五百円硬貨…
最近始めた五百円貯金が二万円を超えた。
貯めるつもりでは無かったのだが、何故だか私は五百円硬貨が事のほか好きなのかもしれない。
幼少期には切手・コインの収集に興味を持ち、鳥シリーズや花、趣味習慣を追いかけた。
哀しいかな、貧困民族な私では『収集』と呼べる程のコレクションには至らなかった。
雪の蒲原、見返り美人などは今でこそ数千円で手が届くものの(当たり前…)当時は高嶺の花で、漫画雑誌の巻末に掲載されていた見本を、ジーッと見つめては溜め息をついていたものだった。
切手でそれなので、コインにいたってはそれこそ全く手が出ない。
それでもまだ祖父達が明治生まれだったので、古銭ならばいくらかは手に入ったものだ。
お気に入りは五銭銅貨。
黄銅貨かもしれないが、現代の五百円硬貨と同じ位の大きさだったように記憶している。
外国のコインのように女王や偉人達のレリーフのないシンプルなデザインで、真ん中に
銭
と書かれた五銭玉は、「まだ使えるんだよ」と教えてくれた亡き父親の声とともに、今だに忘れ難い想い出となっている。
時代は移り、私の子供達が幼かった十数年前、私がトラックに貯めていた五百円硬貨をよく「ちょーだい」と言って欲しがっていた。
それはどう贔屓目にみてもコレクションの為ではなく、菓子やゲームソフトを手に入れる為なのは明らかだ。
カメラのフィルムケースに入れていた五百円玉を見つけては、二人して小さな手の平を揃えて、アーモンドのような眼差しで私を見つめていた往時が、涙が出る程懐かしい。
だからなのか知らないが、今でも時折思い出したように五百円硬貨を集めたくなったりする。
今、仕事を始めた彼らには見向きもされない五百円玉。
私に向けられたあのキラキラした眼も、もう見られないのだろう…
福島飯坂にて…