〇きっかけ

 先日蝋梅の枝で染めていた際に、媒染剤にミョウバンと重曹を用意した。すると、重曹で媒染した布の方が濃く染まった。水洗い後に再び染料につけると、ミョウバンで媒染した布の色があがり、結局重曹の布と同じくらいの濃さに染まった。

 この経験から、草木染がどんな仕組みで染まっているのか、媒染とはどんな反応なのか詳しく知りたくなった。今回は以下の文献を参考にしながら、草木染の仕組みについてまとめていく。

 

2019年 日刊工業新聞社

『天然染料の科学』 天然色工房tezomeya 青木 正明

 

※当方、化学が大の苦手なので、ふんわり理解しております。

詳しい人にとっては曲解している部分もありますので悪しからず。

 

〇草木染の仕組み

染める前の布は、細かく見ていけば分子でできている。

同じように、草木から取り出した色素、これも様々な分子でできている。

 

分子には官能基と呼ばれる’手’のような部分がある。

 

布の分子の手と色素の分子の手の相性がいいと、

化学反応や相互作用をおこして、分子同士がくっつくことがある。

これが草木の色素が布の繊維に染まる仕組みになる。

 

この’手と手’の結びつきには様々な種類がある。

(イオン結合、配位結合、水素結合…等)

中には’弱い’結合もあるので、水洗いや日干しの刺激を受けてとれてしまうものもいる。そうすると’色落ち’が起きてしまうことになる。

 

シルク等の動物性の繊維は、分子レベルでみていくとアミノ酸でできている。

アミノ酸は20種類もあり、シルクも10種類以上のアミノ酸が組み合わさってできている。

様々なアミノ酸で作られていることから、様々な’手’(官能基)を持つことできる。

よって、色素の手との相性のいい組み合わせのバリエーションも増える。

これにより、色素と繊維の分子同士の結びつきの数が増えて’よく染まる’ことになる。

加えて様々な方法で結びつくので、中には’強い’結びつきのものもあることから、

’色落ちしにくい’とされている。

 

※アミノ酸は、様々な種類でできたブロックのように、他のブロック(色素)とも結合しやすい。

 

綿等の植物性の繊維は、分子レベルでみていくと、ブドウ糖でできている。

ブドウ糖はアミノ酸と違って一種類しかない。

ブロックで言えば1種類だけでつながっているようなものだろうか。

そうなると、色素との結合の方法も水素結合の1種類しかなくなる。

そのため、色素と結びつくことも少なくなるし(染まりにくい)、

水素結合は弱いため、結びついた色素も脱落しやすい(色落ちしやすい)。

 

〇ふりかえり

 化学の苦手な私にとっては、今回のお勉強はかなり大変なものだった(笑)。それでも、ものの仕組みをしるというのは面白いし、今後の実践の肥やしになっていくと思う。今までなんとなく豆乳で濃染処理をしてきたが、色の定着や色落ちを防ぐために非常に肝要な工程であることを学んだ。

 タンパク質でできた繊維は染やすいこということであれば、ウールも染めやすいことが予想される。草木染とはまた別の話で、ヘナという植物の成分で髪を染める方法があるが、髪もタンパク質であるから、きっと染まりやすいんだろうなと思った。

 次回は、草木染において大切な工程である媒染についてまとめていく。