学問/山田 詠美
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大昔、若い頃(子ども?)に読んだ山田詠美は、衝撃的でした。こんな鋭い感性持った人いるんだあっていう驚きで、夢中になって、当時出ていた本は、全て読んだんじゃないかと思います。



昔の本は、若くて突っ張ってて、研ぎ澄まされてて、でも優しい心を持ってるって感じで、大好きだったんですよね。



で、ものすごく久しぶりに読んだんです。私も母になって、感じ方が変わったんですね。たぶん、随分丸くなってしまったような気はするけど、きっとこの本も、詠美ワールドなんです。



面白かったですよ。昔のような感動はないですけど、確かに、面白いと思います。



最初にその人の死亡記事から始まります。何歳でどんな死に方だったかの記事です。それから、その人の子ども時代にはいっていくんです。7歳からの10年間の青春時代の生と性がリアルに書かれています。4人の男女の欲望、食欲、睡眠欲、知識欲、そして、性欲。



読んでて、男女の友情が気になりました。主人公の仁美が大好きな心太とは、恋人同士とか体の関係を持ってしまうと、その先どうしたらいいかわからない、この関係を崩したくないというところです。



まるで、その友情は、結婚しても死ぬまで続いたみたいな風に書かれてるところが、それはちょっと違うって思ってしまったんです。



私も学生の頃、誰よりも仲の良かった男友達がいましたが、その友だちが言ったんです。


「おまえとは、別れたくないからつきあわない。一生、こんな関係でいたい。」



私たちは、肉体的な繋がりはないけれど精神的な繋がりがあるなんて、お互いにお互いを特別な存在として、位置づけていました。お互いに違う人と付き合っていても、変わらず、何でも話せる親友だと思っていたんです。



でも、お互いの気持ちはどうだったんでしょう。お互い大好きなのに、自分の気持ちを”特別”という言葉で抑制してしまっていただけだったんじゃないだろうかと、今なら思うんです。



その友だちのことは今も、住所や電話番号、もちろんメールアドレスも知っていますが、私たちの連絡の取り合い方は、余程のことがない限り、今では、一年に一回の年賀状でのご挨拶だけになっています。



これが、当時私たちの望んだ、決して別れることのない関係だったんでしょうか。



今では、そんなことをこの男友だちに聞いてみる気もないのですけどね・・・・・。