空へのあこがれ

 

フライトトレーニング 2日目(パターン訓練)

 

飛行場で行う訓練(場周経路)は、

 

1.離陸・上昇(1000ft  AGLまで)

 

2.場周経路を飛行

   (1000ft  AGL、速度は120KIAS)

3.着陸

 

の繰り返しを行う.

 

日本の忙しい空港では、練習の制限がかかる事もある(例えば神戸空港RJBKは、一人一日5回まで)が、KFDKはノンタワーで、自由に練習できるので、一日に10〜15回は離着陸訓練ができる.

 

場周経路での離着陸の訓練は、操作に習熟するためにも、何回も行いたい。

普通の手続きだと、

 

着陸後は、滑走路から誘導路(タクシーウェイ)に一旦出て、その滑走路の端(起点)まで戻って、それから、改めて離陸のために滑走路に入るという手順を踏む.

この方法では、

着陸後→減速→(おおよそ10〜20KTになったら)→誘導路にでる→一旦停止→着陸後チェックリスト実施→誘導路を走って滑走路起点に移動→離陸前チェックリスト実施→離陸手順

となり、着陸から離陸まで、かなりのステップがあり、時間がかかってしまう.

そこで、

離着陸の回数を多くしたい時の訓練では、タッチ&ゴー (touch & go : touch'n go)という訓練を行う.

 

Touch and Go とは

  Touchとは着陸で、全車輪が接地すること

  Goとは出発すること

つまり、Touch & Go は、

「着陸」→ 地上滑走 → 「離陸」

という連続した動作を行うこと.

  

Touch&Goでは、着陸して、地上滑走状態となった後、ブレーキをかけず、そのまま滑走路を走りながら、次の離陸準備を整え、そのまま離陸する.

 

 

離陸時と、着陸時は、それぞれ、飛行機の状態やセッティングが異なる.

しかも、普通は、それぞれの状況毎にチェックリストがあり、離陸前チェックリスト、着陸前チェックリスト、着陸後チェックリスト等々をするのだが、それらを地上走行中に完了し、すぐに離陸できるようにする. 

 

Touch&Goでは、接地後、3秒ほどで離陸の状態にし、そのまま離陸操作をする.

飛行機自身は、着陸後なので、滑走路の上を50KIAS(約90〜100km/h)程で爆走している.

 

 

着陸後:

  ・滑走路を爆走中なので、飛行機をセンターラインに合わせながら、、、、

  ・出していたフラップを格納

(パイパーは、手動なので2秒ほどで格納.セスナや他の機体は電動が多いので10秒ほどかかる)

  ・着陸時にアイドルにしていたエンジンをフルパワー

  ・速度計が、Vrを超えたところで、操縦輪をゆっくりと引く

 

という操作で、離陸に移る.

 

着陸時のチェックリストと離陸時のチェックリストの共通したところは飛ばすことができるので、操作は簡単になる。

<例えば>

 ・燃料ポンプ(ブースト燃料ポンプ)は、着陸時にもON、離陸時にもONなので、そのまま

  (セスナなどの高翼機では、燃料ポンプは不要(重力で落ちてくるから))

 ・着陸灯、トランスポンダー、無線の周波数も、共通で同じなので、操作が不要

 

忘れてはいけない事は、"フラップの格納" くらい。

 

フラップが出たまま離陸しようとすると、ショートフィールドテイクオフの操作と同じになり、Vrが通常よりも20KIASほど小さな値となる.

また、フラップで空気抵抗も大きいので、速度があがりにくいのに、揚力は大きいので、低速度で飛行機が浮くが、安定が悪く操縦は難しくなる.

 

Touch & Goの操作自体は、フラップの格納だけだが、そのほかの事項については、操作をしながらチェックを行う

・トランスポンダーがArmed(Active)になっているか?(Stand byだと返事をしてくれない)

・着陸灯、航行灯、燃料ポンプ、衝突防止灯などのスイッチがONか?

・エンジン回転計、油圧計、温度計が正常か?

などは、滑走中に、チラッと計器を見て確認を行う

 

 

練習に使っていたKFDK(フレデリック郡空港)の滑走路は、5,000ftと3,200ftの2本があり、70°の角度で違う方向を向いている.

 

小型の飛行機では、通常はフルストップの着陸には、1,500ftもあれば充分で、離陸には、1,000ft位あれば車輪が地面を離れる.

Touch & Goでは、加速に必要な滑走路が、それほど必要ないので、たとえ 3,000ftの滑走路を使っても、Touch & Goの練習は可能.

(日本の地方空港やプライベート空港では、2,000ftでもTouch&Goを行っている)

 

場周経路を飛行し、Touch & Goを繰り返す事で、1時間の訓練時間で、5〜8回位の離着陸の練習ができる.

1時間半ほど練習して、10回ほど離着陸の練習をして飛行機から降りると、背中は汗でびっしょりとなっている.

力を込めて引いていた腕は、かなりプルプルする状態

 

パイパーアーチャーIII(PA -28-181)の操縦席.

フラップレーバーは、右下(操縦席右下)にある