空へのあこがれ
フライトトレーニング
Cross Country flight ③
クロスカントリーフライト(長距離フライト)その3
ナビゲーション
空港を離れて他の目的地までの飛行の際は、
・目的地までの距離、
・方位(風の影響の修正)
・予定時刻・消費燃料・燃料消費率の計算
・天候等の管理・飛行経路、目的地の天候情報アップデート等々
が必要となり、結構忙しい。
VFR(有視界飛行方式)とは、
地上の景色・地形等を(地図・区分航空図等で)確認しながら、自機の位置を確かめながら飛行する 飛行の方式.
(要するに、ライト兄弟の初飛行以来の、昔からの飛行機の飛ばし方ですね)
VFR用のセクショナルチャート(区分航空図)には、地上の様子→地形(山、川、鉄道、主要道路、高圧電線、塔、煙突等々の)空から見えやすい目標物→などが描かれている.
また、街中(Congressional area)は、黄色で描かれており、建物がたくさんあるので、分かり易くなっている.
(夜間飛行時などは、このエリアは、街灯などで光って見えるので、チャート通りに黄色く見える事が多い)
地上を参照しながら自機の位置を確認して飛ぶという方式であるVFRのフライト中では、
「30分を越えない範囲で地上の地形を確認できる気象状況」
で飛行することが求められている.
ということは、
・Clear of cloud(雲の中を飛ばない)ことは当然
(厳密には、雲から一定の距離を取る)
・ベタ曇(Over cast)時、雲の上を長時間飛ぶことはできない
→ 地面を参照できない
・陸地が見えないような海上を長時間(30分以上)飛ぶ事はできない
→ 地面が参照できない
(ただし、海岸線が見えていればOK.島でもOK)
(島伝いに、陸地が見えない条件が30分以内であれば飛べるので、伊豆大島、新島、神津島、大島、沖縄などへのフライトはできるが、父島などへは飛べない)
小型機は、巡航速度が150〜230km/h位だから、ある程度の高さを飛べば、
200km位は見通せるので、これに30分のフライト距離を足すと、300km位の
洋上飛行はVFRでも可能であることは可能と言える.
但し、無理をして風に流されたりすると、目的地を見失う可能性があるので、そんな無茶はしない。
また、洋上だとトラブル発生の時の代替着陸地がないので、水上艇以外だとリスクが高すぎる。
これに加えて、電波標識(VOR、DME等)を使うと、さらに精度良く、自機の位置の確認や航路を決めることができる.
VOR(VHF Omnidirectional radio range:超短波全方位無線標識)は
VHF(108〜118Mhzの間)の電波を360°全周に向けて送信する施設.
この施設から送信される電波は、方位10°毎に、位相が異なった変調波として送信されている.
そのため、飛行機上の受信機では、その電波標識への方位を知ることができる.
また、電波には、そのVORのコールサインがモールス符号での可聴音の変調がされている
(例えば、MRB-VORだと ー ー ・ー・ ー・・・ と言う音が聞こえてくる)
VORの電波を受信できる距離は、おおよそ150km〜400km位の範囲(高度3,000ft〜12,000ftだと)
VHFの電波なので、飛行高度が高ければ高いほど遠い距離でも受信できる.
その結果は、HSI(下の写真の下側の計器)やCDIに表示され、自機とVORとの位置関係が一目で判る.
Clear option
管制塔がある空港で、着陸承認の通信の後、"Clear Option" と言われる事がある.
<例えば>
"415CA, clear landing 27, clear option, Hagerstown tower"
こう言われたら、、、、
「着陸に支障なし、着陸後の行動は、どうやってもOKですよ」 という意味.
着陸後のオプションとは:
着陸後の行動は、通常、次の選択肢がある
1."Full stop" 完全停止する着陸.
その後、TaxiWayに出てランプや次の離陸のための滑走路末端などに移動
2."Stop and Go" 滑走路上で、一旦、完全に停止し、そこから(残りの滑走路を使って)離陸する方法.
3."Touch and Go" 滑走路に接地後、停止せず、地上滑走の状態から、再び離陸する.
Clear Option:は、上のどれを選択しても支障がないという意味.
(つまり、着陸後は、パイロットの判断で、好きな行動を選んでも構わないという事)
自家用機が20万機も飛んでいる米国では、訓練目的で飛来する飛行機も多く、管制塔もそのような事情を理解している人が多い.
着陸する空港が目的地だったり、給油⛽️や休憩の目的での短期滞在、訓練で離着陸だけ練習したい場合など、様々な状況がある.
[訓練の場合]
FAAの練習の条件(Soloなどの時は)、3回以上の離着陸という条件がある.
・一旦、着陸→Taxi wayを使い滑走路の端に戻る→離陸 を繰り返す(1のケース)
・着陸して停止した後、そこから、再び離陸する(Stop & Go)
・着陸して、そのまま、滑走を続け、離陸する(Touch & Go)
などを3回することで、3回の着陸をしたとみなされる.
Full Stopで停止し、Taxi Wayを滑走路を端まで戻り、再び離陸すると、かなりの時間を要する.
離陸待ちの他機が居たら、離陸も順番待ちになるし、誘導路を戻る(Taxi backという)にも時間がかかる.
練習用の飛行機の多くは、レンタルなので、こういう所で時間がかかってしまうと、本来の離着陸の練習時間が減ってしまう.
だから、その部分を割愛して、Touch&GoやStop&Goを使って練習をすることが多い.
FBO(Fixed base operation)(飛行場で運用されている地上サービス)
小さな空港でも、
・給油サービス(時には、セルフサービスの給油施設の時もある)
・パイロットラウンジ(電話、インターネット、PC、休憩等のための部屋)の施設
・レストラン、カフェ等の食事ができるお店
などが整備されている事が多い.
小型機は、巡行速度で最大でも5時間分ほどの燃料しか積めないので、飛行距離が700kmを超えるような長距離の時には、途中で給油が必要となる.
駐機場に留めた飛行機に、タンカー(タンクローリー)で給油サービスしてくれる所も多い.
空港によっては、自分で給油施設の横まで飛行機を移動させ、セルフサービスで給油をしなければならない施設もある.
特に、夜間はFBOが休止している場合が多いので、セルフサービスの機器だけ(クレジットカードで支払う)が稼働している空港が多い.
(これらの運用時間や、サービスは、エアポートダイレクトリーという冊子に掲載されている)
空港に設置されているパイロットラウンジには、次のフライトプランをファイル(登録)するために、WiFi、インターネットに繋がったPC、有線電話(電話ででもフライトプランのファイルができる)などが準備されていて、エアコンが効いた居心地の良い部屋にソファーや綺麗なお手洗い、コーヒーや紅茶、ジュースなどのフリードリンク、ビスケットやスニッカーズなどのスナック類が置かれている場合がほとんど.
基本的に、小さな空港でもパイロットラウンジは、自由に利用でき、利用料金は無料.
このため、次のフライトのフライト計画やフライトプランのファイルが、ここで簡単に済ますことが出来る.
FBOを利用したい時には、着陸時に管制塔に "Full stop and taxi to FBO" と伝えると、FBOまでのTaxi Way(経路)を丁寧に教えてくれる.
(例えば)
Unfamiliar(不慣れ)な空港に着陸した時などでは、
"Taxi delta, Brabo 2, right turn to alfa, you will come to FBO" などと教えてくれる
大抵の場合、FBOには、小型機専用の駐機スペースがあり、日中だと、誰かがマーシャルをやってくれて、駐機する場所を指示してくれる.
そういう場合は、駐機後、空港備え付けのチョーク(車輪止め)を主脚の前後に入れてくれたりする.
マーシャルや駐機場に人がいない場合は、空いている所に勝手に飛行機を留め、持参したchockを入れておくか、少なくとも一箇所はタイダウンして、飛行機が動かないようにしておく.
田舎の空港だと、駐機場は、大抵、空いているので、どこでも空きスペースに勝手に駐機することがほとんど.そういう時は、小型のビジネスジェットや、双発の自家用機なども、同じ所に留まっているので、周りの飛行機の見物しても楽しい.
シェナンドー国立公園横の空港(シェナンドー空港)は、駐機場がお客の自家用車の駐車場と一緒になっているので、駐車(機)場には、自動車と飛行機が混在して留めてある。FBOの施設は、レストランなどを兼ねているので、自動車の人達も利用している。
こういう、駐車(機)場は、見ていて楽しいが、やはり、こちらは翼の幅があるので、移動時は、周りの車に気を使ってしまう.
こういうところのFBOは、日本の今でいうところの道の駅みたいになっていて、地元物産のショッピングもできて楽しい.