タイトルのとおり不動産登記規則72条2項3号の「官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに準ずるものであって、当該申請人の氏名、住所及び生年月日の記載があるもの」という書類が何にあたるかという話です。

 

結構前の話になりますが、あるお客さま(登記義務者)が売買の所有権移転登記を依頼するにあたって登記識別情報をなくしたという話をいただきました。

売買ですから本人確認情報を作成しようと思い、本人確認書類は何を持っているか確認したところ、免許証もパスポートも個人番号カードも年金手帳も何にも持ってないと、あるのは健康保険証だけと言われまして、それじゃあ本人確認情報どころか、犯罪収益移転b防止法に基づく本人確認もままならないので、できれば個人番号カードを作って欲しいとお願いしたのですが、「前に頼んだ司法書士は住民票で良いと軽く言ってくれた。」と言われてしまいました。

私も、本人確認情報における3号書類は、印鑑証明書は3号書類の要件は満たすが他の添付書類になるので使えないが、住民票は他の添付書類として必要なければ3号書類として使えるという話は小耳に挟んでいたのですが、でも、第三者である司法書士でも職務上必要があれば入手できる住民票(正確には「住民票の写し」)が本人確認情報の本人確認書類となり得るのか、かなり疑問を感じまして、まあ最終的には通るか通らないかの話になっちゃいますので法務局に問い合わせてみました。

登記官も「う~ん、なんか通りそうな話を聞いたことがあるけど・・・」と言われましたが、回答は一旦保留されまして、数日後、回答と言うより参考として、登記研究745号の『登記簿』の記事を読むように教えられました。

 

記事の結論としては、住民票は3号書類の要件は満たすと言うことでしたが、問題はそこではなく登記官から見て本人確認情報全体の信憑性が大事だということでした。

本人確認情報によって事前通知を省略できるのは登記官がその内容を相当と認めたときに限られるので、逆に言えば、たとえ資格者代理人が1号書類2号書類を確認したとする本人確認情報を出したとしても、内容から確認した相手が本人だと認められないようならば、登記官は事前通知に付することができるわけです。

ましてや、1号書類2号書類より所持している人物が本人だと言い切れる可能性の弱い3号書類、例えば住民票では、じゃあなぜ、写真も貼ってない健康保険証と住民票を出してきた目の前の人物が本人だと確信したのかという理由を本人確認情報の内容で説明する必要があるということですね。

登記研究の記事ではその例示として、住民票の住所地にある建物に資格者代理人が赴き本人と面談した場合とか、確認した住民票に記載されている家族に面談に同席して本人であると説明してもらって、その家族を免許証等で本人確認した場合が上げられていました。

そう考えれば、例示と同じ確認方法でなくても、登記官が本人確認情報を読んで「これだけ確認した結果であれば、本人である蓋然性は高いだろう。」と思えるような内容であれば3号書類として住民票を確認した本人確認情報であっても、自信を持って提出できるのではないだろうかと思いました。

どうしても、登記業務というものは「通るか通らないか」で考えてしまいがちですが、今回”3号書類と”いうものを通して、資格者代理人の職責や作る書類の内容がいかに大切かというのを気づく機会となりました。

 

 

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