【NikkeiNet】今年15%に上ると予想されているインフレ率を除けば、ロシア経済は今も好調を持続している。石油価格に下がる気配はなく、個人消費の伸びは衰えをみせない。設備投資も伸びている。それに金融市場は国内総生産(GDP)の成長を超える勢いで拡大している。その中で今回、保険市場を調査してみた。どうしてかというと、高い伸び率の割りにはまだまだ小さい市場で、投資対象として非常に魅力を感じるからである。

 2007年、ドル建て保険料ベースでロシアは、20位のスウェーデンと22位のデンマークの間に挟まれた世界21位の保険市場である。世界市場の0.73%を占める。他のBRICs諸国と比べると中国は10位、インドは15位、そしてブラジルが19位なので、どれもロシアより大きな市場規模を持っている。ちなみに日本の世界シェアは10.46%で、アメリカとイギリスに次いで第3位である。


ロシア保険料
ただ伸び率(07年)で見た場合、ロシアは日本や米国を上回り、中国(19%増)には負けるが、16.59%(インフレ影響を除いた数字)と高い上昇率を自慢できる。中でも損害保険と生命保険を個別に分けてみるとき、より興味深い数字を発見できる。


 損保の市場規模だけを見るとロシアは12位まで浮上。11位の中国にはまだまだ勝てないが、14位のブラジルと26位のインドを上回っている。半面、生保になると様相は一変。完敗としか言いようがない。ロシアは世界46位に沈み、8位の中国、11位のインド、そして22位のブラジルとの間で大きく差を広げられている。しかし、生保市場の伸び率では、BRICs4カ国の中でトップの30.3%成長をみせる。小さいながらも良く伸びているという特徴を持つのが、今のロシア生保市場の姿である(井本沙織のロシア見聞録より)。