昨日のことだ。


昼13時を過ぎころ、妻とランチに行くことにした。

歩いて駅前まで行く途中にある天ぷら定食屋が目的地であった。

定食屋の前についた僕らだが、入り口に貼ってある紙をみて躊躇した。

【テイクアウトのみ営業】

いくら島根県の感染人数が少ないとはいえ、

この時期だから仕方のないことである。

テイクアウトもいいが、店内で食事をすることに飢えていた僕らは、

駅まで歩くことにした。

駅構内にいくつかあるお店を物色してみたが、

あまりピンとくるものがない。

駅構内にある飲食店メニューの”かしこまり具合”は、なぜだか昔から苦手である。

続いて僕らは、駅前の焼肉ランチへと向かった。

お店の前には、13:30ラストオーダー、14:00閉店とある。

手元の時計は13:33…。

すぐに入れば対応してもらえる時間だが、

食事を忙しく食べることが嫌いな妻は『やめよう』と言う。

僕も妻の意見には賛成だった。

完全なランチ難民となってしまった僕らは、

少し歩いた場所にある【はま寿司】へ向かうことにした。

14時手前だったが、土曜日だったこともあり【はま寿司】には10名ほどのウェイティング客がいた。

【はま寿司】は入り口にペッパー君という人型ロボットがいる。

”ネコ型ロボット”ではないことに少し残念になりながらも、

指示通りにパネルを押し、ウェイティングレシートを受け取った。


密状態を意識しながら待っていたところ、

隣の妻が言う。

『カウンターならあと2番目だね』

それを聞いた僕は、ペーパー君の上部にあるモニターに目を向けた。

そこには次に呼ばれる順に番号がわかるように表示してあった。

1~4番目までは”テーブル席”、5番目と6番目が”どちらでもOK”、7番目に”カウンター”
という順番であった。

僕らは6番目の”どちらでもOK”だったので、妻が言うようにカウンターが空けば2番目に呼ばれるわけだ。

しかしここで僕は考えていた。

4名以上ならばテーブル席を選ぶ。

1名ならばカウンター席となるだろう。

2名、ときには3名だとしたら”どちらでもOK”を選ぶことがある。

しかし、

2名or3名であえて”カウンター”を選んでくる人の気持ちの強さは評価されないものなのであろうか?

”どちらでもOK”という幅を広げて置きにくる人より、”カウンターで!”と真っすぐストレート勝負をしてくる人の勝負心!

これは順番の繰り上げ評価にはならないものなのか?

トランプゲームにも同じ状況がある。

大富豪というゲームではジョーカーは最強のカードだ。

だがそのジョーカーを封印できる切り札のカードが唯一存在する。

それが普段は最弱小である♠3である。

この場合の”カウンター希望”が、”どちらでもOK”を倒すことはできないものか。



僕は”どちらでもOK”を選択していた。

そして僕は、昔からそういうところがある。

母親が、『夕飯何食べたい?』と聞いてきたときも

いつも『なんでもいい』と答えていた。

献立を考える側にまわった今、その大変さに気づいている。

そして僕は、昔から効率を考えて行動するところもある。

”どちらでもOK”を選択していれば、より有利に事が進む。

このようなヤラシイ考えの持ち主なのだ。

それを思うと、真っすぐに”カウンター”を選んだ人とまともに目を合わすこともできない…。

妻の横で僕は、そんなことを考えていた…。



ジョーカーの切り札  完

『やりたいことをやって生きる!!』
そう決めた僕が、経営に関わっていた会社を辞め、
キャンピングバスで生活しながら旅を始めた実録記。

道中での数々の奇跡的な出会いや、
妻へ公開プロポーズをするまでの神がかりな出来事を書いた自伝小説です。
【~LIFE IS A JOURNEY~僕の半生記】

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