空へのあこがれ
フライトトレーニング
Cross Country flight ②
クロスカントリーフライト(長距離フライト)その2
離着陸がある程度できるようになったら、他の空港に出かけて行って、新しい環境での離着陸を経験するようになる.
【注釈】
ICAO(国際民間航空条約)でつけられている飛行場のコードで、Ko△× の様に”K”から始まる4桁の英数字は、比較的大きな空港につけられるコード.
小さな空港は、3桁だったり、数字で始まるコードがつけられる.
VORには、その所在地の省略名(3桁)がつけられる(空港の様にKがつかない)
(例)米国
フレデリック空港→ KFDK
フレデリックVOR→ FDK(または、FDK-VOR)
・日本の空港には、RJxo というように、RJ+2桁アルファベット でコードが付けられている.
(例)日本
成田空港RJAA、羽田空港RJTT、大阪国際空港(伊丹)RJOO、関西国際空港RJBB
民間、あるいは、小さな空港には、ICAOのコードは付いていない.
その理由は、そこは「空港」ではなく、「場外離発着場」として登録されているから.
「場外」とは、「飛行場外」の意味なので、小さい飛行場(例えば)桶川ホンダエアポート、龍ヶ崎飛行場、福島農場飛行場、滝川エアパーク、大野滑空場、木曽川滑空場、大利根飛行場等々が該当には、ICAOコードはない.タワーもないが、多くは、離発着場の運用や安全確保のために、フライトサービス用の無線周波数(VHF)が割り当てられている.
(当時は)KFDKは、イベント時以外の普段は、管制塔が営業していなかった(現在は 9:00~17:00 管制塔が運用されている)空港だった.
そこで、管制塔とのやりとりの練習も兼ね、管制塔(タワー)が運用されている空港に行くことにした.
以前、練習で行った Carolcounty airport(KDMW)はタワーが運用されていない.
今回は、西北にあるヘーゲルスタウン空港(KHGR)に出かけることにする.
KHGR(Hagerstown Regional Airport) は、タワーが運用されている一番近い空港の一つ.
滑走路も十字型に2本あり、横風着陸の心配もない。
長い方(東西)の滑走路は7,000ft(約2.2km)もある.
KFDKからKHGRまでは直線で24マイルなのだが、その間に、飛行禁止空域のP-40が存在している.
そこで、KHGRに向かう時には、
KFDK → MRB(VOR) → HGR というコースを使う.
(VORの説明は、次の回にします)
KFDKを離陸したら、MRB-VORの電波に向かって(To)飛ぶ.
この時の方位は、概ね275°
MRB-VORの2マイルほど手前から、右に旋回を始め.
MRB-VORから(from)方位 025° に機首を向けると、KHGRに向けて飛んでいる事になる.
まだ、距離は25NM(やく43km程)あるが、 KHGRのAWOSを聴いて、最新の気象情報やその他情報を聞き、メモをしておく.
無線機の周波数をKFDKタワーから、KHGRのタワー周波数に変更し、タワーと周辺(タワー管制圏)の飛行機とのやりとりを聞いておくと、どのような航空機がKHGR周辺を飛んでいるかがわかる.
KHGR手前、20NM位に来たら、KHGRのタワー周波数(120.3Mhz)でタワーにコンタクトし、「そちらに着陸したい」というこちらの意図を伝える.
【具体的には】
(こちら)”Hegerstown tower, Archer 415CA”
(タワー)”Piper 415CA, Hegerstown tower, go ahead"
(こちら)”Good morning, Archer 415CA (is) 18miles south, descending (from) 3,000 for 1,500, in-bound for landing, we have information G ’golf’, 415CA"
(タワー)″Piper 415CA, Report 5 miles Base for 27 "
(こちら)"(We will) report 5 miles base Rway 27, 415CA"
※()内は発声しないが、入っている文章だという意味
意味は、
(こちら)「ヘーゲルスタウン管制塔、こちらはパイパー・アーチャー415CAです(呼び出し)」
(タワー)「パイパー415CA、ヘーゲルスタウン管制塔、要件をどうぞ」
(こちら)「おはようございます。415CAは、空港南25kmほどを3000ftから1500ftに降下しながら、着陸のため、空港に向けて飛行中.ATISの情報Gを受信済みです」
(タワー)「415CA、滑走路27 左回りベースの5マイル手前に来たら知らせて下さい」
(こちら)「滑走路27ベースレッグの5マイル手前に来たら、無線で知らせます」
ざっとこういう意味となる.
これを実際の飛行経路で描くと下の図の様になる.
管制塔は、南の空低いところ(3,000ftはそれほど高くない)を双眼鏡などで探して、こちらの位置を確認する(レーダーでも、居場所を確認している).
こちらの飛行機は、空港に向けて飛んでいるのと、着陸灯(ヘッドライトのようなもの)や衝突防止灯(両翼端についたストロボライト)を点灯しているので、大抵の場合は、目視で見える.
KHGRの滑走路の標高は700ftなので、場周経路高度(パタン高度)は1500ft.
空港から15 NMほどになったら、降下前チェックリストを実施し、3,000ftからパタン高度の1,500ftに徐々に下げる.
一般的には、場周経路に入る時は、Down wind mid-field に45°の角度で合流するので、下のような入り方になる.
今回は、管制塔に、”南からのアプローチ”と無線で知らせたので、タワーは、場周経路の方位から見ると、ベース(方位0°)の方が真っ直ぐに場周路に入りやすいと判断し、滑走路27左回り場周路のベースレッグに直接入るようなコースを指定してきたのだ.
通常のベースレッグだと0.5〜1NMの長さだが、時間の余裕を作るため、5NM手前で連絡してください(その後、まっすぐBase wind に入る)と言う指示となった.
指示された5NM手前で、タワーに連絡を入れる.
【具体的には】
(こちら)"Hagerstown tower, Archer 415CA, 5 miles out 27 base, 415CA"
(タワー)"Piper 415CA, clear landing 27, wind 300 at 3, do you have some request ?"
(こちら)"cleared to land 27, we want to 3 times touch and go, 415CA"
(タワー)"415CA, clear option, Hagerstown tower"
(こちら)"confirmed clear option, thank you 415CA"
意味は、
(こちら)「HGR管制塔、415CAは滑走路27ベースレッグの5マイル外側を通過」
(タワー)「パイパー415CA、滑走路27への着陸に支障ありません.何かリクエストありますか?」
(こちら)「415CA、27への着陸許可を確認.3回のタッチアンドゴーを希望」
(タワー)「415CA、着陸のオプション、何れでもOKです.」
(こちら)「着陸オプション可、了解.ありがとうございます」
という感じ.
着陸のオプションとは:
「着陸後にどうしたいか?」というもの.
Clear Option:は、「着陸後、お好きなようにどうぞ」という意味.
こちらは、予め、3回のTouch and Goをリクエストしているので、それもOKという意味を含んでい(Clear optionの解説は、別の記事でします).
今回は、Touch & Go を3回やりたいとリクエストしていたので、
着陸後、
・タッチ&ゴーで離陸
・そのまま、場周経路にとどまる(これを2回)
・次の着陸を準備している(これを2回)
と言うことが、この無線通信によって、タワーとこちらとの間で共有されたことになる.
直接ベースレッグに入るので、いつもだと、ダウンレッグ・アビームで、フラップ15°、エンジン1800rpmにするのだが、今回はダウンレッグがないので、ベースに入る手前でセット.
ベースレッグに入ったと思ったところで、フラップ30°、エンジン1500rpm近辺にして、降下を続ける.
KFDKでは、パタン高度が1000AGL(地面からの高さが1,000ft)だったが、KHGRでは800ftなので、KFDKの時よりも降下の開始を遅らせる.
左前、60°位(300°方向)に、滑走路が見え出したら、ファイナルターンをして、VASI、PAPIを見ながらアプローチ高度(グライドスロープに)を合わせる.
・高度が低い場合、エンジン回転数を上げる
・速度は、ピッチ(機首の上下方向)で70KIASに合わせる
7,000ftの長い滑走路に着陸.
そのまま、
フラップを格納し、スラストレバーを一杯に押して、フルパワーで離陸
タッチ&ゴーの離陸後〜クロスウィンドに回った辺りで、
(タワー)"Piper 415CA, report downwind-midfield" (ダウンウィンド中央部に来たら知らせてね)と連絡が来る。
(こちら)"Archer 415CA (will) report downwind-midfield, 415CA” (はい、場周経路のダウンウィンド中央に来たら報告します)
と返事をする.
ダウンウィンド中央部に来たら、タワーに無線で知らせる.
すると、タワーからは、最新の風情報と着陸許可などが知らされてくる
"Piper 415CA, clear to landing and clear option, wind calm, Hagerstown tower" (着陸に支障なし、着陸後は自由に決めてよい.風は弱い)
3回目のタッチ&ゴーの離陸後、クロスウィンドにターン(方位180°)したところで、
【帰り】
(こちら)"Hagerstown tower, archer 415CA (will) departing pattern to South from cross wind and climb to 3,000. 415CA"
(タワー)"415CA, Roger, maintain 2500 heading 180 , Hagerstown tower"
「高度2,500を維持」の指示が来たので、2,500ftの高度を維持したまま、南(ヘディング180)に飛ぶ.
数分飛び、空港から5マイル(タワーの管制圏:下の図の青の破線の円)離れた頃、
(タワー)"piper 415CA, frequency change approved"
(こちら)"frequency change approved, thank you for your corporation, you have a good day, 415CA"
(タワー)"You too"
で、管制塔との交信が終わる.同時に、KHGRのクラスD管制圏を出た.
ただし、まだ管制圏に近いので、無線周波数は、しばらくそのままにしておき、2台目の無線機の周波数を121.5か、KFDKの周波数に合わせて置く.
帰りのコースも、同じようにMRB-VORを経由.
管制圏を出た後、VFRで予定していた高度(3,000ft)に上昇し、方位を、MRB-VORに向ける.
上の図の赤の破線は、離陸直後から、MRB -VORに向かった時のコースだが、KHGR管制圏では、高度2,500ft、方位180の指定だったので、そこを出てから、MRBに向けて飛行した.
MRBで方位092に変更し、KFDKに向かった.
(赤の実線のコース)
タワーが開設されている空港では、最初に、タワーとコンタクトし、連絡が成立した後、こちらのインテンション(やりたい希望)を伝え、それが承認されたら、その後は、変更がない限り、特に無線でのやり取りの必要がない.
ノンタワーだと、(Entering pattern, 23 Left Midfield, turning base, turning final, touch&go, up-wind, turning to cross wind, turning-dwon wind 等々)自機の位置を一々放送しなければならないのだが、タワーがあれば、無線交信(送信)の頻度が、すごく減り、飛行(離着陸など)に集中できる.
タワー(管制官)の有り難さがわかる経験となった.