珍味
ラブホテルには男性の1人客が数多く来店する。
それは、デリヘルを呼ぶためだ。
この日も何人か男性1人客が来ていた。
その中に顧客情報に「要注意」が記された客がいた。
なぜかというと、
チェンジ多し。
常連さんの困ったさんだ。
オートロックなのでドアの開け閉めは全てフロントで管理する。
これが結構面倒くさい。
この日は、年の近い社員さんと2人だったので、
監視カメラでデリヘル嬢の顔面をチェックしながら、
「なんでチェンジしたんですかね。今の美人でしたよね。」
などと盛り上がっていた。
すると、飛びきりの美人がチェンジされた。
社員さんが俺に、
「どこのデリヘルか聞いて来い。」
と言い出した。
「えっ。」
と俺が戸惑っていると、
社員さんが制服を脱いでTシャツ1枚で出て行った。
しばらくして、
にこやかに紙切れを持って帰ってきた。
ミッション完了みたいだ。
しかし、1つ疑問が残った。
彼はあの美人をなぜチェンジしたのか。
答えはすぐに分かった。
珍味好き。
世の中は微妙なバランスで成り立っていることを実感した。
スカトロール
仕事にも慣れてきて、
普通に監視カメラを眺めていると、
プルプルプル、と電話が鳴った。
コンピュータに「掃除中」と表示されている部屋からの電話であった。
俺が電話を取ると、
中国人のメンテナンスの方が、
「うんこいっぱい」
と言ってきた。
頭でも打ったのかと思い、
もう1度聞きなおしてみると、
どうやら、
部屋がウンコまみれらしい。
いわゆるスカトロプレイ。
支配人に
「部屋見てきてもいいよ」って言われたが、
丁重にお断りしておいた。
トイレやお風呂ならまぁ許せるが、
(ラブホテル勤務者ならではの考え方)
部屋の中はありえない。
おかげでその部屋は臭いのため、
この日他の客に売ることはできなかった。
しかもこの客はメンバーズカードを持っていた。
それなので顧客情報として、
スカトロマニア
と入力しておいた。
これで次回からはメンバーズカードを機械に通すと、
「スカトロマニア」
と表示されることになった。
自業自得だ。
1つ声を大にして言いたいのは、
「うんこは食べ物じゃアリマセン。」
ってこと。
そんなもの病気の犬しか食わない。
(1部の)人間ってまさにクレイジー。
続き
バイト先のホテルは、
所有している会社と運営している会社は違うようであり、
所有会社の人が1人と運営会社の人が4人であった。
そしてバイトは7人ほどで、男6人と女(?)1人。
これはすべてフロントの話であり、
メンテナンス(清掃)には、社員はおらず、
オール中国人だった。
社員とバイト合わせて昼と夜は3,4人で、朝と深夜は2人、
といった人数配分であった。
俺は夜・深夜専門であった。
まずバイトの先輩に一通り仕事を教えてもらい、
教えてもらいながら、
「ここ超楽だよ。いいバイト見つけたね。」
と言われた。
(この先輩にはもっと悪いことを教えてもらうことになる。)
やはりバイトの1番の仕事は、
ルームサービスだ。
サービスデザートをおこなっていたので、
ルームサービスがひっきりなしだ。
それを作って持っていくのだが、
やはり最初は緊張したし、
衝撃だった。
社員さんの中で、1番若い社員さんと深夜勤をすることが多かった。
その社員さんを俺を上手くイジり、
笑いを生んでいった。
俺をイジって笑いを作るのが、ここまで上手い人に出会ったのは、
衝撃の出来事であった。
俺もパスを生かせるように最高の切り返しが出来るよう気を張っていた。
この社員さんとのゴールデンコンビが炸裂するのは、
また、別のお話。
初日
勤務初日。
制服を渡された。
トレーナーとポロシャツ。
デニムは私物でいいそうだ。
仕事内容は大きく分けて3つ。
館内の監視。
館内(部屋を除く)の掃除。
ルームサービスの調理・配達。
である。
他にも細々とあるが、
主な仕事はこの3つ。
これまたよく聞かれる質問が、
「部屋の中には監視カメラついてるの?」だが、
あるわけない。
犯罪だっつーの。
しかし、館内のあらゆる所にカメラはついている。
間違ってもエレベーターの中や柱の影でKISSしたりするんじゃない。
見てるこっちは不愉快だ。
それとよく聞かれる質問が、
「ラブホテルはヤーさんが経営してるの?」だが、
答えは「その多くはYES」だ。
このバイト先は普通の経営者だったが、
やはりラブホテルの経営には直接もしくは間接的に
関わってる事が多いと聞いた。
それを実感させられる出来事があったのだが、
それは、また、別のお話。
面接
まずアルバイト面接初日、
真昼にラブホテルに正面から1人で入っていった。
これはかなり勇気が必要だった。
(よく友達に聞かれた質問で多いのが、
「どうやってそのバイト見つけたの?」だが、
アルバイトの求人は堂々とアルバイト求人情報誌に載っていた。)
中に入ると、フロント周りを掃除していた
爽やかな青年が笑顔で迎えてくれた。
事務所の中で、面接が始まった。
案外普通の人が多かった。
普通のことを聞かれ、
普通の話をした。
髪型はモヒカンみたいに奇抜すぎなければ何でもいいと言われた。
(この後、俺は様々な髪型をしていくのだが、どれも奇抜だった気がする。)
結果は電話ですると言われ、帰宅した。
結果は合格。
いよいよ働くことになったのであった。
