○きっかけ
以前バラの花びらで綿布を染めたことがあった。花びらを酢で揉みだして作った染料に布をつけると鮮やかなピンク色になった。その後、布を水で濯いでも、ピンクの色が布によく残っていた。しかし、ミョウバンでつくった媒染液の中に浸すと一瞬でグレーになってしまった。
同じような現象が他の花で染めた時も起きた。今回は、どうして色がグレーになってしまうのか、ピンクのまま染める方法はないのか調べていく。
○花びらの色素アントシアン
ピンクや紫の花に含まれる色素はアントシアンと呼ばれるものである。アントシアンには気をつけたい3つのポイントがある。
①熱に弱い
なので鍋でぐつぐつ煮出すのはNG。花びらや染液が茶色くなってしまう。
②酸性水の中だと色素が取り出しやすい
まさに赤紫蘇と梅酢の関係。ピンク色の発色がさらに強くなる。
③ミョウバンで媒染をすると赤みが失せる
他に鉄媒染でも同じように赤みが失せてグレーになってしまう。
よって、玉ねぎの皮と同じやり方で染めてしまうと上手く染まらないことが多い。
○花びらで布をピンクに染めるには
・布の濃染処理をする
媒染剤を使わないので、布と色素の結びつきをよくするためにも、布を濃染処理しておく。私は調整豆乳に布を浸して、乾かす方法で処理している。
・すぐ染めない時は花は冷凍保存
色を保つために、すぐに染めない時は花びらを冷凍保存しておく。乾燥させてしまうと茶色くなってしまうことが多い。使う時は自然解凍をする。
・酸性抽出をする
食物酢250㏄に対し、水150㏄を加える。
この中で花びらを揉むことで色素を抽出する。
掃除用のクエン酸でもできる。(もっと少量で済む。)
※もし温度を上げるとしてもお風呂の温度までにする。
・布を染料に浸して一晩おく
色素をよく定着させるために、いつもより時間をかけて一晩おいておく。一晩経ったら水で染料をよく洗い流す。
この方法であれば布をピンクに染めることができた。重ね染めもしたことがあるが、濃さが増すことはあまりなかった。染料の中の酸性の物質が色止めのはたらきをすると同時に、布に色素を入りにくくしているのかもしれない。
○ふりかえり
草木の中には様々な色素があり、扱い方もそれぞれなようだ。とはいえ、ミョウバンでグレーに変わった色や、茶色に変色した花びらで染めるのもまた味がある。
ピンクの布が花びらで染めたもの。