否の日本語ラップまみれ -72ページ目

8TH WONDERインタビュー

8TH WONDERのヴァルハラ発売につき、メールインタビューを敢行しました。

ありがとうございました!! 個人的にJINGくんにも感謝!!


長いので2回に分けてます。ご了承ください。



・自分にとって焦燥が初めて8TH WONDERに触れた作品であったのですが、Eternal Triangleを出すに至るまでの結成経緯を教えてください



Masashi:

1999年にKSKFakeは二人で活動していたんだけど、その頃渋谷のクラブのトイレでたまたま二人と出会ったんです。トイレで出会ったってのも変な話だけど(笑)、イベントが終わって朝方また会って連絡先交換してっていう。その次の週会ったときは何だか知らないけどいきなりアナログリリースする話してたな(笑)。ちょっとタイミングが違っただけでなかった出会いだし、よっぽどピンとくるものがあったんでしょうね、潜在的に。その頃はJayAdamっていう黒人とカナダ人のラッパーと5人でよく活動してたんだけど、自分のインストものも含めて3本デモテープ作って、方向性も固まって来たところでみんなで金貯めてEternal Triangleを作りました。


8TH WONDERの曲には人に対しての問いかけ、自問自答のような面をよく見ることがあるのですが、曲に対してテーマを統一して作っているのですか。また、構成はどのように考えられているのでしょうか



fake:

テーマ、トピックに関しては、やはりスタートだから、決めないとゴールまでたどり着けないと思うんだよね。そこから地獄にも似た、紙の上の戦争が始まるんだけど。構成も曲によりけりだけど、決めて納得行くまで話し合うよ。後は個人の経験、思い入れ、感情、喜怒哀楽を丸めて白紙の紙に、投げては返され、投げては返されの連続でいつか…約束もされてない、いつかを待って、時には追って、曲が完成する感じだね。



KSK:

まず、テーマを決めて。それについて考える。一日中そのテーマを抱えて、生活してみますね。そうすることで、まずは自分の生活と結びつけるんです。この段階では、完全に自分の視点からしか見ない。それから、時間をかけて今度はそれをほぐしていく。色々な人の立場になってみたり、色々な状況に置かれた自分を想像してみたり。あと、未来の自分を浮かべてみたりもして。そうすると、昨日までは出ていた答えに疑問が出てくるんです。はたしてこの考え方は正しいのだろうか?とか。俺が言うべきことなんだろうか?とか。ましてや、僕らは3人いるわけで、最終的に生まれた自分なりの答えを、もう一度ふるいにかけるわけですよ。他の2人の。それが、自問自答だったり、問いかけだったりに聞こえたりするのかもしれないですね。そうとう苦しいものにも捉えられてしまうだろうし。逆に、ものすごく信頼できる答えを出せていたりもしていると思うんですけどね。精密な構成というよりは、一つの出口を目指して、テーマを迷路のように、それぞれの答えが歩いたり走ったり止まったりを繰り返しながらできていく流れ。そういう意味じゃ、機械的ってよりは生き物に近いというか。僕らの内蔵とかもどうしてこの場所にあるのかって。誰が決めたの?って。でも、時間をかけるうちに、理由ができて、あるべき場所に納まってるっていうか。それと似てるのかな?



Masashi:

トラックの構成は元々出来ている場合が多いから、ここはfakeだな、とかこのビートにはKSKが合うな、って感じで二人に割り振って行って、三人のバースが出揃ったところでフックを作って、みたいな感じですね。で、完成したかのように見えたトラックに納得が行かなくなりすべてやり直す、みたいな(笑)。



・前回の焦燥と違い、アルバムを通してドラマを見せられているというか、コンセプトがあるように感じたのですが、製作にあたってこだわっていることはありますか


fake:

アルバムのタイトルは大分前から決まっていて、多分コンセプトは後からついてきたような気がするな。長編映画の様に見える曲もあるし、ショートショートの様な、短いんだけど、奥行きがある曲もあるしね。もう解き放たれてるから、あまり喋っても伝わらないかな?でも、聞いてくれる人の事を思って作った事には間違いないんだけどね。



KSK:

これは、意図的にというものでは決してなくて。お互いが日々生活を重ねていく中でそれがドラマになっていって。表現もそれとともに描写的になっていったのかなって。伝えたい、伝えたいって考えながらやってるから。もちろんそうじゃない曲もいくつかありますけど、エゴ満載っていうか。だけど、とにかく伝えたいって気持ちが強くなってきたんです。自分だけの世界じゃないんだなって。単純にそこを考えさせられる場面が増えていって。視野が開いていった。前までは一人のことで精いっぱいだったんだけど、曲を聴いた人のことも思い浮かべるようになったというか。こんなの当然のことなんですけどね。これまでがパーソナルだったから。開いたときは、その反動で思いっきり風が吹いたんじゃないですかね。誰かを思うっていうのもコンセプトとして太くあったのかもしれないです。だから完成できた。


今回初のフルアルバム、しかも2枚組で作られていますね。2枚組になったきっかけは一体なんでしょうか



Masashi:

焦燥から5年間、ずっと曲作っていたのでとにかく曲数が多かったという(笑)。今回収録しなかったバースや、ビートもたくさんあります。とりあえずこれまでの俺らを出し切るには、どうしてもある程度の曲数と収録時間が必要だった。


・タイトルとなるヴァルハラとは一体なんでしょうか



Masashi:

北欧神話に出て来るワードで、とことん本気で戦った兵士が死後に辿り着ける場所です。単純に言えば、俺らは日々本気で戦えているのか、後悔なく生きてるかっていう。アルバム制作中にも深く人の死を考えさせられる場面が何度かあって、突然ある日この自己闘争に終わりが来たとして、後悔なくその日を迎えられるか、その日が明日だったら悔いが残るな、とか。あるいは、自分が物質的に満たされているとして、自分の生に終わりが来た時それらを失うことはどれくらい惜しいと感じるのか、家族と離れることはどうか。自分のやるべきことを精一杯やっている人間が、志半ばで倒れたとして、そんなとき彼にはどんな景色が見えるのだろう。自分だったらどんな景色が見えるのだろう。。。そんな景色の一つがヴァルハラでしょうか。


8TH WONDERはライブを見ることがあまりないイメージがあるのですが、自分は1度見させていただく機会がありました。その際に3人ともギターを弾きながらラップをするという今まで見たことのないライブスタイルでやられていたのがとても印象的だったのですが、ライブについてはどう考えて行っていますか。



KSK:

ライブについてはホントその言葉のまんま。LIVEなんです。LIFE=命の複数形。生活の複数形。もう一人の自分っていうと無責任だけど、自分の延長というか。そんな時間が流れる場所なんです。もちろん、どこまでいっても自分だから普段の生活の積み重ねも現れてくるし。本当の生(ナマ)ですね。そこから始まって、観られているっていう場所だから。そこでは僕らだけで完結していない。観ている人たちも目や耳や肌からモロに影響を受けますよね。僕らは僕らを外から観ることは決してできないから。だから自分たちのライブに関してはどういう見え方なのかは分らない、純粋な意味で。だけど、引き込めているって感覚だったり、近づいてきてくれているっていう感覚だったりはあるんですよ。そういう時間てすごいと思う。初めて会う人達と一瞬で情報交換というか。予想外のものまで伝わってしまうから、そこは怖くもあるけど(笑)。だからこそ、そういう交換する力を強くしていきたいし、伝わるまでの速度をもっとあげていきたいってのはあります。現に上がってきているし。これからも期待してもらっていいと思います。それは僕らも唯一外から楽しみにできる部分でもあるから。


Masashi:

俺は元々バンドでギター弾いていたので、ギター弾くのは楽しくて仕方ないんです。弾きながら顔がニヤけてます(笑)。やっぱりhiphopのライブというとターンテーブルにマイク、というのがあって、それで勝負しているアーティストたちはもちろんかっこいいし、逆にそれで成立しているライブはリスペクトしてます。でも俺はバンドのダイナミズム、MCのフリースタイルと楽器のインプロヴァイズが組み合わさったところで何か新しいものが生まれるといいなと。ライブは生モノだから、何が起きるか分からないってとこがやっぱ魅力で、そういう意味ではfakeKSKのフリースタイルが毎回違った何かをその場に運んで来てくれるのは、俺もいつも楽しみにしてるところです。



・8TH WONDERの魅力の1つとして、トラックの素晴らしさがあると思いますが、今回のトラックはMasashiさんが作られたのですか?それともCHAOSさん?


Masashi:

8th wonder名義の作品では、俺がトラックを作ってます。これまでもそうだし、これからも8th wonder名義である以上は自分のビートで勝負したいと思ってます。もちろん外部のビートメーカーにリミックスをお願いしたり、コラボすることはありますけどね。chaosには焦燥以降、ミックスやライブの現場を手伝ってもらっているけど、もはやファミリーなのでchaosの好みの音がミックスに反映されて来ている部分はあると思います。でも音像の好みに関して言えば重なる部分もあるけど違うところも結構あるので、俺の好みと違うところは「それは違うな~」ってツッコミまくってるけど(笑)。




・それでは各個人への質問です。まずMasashiさん。


Masashiさんは8TH WONDERのほかにもImmigrate UsNejel Mongrelなど別の部分でも活動を行っており、8TH WONDERでも自分の中でブレインとして動いている印象があるのですが、8TH WONDERでのMasashiさんの役割は何だと思われますか。

Masashi:

8th wonderを始めた当初は、二人のリリックのチェックというか、ダメ出ししまくったり、自分のビートとともにそこに乗ってくる言葉にも自分の理想の世界観があったので、その世界観に二人を引っ張って行って、正直8th wonderは俺のグループだ、というような思いがあったと思う。約8年くらい活動を共にして、数えきれないくらい色々なことがあり、憎しみに近い感情を抱いたり、寂しい思いをしたり、死ぬほど愛したりして、今は完全に8th wonderは三人のものだと言える。今は愛し合ってます(笑)。もちろん今でもお互いにダメ出ししたり、ダサイことやってたら容赦なくツッコむだろうけど、基本的には全面的に信頼してます。というか二人の最大のファンでもある。だって二人のラップはもう凄いからさ。俺はそれに応えて凄いビートを作って行かなきゃならない。もうラップは二人に任せて音作りに専念しようかな、と思うときもあります。でも結局二人がヤバいバース書いて来ると燃えちゃうんだろうけど(笑)。俺にも一緒にラップさせてくれ~って(笑)。今思うとDJ Klockさんはもう何年も前に、「ラップは二人に任せてマサシ君は音に専念するのも良いんじゃない?」って言ってたな。じゃあやっぱそうしようかな(笑)。

・自分としてMasashiさんで一番印象的だったのが、前作焦燥でのとてつもない小節数のラップだったのですがラップをするに当たってMasashiさんが考えることは何でしょうか

Masashi:

バースを書くにあたって、やっぱりビートと言葉がセットで景色が見えるような、頭の中で映像や色や匂いが伴うようなものが作りたいっていう思いは常にあります。焦燥を書いたとき思ってたのは、言いたいことがたくさんあるなら、全部吐き出せばいい、ってこと。だからあんなに長くなったけど、今は逆に、1行だけのフレーズを延々と繰り返すような曲がドープなんじゃないかと思ったり、逆に途切れることなく20分くらいのワンバースの曲が合ってもヤバいと思ったり。ラップと同じく言葉を表現手段の一部とする小説や、映画や、演劇なんかと比較しても、ラップでやれること、まだ誰もやってないことってまだまだ無数にあるんじゃないかと思う。今回のアルバムで俺たちの様式美は吐き出したから、今後はより一層そういう前人未到のドープネスを追いかけて行きたいです。今自分のソロ用の曲でやっているのは、オンビートのスタンダードな黒人的なラップで文学的なトピックを歌うというスタイルで、やっぱり新しいスタイルを求めて曲を作っているときが一番楽しいですね。








その2へ続きます・・・

Brave Race Nation / EP:0001

1.come in (intro)

2.alchemist

3.space travelers

4.SL4 5th Ave bond street

5.voyage log

6.my sweet wanderings

7.vienna flight

8.more than words



Samurai TroopsのY.O.GやSONPUBが所属していたBrave Race NationのEP。


Y.O.Gの声も今より若く、SONPUBの音も今とちょっと違った感じ。SONPUBの1stはこの作品の先にあったものだと考えると納得がいく。


ラップがあるものとインストのものと完全に曲で分かれているが、軽すぎて個人的にはこの後に出ているY.O.GのフルアルバムやSONPUBのソロアルバムの方が好み。

IZATURA CREW / ITAZURA CREW

1.DOPENESS BLUE

2.TSUKIYO NO HANA

3.BLACK BIRD

4.ILL LOCAL STREET BLUES



ITAZURA CREWのEP。もともとDJ YMGのMIX CDでILL LOCAL STREET BLUESが収録されていて、衝撃を受けたのがきっかけで存在を知ったのですが、福岡特有の独特なカラーのトラックにMC(人数3MC?,名前不明)がラップしています。どちらかといえばTHE BACK WARSのような感じかも。


ILL LOCAL STREET BLUESは7分30秒もある大作で6MCのマイクリレー、だれることなく一気にたたみかけます。今後に大いに期待できるグループです。