【毎日新聞】北京五輪の競泳は17日、計9日間の日程を終え、延べ25個の世界新記録が樹立された。前回のアテネ五輪は8個。屋外(アテネ)と屋内などの違いはあるが、3倍以上に増えており、極めて異例な五輪レースとなった。

最大の要因は、英スピード社が今年2月に開発した新水着レーザー・レーサー(LR)の普及だろう。個人種目での世界記録19個のうち、LR着用者による達 成は17個を占めた。残る2個はフェデリコ・ペレグリニ(イタリア)が女子二百メートル自由形の予選、決勝で記録。ペレグリニは自国のジャケッド社製水着 を使った。

また男女計26の個人種目優勝も、LR着用者が23種目と9割近い。女子二百メートル自由形優勝のペレグリニ、女子自由形の五十メートル、百メートルをアディダス社製で制したブリッタ・シュテフェン(ドイツ)のみが、LR以外で金メダルを手にした。

ペレグリニは、アディダス社の練習用水着にジャケッド社製水着を重ね着する珍しい方法を取った。彼女が「(生地が薄くて)破れやすいため」と言うように、ジャケッド社に限らず、他社が新開発した水着もLRをヒントにしたと見られるタイプが目立った。

日本代表31人は、24人がLRだけでレースに臨み、5人がミズノ、デサント、アシックスと国内3社製を着用。2人が種目によってLRと国内社製を使い分けた。個人種目で延べ19個樹立された日本新記録は、すべてLRによるものだった。

ただ、女子百メートル平泳ぎ8位の北川麻美(スウィン大宮)はアシックス、同二百メートル平泳ぎ7位の金藤理絵(東海大)はデサントの水着で、大会前の予 想以上に躍進。同二百メートルバタフライの星奈津美(スウィン大)、同四百メートル個人メドレーの藤野舞子(FBインターナショナル)もミズノ社製で自己 ベスト記録は更新するなど、国内社製の新水着も健闘した印象だ。【堤浩一郎】