【読売新聞】暑さで人が次々に倒れて病院に運ばれ、時に死に至る。この時期、「熱中症」には要注意だ。

 気象庁によれば、猛暑は、8月いっぱい続くという。なんとか無事に、この暑さを乗り切りたい。

 各地で熱中症患者が多発している。救急搬送された患者の数は7月、多くの地域で前年を大幅に上回った。東京都内では約600人、大阪、京都市内ではいずれも200人以上と、それぞれ前年の4倍以上にのぼった。

 最大の原因は、7月の急激な気温上昇だ。例年なら熱中症の“本番”は8月だが、今年は梅雨明けから一気に暑くなり、都市部を中心に最高気温が35度以上の「猛暑日」と最低気温が25度以上の「熱帯夜」が続いた。心身を休める間もない。これではもたない。

 熱中症は、体温の調節機能が低下して起きる。発汗、血液循環という体内の熱を放出する仕組みがうまく機能しなくなる。炎天下の屋外だけではない。屋内でも、風通しが悪く、熱がこもると、熱中症になる恐れがある。

 血液の巡りが悪くなれば、めまいを感じる。発汗が止まらなくなれば、体内の水分、必須物質が失われ、筋肉がけいれんしたり失神したりする。

 死亡例も多い。少ない年で数十人、多い年で500人以上が亡くなる。暑さに弱い幼児や高齢者のほか、男性では、外で活動することの多い10代、体力が衰え始める50代前半にも犠牲は多い。

 症状が出たら、まずは体温を下げる。暑さで倒れたのなら、涼しい場所に移して、衣服を緩めたり水をかけたりする。水分、塩分も補給する。重症なら医療機関へ急いで運ばねばならない。

 予防も大切だ。屋外では日陰を歩く。屋内にいるなら、風通しを良くする。水分は十分に補う。夜は良く休み、疲れをためない。