空へのあこがれ

 

フライトトレーニング 2日目(パターン訓練)

 

飛行場で行う場周経路(トラフィックパタン)の訓練は、

 

1.離陸・上昇(1000ft  AGLまで)

 

2.場周経路を飛行(左に90° づつ3回旋回)

   (最初の高度は1,000ft  AGL、速度は120KIAS)

3.着陸

 

の繰り返しを行う.

 

[AGL:地面からの高さ(= 飛行機の飛行高度 ー 地面の標高)]

 

飛行機の始業点検をし、滑走路脇まで移動(タクシーという).

 

始業点検、エンジンスタート前点検、エンジンスタート、エンジンスタート後点検、タクシー前点検、ランナップ(離陸前点検)を済ませ、滑走路開始点脇のランプで待機.

 

滑走路に入る前に、

1.無線を(それまで連続的に)注意深く受信し、離着陸の飛行機がないことを確認

2.場周経路上(特に、ベースレッグ、ファイナル)に飛行機が居ないかを目視にて確認.

 

無線で(通常ノンタワー運用の空港だったので)

 ”Frederick Traffic,  Archer 415CA,Departure 23,staying pattern 23 Left traffic, frederick"

とブロートキャスト.

 

1.エンジン回転数を上げ、滑走路に入り、飛行機を滑走路の白線に揃える

2.スラストレバーを押し込み、エンジン→最大出力(≒2,700rpm)

3.飛行機が動き出したら、滑走路中心線(白破線)を外れないように、コースをセンターに保つ

4.回転計、燃料流量計、油圧計、油温計、バキューム計などの計器が正常かをチラッとみる

5.速度計の針が、V1、VR(離陸速度:75KIAS)を超えたら、操縦輪を穏やかに、少し手前に引く(gently apply back presser).

6.機首が少し上を向き、同時に飛行機はフワッと浮き上がる.

 (地面を離れると、接地抵抗がなくなるので、飛行機はさらに加速する)

7.速度計がVy(最良上昇速度) 78KIASを指すように、操縦輪の引き具合を調整

8.昇降計(VAI:Vertical  Airspeed Indicator)の針が、プラスを指しているか? 高度計(ALT)の針が上がっているか? を確認

10.Vyの状態で、水平儀でピッチが概ね10〜20°以内で水平をであるかを見るか、正面のエンジンカウリングと地平線が並行かを確認

11.飛行方向(HSI)が滑走路と同じ向き(230°)を保っているかに注意

 

慣れてくると、離陸上昇の姿勢を保ってくれるようにトリムを調整すると、操縦輪に力を入れなくても姿勢を保ってくれるのだが、練習開始当初は、そんな余裕がない(トリムはニュートラルに設定してある)ので、操縦輪を引き続けるのは、かなりの力をかけ続けなければならない.

離陸上昇中は、操縦輪をおおよそ3〜5kgほどの力で引っ張り続けなければならない.

 

飛行中、特に、全出力の離陸上昇中、右手は、万が一のトラブルに備え、スラストレバーに置きっぱなしなので、左腕のみで、操縦輪を手前に引き続ける.

 

上昇操作:

1.方位計が、滑走路の延長上にある(滑走路番号23と同じ)ように方位(230°)を維持

(方位の維持は、エルロンとラダーによって調整)

2.速度は、Vyを維持

(速度の維持は、ピッチ:エレベーターによって調整)

3.高度計がTPA(トラフィックパタン高度)になるまで上昇

    TPAの手前100〜150ft手前になったら、少しづつ操縦輪を戻し(後ろに引いていた力を緩め)、飛行機を水平にしてゆく

4.上昇を止めると、速度が急に上がりだすので、速度計が120KIASになるよう、スラストレバーを少しづつ手前に引いて、速度を調整する

 (おおよそ、2400rpmくらいになる)

 

この操作の途中、

 "Frederick traffic, Archer 415CA, Up wind, 23 Frederick"

と、自機の場所を放送

 

 

旋回(Up wind → Cross wind):

飛行機が水平にった頃、(それまで飛行していた)Up Wind から、Cross Wind へと90°左に旋回

1.速度計:120KIAS・高度計:1,300ft(の変化が無いかを)チェック

2.操縦輪を穏やかに左に回し、少し、手前に引き(バックプレッシャー)、スリップボールが動き出したら、そちらのラダーに軽く力を入れる

3.希望の方位 -15°位になったら、操縦輪を戻し始め、希望の方位に飛行機を向ける(230°− 90° →140°)

 

旋回中 or 旋回直後:

  "Frederick traffic, Archer 415CA turning to cross wind, frederick"

と、自機の場所を放送

 

15〜20秒ほどで、次のターンのタイミングが来る

( KFDK 23Leftパタンの場合、下に、教会の建物が見えてくる。小川を越え、教会の手前でターン)

 

1.飛行計器が正常なのを確認

2.右や正面から進入してくる飛行機が無いかを確認.

3.操縦輪を左に回し、20〜30°ほどのバンクをつけ、高度が下がらないように、操縦輪を手前にそっと引く

4.方位計が右に回り始める.高度が少し下がるようだったら、バックプレッシャーを増やすか、バンク角を15°位まで浅くする

5.目的の方位(050)に近づいたら、飛行機を水平に戻す

6.速度:120KIAS、高度:1,300ftを維持

 

"Frederick traffic, Archer 415CA turning to Down wind 23, Frederck"  か、

"Frederick traffic, Archer 415CA Down wind 23, Frederck" 

と、自機の場所を放送

 

これで、離陸した滑走路23と並行に逆向きに飛んでいる状態となっる

 

Rway05−23は、5,000ftあるので、滑走路のちょうど真ん中に来るまでに、速度を100KIASに調整する作業をする

 

エンジン回転数を2350rpm辺りから、2000rpmに落とし、高度が下がらないように、すこだけ操縦輪を引く.

この状態で、高度1,300ftを維持したまま、速度が100KIASになる.

 

着陸前、チェックリストを実行(着陸灯ON、燃料ポンプON、ミクスチャーFull  Rich、キャブヒーターOFF)

 

Rway23の滑走路番号(ビームナンバー)の横に来た所(アビームと言う)で、

1.エンジン1800rpm

2.フラップ15°

3.速度 90KIAS

 

に合わせる

この状態だと、飛行機はゆっくりと(80〜100ft/min程度)降下を始める

 

 

 

Rway23のビームナンバーが左後45°に見えたら、ベースレッグにターンする

1.エンジンそのままで、穏やかに30°を超えないバンク角で左旋回.

2.方位計が320°になったら旋回終了

3.エンジン回転数を1,500rpm、フラップ30° 、速度80KIASに合わせる.

 (降下率が少し上がり、300ft/minほどになる)

 

"Frederick traffic, Archer 415CA turning Base 23, Frederck"  か、

"Frederick traffic, Archer 415CA Base 23, Frederck" 

と、自機の場所を放送

 

 

 

ファイナルに向けて、右からの(直線進入の)飛行機が無いかを目視で 確かめる

下に、農場の牛舎が見えてきたら、左に旋回(ファイナルターン)をはじめる

 

1.エンジンそのまま、穏やかに20°を目安に左旋回.

2.滑走路が正面に見えたら、そのままのコースを維持.

3.エンジン回転数 1,200rpm、フラップ45°、速度70KIAS

 

"Frederick traffic, Archer 415CA on Final 23, Frederck" 

と、自機の場所を放送

 
Final turnが、一番危険なターン.
その理由は、
 
1.高度が低くて、何かあった時のリカバーするための高度の余裕がない
    (Final  turnは、高度が700〜500 AGL位)
 
2.速度が失速速度+20KT位なので、バンク角が大きいと、容易に旋回内側の翼(この場合:左翼)が失速してしまう.
   (この状態で旋回中に失速するとスピンに入ってしまう.500ft AGLでは回復は不可能.スピン中は、一回転当たり約500〜800ft高度を失う)
 
Finalターンは、ターンのタイミングが遅くてオーバーシュートしてしまったとしても、大きなバンク角を使った急激なターンはせず、穏やかなターンを心掛ける.
旋回ができないと判断したら、ターンを中止し、エンジンパワーを上げ、速度を確保し、場周経路から離脱する.
 
 
 

On Finalに入ったら、この状態で滑走路に向けアプローチする.

 

正面に見えるPAPI(或いはVASI)の色や、滑走路の見え方の変化などから、アプローチ高度を判断.

 

もし、高度が低い場合:

エンジン回転数を上げ、正しい高度(進入角度)になるまで飛行機を水平に飛ばす

もし、高度が高い場合:

エンジン回転数を少し落とし、速度は、70KIASを維持しておくと、高度がすこづつ下がって(実際には沈んで)くる

 

高度や飛行距離の調整は、エンジンの出力調整で行う.

飛行速度の調整は、ピッチ角(機種の上げ具合)を調整して行う.

 

 

適正な高度(進入角度:2.5°)で滑走路に向けてアプローチ.

 

 

滑走路のビーム番号(滑走路に描かれた23の大きな数字)までたどり着けたら、エンジンをアイドル(700rpmほど)にする.

飛行機の姿勢をそのままに保つと、速度が落ちてきて、高度も多めに下がりはじめる.

 

高度が15〜20ft(4〜5m)位になったら、それまで下を向いていた機首を、少しづつ引き上げる.

それに伴って、速度が落ち、〜50KIAS位になり、飛行機は、その姿勢(少し機首上げ)のまま、沈んでゆく.

最終的には、速度が45KIAS程になり、失速警報が鳴る頃、飛行機も穏やかに沈んでゆき、主脚が接地する.

 

もし、主脚が接地せず、低空で浮いた状態(フローティング)になっても、滑走路は、必要な滑走路の3倍ほどあるので、そのままを維持すれば、着陸できる.

(万が一、速度が速すぎて、フローティングが長くなり、滑走路の残りが1500ftを切るような事があれば、ゴーアラウンド操作に移る)

 

パイパーなどの低翼機では、地面に近くなると(主翼のスパンの半分程度の高さ:約4mほど)地面効果が出て、浮力が強くなり、なかなか沈まなくなる。

高翼機であるセスナでは、地面効果の影響が小さいので、同じようなレートで沈んでくれるので着陸がやり易い。

 

飛行機は接地前、後を問わず、滑走路の軸線に機体の軸線を正確に保つことが大切

速度が、100km /hを超えているので、ちょっとしたブレで、簡単に滑走路を逸脱してしまう。

 

主脚が接地したら、飛行機の軸線を滑走路の軸線に合わせ、速度が落ちるのを待つ.

速度の低下とともに、機首が下がり、前輪が接地.

主脚のブレーキを踏み、速度を落とす.

 

 

これで着陸完了.

次は、タッチアンドゴーの手順.

 

小型機(Piper Archer IIIの運転席)の計器類