〇きっかけ

 前回、石油から作られる化学物質の香りについて学んだ。このような芳香剤にはメリットがありながらも、問題もはらんでいる。一方で、自然素材の芳香成分’精油’であれば、環境負荷が少なく、安心して使用できるというイメージが強い。よって、今回は精油と環境問題の関係について詳しく調べていく。

 

〇たくさんの植物を必要とする

 精油は10mlの小瓶で販売されていることが多い。例えばラベンダーであれば10mlの精油の抽出には花穂が1kg以上必要だと言われている。さらに高価な精油であるローズは花の部分を30kg用意して、やっと10ml抽出できるのだという。よって、精油を生産、流通させるためには非常に多くの植物が必要となる。

 

 その結果、大規模農場を開発したり、植物を乱獲したりといった大きな環境負荷をかけることにつながってしまっている。実際に、精油の原料であったローズウッド、サンダルウッド、フランキンセンスなどの樹木が絶滅の危機に瀕している。

 

 加えて、精油を抽出する際に、多くの熱エネルギーや水を消費することも知っておきたい。

 

〇天然素材も人体に影響を及ぼす

 柚子湯に入った時に、肌荒れになってしまったことがある。このように、自然由来の芳香成分の中にも人体に影響のあるものは存在する。また、香りを強くするために、たくさん用いたり、濃度を濃くしたりすれば、その分影響も強くなってしまう。

 精油と言えど、もっと細かくみていけば植物由来の化学物質にいきつく。また、香りには好き嫌いもあることから、自分にとって好きな香りでも、他の人にとって悪影響を及ぼすこともある。実際に私はユーカリの精油の香りで体調を崩したことがある。よって、’香害’の問題は天然素材であっても起こりうる。

 

〇ふりかえり

 精油のメーカーさんの中には、活用されていない日本の森林の樹を使って精油を作るところもあるそうだ。(スギやクロモジの香りが注目されているとのこと。)他にも、成長の速い植物を精油の原料として栽培することで、環境への負荷を小さくしているところもあるそうだ。

 

 時には’無香’を生活の中に取り入れるのもいいかもしれない。そうすれば、植物の香りやお料理の香りといった、生活の中の些細な香りに気づく力がつくと思う。

コーヒーかすをカップに入れて冷蔵庫内に入れておくと消臭剤になる。効き目が弱くなったらコンポストでたい肥化。