今日は、お話会で話されていた方の話をします。


お話を結構聴いておられる方のほとんどは、もうどんな心の持ち方が正しいのかということがだいたいわかっています。

でも、自分の地金というものは、一生直るものでなく、常々、いろんなところで顔を出してきます。そうして、正しい心と地金が自分の中で葛藤して、時に地金に負けてしまったりするんです。



お話をされた方のお歳は54歳、ご主人は62歳ですでに定年退職されているそうです。いつも思うのですが、お話をされる方は、品のいい控えめな感じのする方ばかりで、話をされると、へーこの人がぁって驚きます。



この方のご主人は、大のパチンコ好き。退職されてるので、毎日、パチンコに行かれてたそうで。パチンコをする人の奥さんは、夜の夫婦生活にひじ鉄を食らわしているっとお話会では言われていて、穴に玉を入れたいというのが、その欲求の現れだとか。


「私、54歳で恥ずかしいですけど、夫婦生活、嫌いじゃないんです。だから、ひじ鉄なんて食らわしてません。」


っとその方は、先生に言われました。


「じゃあ、どんなに用があって忙しくても、ご主人が寝られる時は、一緒に布団に入っていますか?」


例え洗い物が残っていても、アイロン掛けがあっても、主人が寝られる時は一緒に布団に入る。そうして、主人が眠られたら、起き出して残っている用をすればいいということなんです。

私はまだやることがあるからって言う事自体がひじ鉄を食らわしていることになるのです。


それから、夜は、合わせることができるようになったのに、相変わらず、ご主人は、朝から晩までパチンコに行っていたそうです。奥さんは、働いてないし、退職金を切り崩しながらの生活なのに、毎日、ご主人が言われるそうです。

「お金足りないんだけど、お金ない?」



「ないわ!」



そう奥さんがおっしゃると、ご主人は、自分の背広のポケットの中に入ってないかと洋服ダンスでごそごそしている。奥さんは情けなくなって、


「そんなにしたいんなら、持ってけ!」


っとご主人の背中に五千円札をぶつけたこともあったとか。その方が愚痴を先生に言いに行くと、先生が言われました。


「ご主人、お昼の食事はどうされてるの?」

「さあ、知りません。」



「あなた、お弁当を作って、ご主人に持って行きなさい。」


何で朝から晩まで好きなことして遊んでる主人にお弁当なんか作って持っていかなあかんのよーっとその方は、ぶち切れそうになったそうです。

「お金は、ご主人のお金でしょう?」


この一言で、やってみようと思ったと言います。


ご主人は熱い物は熱く冷たいものは冷たく召し上がらないと気のすまない方だそうで、ポットがたくさん家にあったので、熱いお湯をはってうどんを入れたポット、器を入れたポット、汁を入れたポットと分け、グラスに氷を入れて冷やして袋に入れ、また氷を入れたポットにビンビールを入れ、食後の薬と水筒に水を入れて、パチンコ屋に向かったそうです。


いつもは、パチンコ屋の駐車場にご主人の車があるのを見つけると、またおるわっと腹が立ったらしいのですが、その日は違いました。

パチンコ屋にご主人の車を見つけて、ああ、いて良かったっと思ったそうです。そして、パチンコ屋でご主人を見つけて言いました。


「あなた、お弁当を持って来ました。おなかすいたでしょう。」

ご主人は、それはそれは驚いて、急いで、席立ちますの札を台に置いて、二人で駐車場の車の中に入りました。

「あなた、どうぞ、温かいおうどんです。冷たいビールもあります。」

「おー、こんなとこで、こんなうまいもんが食えるとはなあ。」


ご主人はニコニコで、嬉しくて仕方がない様子だったそうです。

それから、毎日、メニューを変えながら、お昼にパチンコ屋にお弁当を持っていく日が続いたのですが、ある日、午前中に奥様に電話がありました。

「今日は、弁当ええわ。もう帰る。」

「どうしたんですか?体調が悪いんですか?」

「何かもうしたくなくなったわ。」


「あなた、お金ならいくらでもあります。好きなだけ使ってください。」

「本当にもうしたないんや。」


それから、ぱったり、パチンコに行くことはなくなったそうなんです。この方たちの息子さんが就職して、初月給をもらってきた時にこう言われたそうです。

「お父さんにパチンコで使ってもらおうと思っていたのに・・・。」



お父さんの好きなことを好きなだけやってもらいたいっと皆がお父さんを思う気持ちになったとき、お父さんがまじめな人に変わってしまったというお話でした。