IN/桐野 夏生
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好きな作家さんです。ニコニコでも、最近、ブログにどう本の紹介を書いていいのか、わからなくなってるんです。



好きな作家さんだし、サクサク読めるんです。もちろん、面白かったです。



「IN」の題名をかけてか、第三章以外、淫、隠、因、陰、姻、IN、という章名になっています。



小説家のタマキは、不倫をしていました。でも、不倫だとは思っていなくて、タマキには、恋愛だったのです。そして、自分の恋愛の「抹殺」を追い求めることと、小説家の緑川未来男の書いた自分達家族の実名入り事実小説「無垢人」の中の登場人物に同じものを感じて、「無垢人」の中の登場人物たちに取材をしていきます。「無垢人」には、緑川の不倫と妻の狂乱と○子が出てきて、最後、一番下の息子が海で死んでしまうところで終わっています。最後、「無垢人」とは、誰のことを指すのだろうっというところで、○子の手紙が出てきて、・・・・・・。



もっと若い頃、異性を好きだと思う気持ちだとか、嫉妬だとかいうものは、若者だけにあるのであって、歳と共にそんな感情はなくなっていくものだと思っていたんです。でも、そんな感情って、きっといくつになってもあるんだろうなって、今は思うんです。


この本の中に出てくる、86歳の緑川の妻は、未だに死んだ夫のことも不倫相手のことも許せない、ずっと恋愛が続いているっとありました。何か、わかる気がするんです。きっといくつになったら、女じゃなくなるとかって、ないんですよね。死ぬまで、女。若い人だけの感情ではないんです。



そして、”恋愛の抹殺”っというのは、きっと不可能なんでしょうね。記憶が薄くなることはあっても、きっとそれは、形を変えて、何かを現すようになる。その何かは、人それぞれなのでしょうね。