SNSが生活の一部となった現代。
僕たちのコミュニケーション範囲は世界中へと広がった。
様々な人と気軽に繋がりを感じられるこのツールは、
人類を豊かにも、不幸にもする可能性を秘めているのだと思う。
SNSを代表するインスタグラム。
視覚である写真をメインとしていることが
若者層に受けたのだと、僕は分析している。
そんなインスタグラムにはDMというメッセージ機能がついている。
登録者同士がダイレクトにメールでやりとりができる仕組みだ。
友達同士であればLINEを利用することだろう。
つまりこのDMは、あくまでSNS上での繋がりに対して備えられているというわけだ。
僕のDMにも、さまざまなメッセージが届く。
フォローをしたことによる、お礼のメッセージなどを受け取ると
『わざわざご連絡ありがとうございます』
と必ず返事をするようにしている。
SNS上とはいえ、そこには人がいるわけなのだ。
どんな内容のメッセージでも、そこに人がいるのであれば僕は返事をする。
例えば、こんなDMもくる。
私は毎晩、一人で寂しいです。良かったらLINEで繋がってもらえませんか?
私の一人〇〇の動画を見ることができます…
はっきり言って何がしたいのかがわからない…。
男が、むやみやたらに性への欲望があると考えているとすれば
それは誤解である。
または、
副業に興味はありませんか?誰でも必ず稼げる仕組みを公開してます。
僕はあなたに興味がありません。あなたと繋がったことに後悔してます。
心の中ではこんな感じな僕だが、
いずれのDMにも必ず返信をするようにしている。
『いえ、僕は結構です^^』
このように返信すると、もう連絡は来ない。
しかし先日、
営業のDMにしてはなかなか根性のある方がいたので
今日はその内容をシェアしたいと思う。
まずはこんなDMが僕に届いた。
こんばんは^^
携帯だけでどこでもできるお仕事を紹介してます。
やった分だけ収入に繋がるお仕事です。
稼げるようになるまで全力でサポートします。
初期費用などもかからずに、安心してできます。
いかがでしょうか?
まず僕は、彼と面識はない。
その僕に稼げる仕事を紹介してくれるなんて、なんて良い人なんだ。
そう思い、彼のプロフィールを覗く。
25歳、経営者、人脈が大事、稼ぎ方教えます!
と、こうある。
プロフィール写真は風景画で、経営者のはずの彼の顔はわからない。
投稿も一つのみだ。
お気づきだと思うが、この手のアカウントほど怪しいことはない。
動いてる様子がまったく感じられないのだ。
僕は返事をした。
『今は必要ないですが、その時はよろしくお願いします^^』
我ながら、なんとも素晴らしい対応だろうか。
すると彼から返事がある。
わかりました!
格安SIMの代理店なのですが、ちなみに携帯代はいくらですか?
なかなか粘りがある青年だ。僕は感心した。
一度くらい断られた程度で、引き下がるなら最初からやるべきではない。
僕は、この手の若者が好きだった。
僕は返した。
『〇〇さん、僕は結構ですよ^^』
するとこれにも返事があった。
わかりました!お時間ありがとうございました!!
なんと好青年であろうか。
今までの輩ならば、この時点で返事もなく終わるものだ。
しかし彼は、自ら詫びてきたのだ。
僕は彼に興味をそそられていた。
そして少しでも彼のビジネスの発展に協力できないものかと考えていた。
僕は返事をした。
『〇〇さん、熱心にありがとうございます。
〇〇さんの職業がなんなのか、どんなロジックで売上となるかは存じませんが、
SNSを集客として利用するのであれば、もう少し違う角度から考えてみてはいかがでしょうか?
余計なことでしたが…。』
今思えば、本当に余計なことである…。
面識もなく、勝手にDMで営業しただけなのに
その営業は断るものの、手を指し述べているのだ…。
すると彼は返事をしてきた。
こちらこそご指摘ありがとうございます!
そうですよね。kazuyaさん的にはどうしたほうがいいとかありますか?
勉強させて頂ければと思います!!
そう返してきた一回りほど若い彼に、僕は好感すら覚えていた。
そしてここから数時間ほど仕事について、人生についてDMでやり取りをしたのだ。
最後にはお互いの手をがっちりと握手した。
(もちろんそのくらいのイメージということである…。)
すべてのやり取りが終わり、僕は感じていた。
SNSが生活の一部となった現代。
僕たちのコミュニケーション範囲は世界中へと広がった。
様々な人と気軽に繋がりを感じられるこのツールは、
人類を豊かにも、不幸にもする可能性を秘めているのだと思う。
しかし”そこ”には人間がいる。
手軽さによって冷たさを感じるツールでも、扱っているのは人だ。
であるならば、使う側の一人一人の気持ちによって
豊かにも、不幸にもできるのだと思う。
そしてその一歩目を踏み出すのは、僕ら当人なのだ。
しかしはっきりしないことは、
彼が本当に”彼”なのか、そして本当に”一回り近く若い”のか…。
ここがネットの怖さでもあり、自由さでもあるわけで…。
17的、SNSで温かみを感じた話 ー完ー
『やりたいことをやって生きる!!』
そう決めた僕が、経営に関わっていた会社を辞め、
キャンピングバスで生活しながら旅を始めた実録記。
道中での数々の奇跡的な出会いや、
妻へ公開プロポーズをするまでの神がかりな出来事を書いた自伝小説です。
【~LIFE IS A JOURNEY~僕の半生記】