抗がん剤投与前と

今日の様子を

比べて説明してくださいます。

 

今日は3回目の抗がん剤投与日です。

 

経過を見るために

いつもの血液検査に加え

エコーの検査も入ります。

 

「ちょっと、あんたがみてくれんね。

私には、ようわからん」

 と、母。

 

 ディスプレイには

腫瘍の部分が黒く表れていて

電子メジャーでその大きさを測定した

結果が出ています。

 

確実に小さくなっています。

 

「順調に薬の効果が

出ているということですね」

 と、私が確認すると

 

「そうです」

 と、主治医は具体的に

測定した大きさを説明されます。

 

「今日は、左の胸も調べらしたです。

なんかあっとですか?」

 と、母が不安げにたずねます。

 

「大丈夫ですよ。

リンパの腫瘍も小さくなっています。

転移はありません」

 主治医からの説明をつづけられます。

 

「ああ、よかった。」

 

母の顔がほころびます。

ほっとするやいなや

次の質問がとびます。

 

「髪は、まだぬけつづけるんですかね」

 と、母。

 

「はい。

全部、抜けてしまうこともあります。

でも、

治療が終わったら

かならず生えてきます」

 主治医は力強く確信をもって説明されます。

 

想定していたとはいえ

主治医から説明を受けると

確証が得られ

安心できたようです。

 

「血液検査も問題ありません。

化学療法、今日もやっていきましょう」

 と、主治医。

 

化学療法室に移動します。

 

看護師さんから

呼び出しがあります。

 

看護師さんの横に

一人の女性が

タオルで作った帽子を

もって、たっています。

 

「お預かりしていた

タオルで、作ってみました。

つけてみられませんか」

 

 女性は、

ボランティアの方で

抗がん剤治療で

髪が抜けていく人たちに

タオルの帽子を作って

くださっているそうです。

 

母は、前回の治療の時

自分の好きな絵柄の

タオルを預けていたそうです。

 

帽子を装着するため

母は、

治療室の中に。

 

ボランティアの方と

母の感想を待ちます。

 

「田舎なもので

近所の人が

気さくに家を

訪問しあうんです。

 

簡単にかぶれて、

涼しい

帽子があればと

思っていたようなんです。

 

この前は

庭仕事を

帽子をかぶらずやっていたら

その様子が

あっという間に噂になってしまってですね」

 

 近況をボランティアの方に説明すると

 

「本当は

何もつけないのが

一番楽なんですよ。

私もそうでしたから」

 と、ボランティアの方

 

「よかです。

とっても、つけやすかです。

ありがとうございます。」

 と、母が治療室から出てきます。

 

「そうですか。

それでは残りの分も

仕上げておきますね」

 と、ボランティアの方。

 

母は、3枚お気に入りの

タオルをお願いしていたようです。

 

たくましい。

 

3時間あまりの化学療法が始まります。

 

その間、義母のお墓まりです。

義母の地域は今日がお盆。

妻の車で迎えに来てもらい

病院を抜け出します。

 

まだ、強い雨が降り注いでいます。

川は、流量にもう少し、余裕はありますが

濁流で勢いがあります。

 

義母のお墓につく頃には

不思議と雨がやみます。

 

我が家でとった

榊をお供えし

線香をあげ

義母にお盆のあいさつと

近況を報告します。

 

病院にとんぼ返りすると

治療終了予定の時刻まで

少し時間があります。

 

病院には、

最近新館ができ

喫茶コーナーが誕生。

 

コーヒーとパンで

お昼をとります。

 

窓越しには

雨に洗われた

植え込みの緑が鮮やかです。

 

化学療法室の待合室に移動。

しばらくすると

母が療法室から出てきます。

 

手には、紙袋。

タオル帽子が

三つ

入っています。

 

「もう、できたつね」

 たずねると

 

「治療が

終わったときは

おいてあった。

じょうずね。」

 と、上機嫌です。

 

自分の好きなデザインで

作ってもらった

世界に一つだけの

タオル帽子。

 

何よりの

お見舞いです。

 

「看護師さん、だーれも

かつら(WIG)に気づかっさんだった。

ばってん、タオル帽子の方がすずしか。

おなかが減った。お昼とろうかね」

 ご飯を持ち込んだはずなのに

おかしなことを母は、いいだします。

 

「右に点滴が入りやすかったもんで

右手が使えんかった。

やっぱパンがよかったかね。

どこか、なかね」

 

先ほどの喫茶店でパンを購入します。

 

メロンパンとリンゴデニッシュ

 

会計の合間に

おいしそうに食べます。

 

3回目の抗がん剤投与

今のところは食欲は

維持できています。