空へのあこがれ

 

2022年時点の統計では、

米国で登録されている自家用飛行機の数は、205,000約20.5万機)余あるという.

 

 

日本では、2,000年頃は、約800機と聞いていたが(JAPAの安全運転講習会などで)、

最近では、400機弱に減っている.

(国土交通省HPの統計値)

 

 

大きな理由は、

小型機が駐機できる(ベースとして利用できる)、小さな空港(プライベートや民間)が減っている事にある.

 

昭和の時代にあった地方の民間空港が、だんだんと閉鎖されてきた.

 

 

飛行場周辺(元々は森林や耕作地だった所)に住宅が建ったりして、騒音苦情が出たりするようになって、運行者に対しての圧力がかかることが多くなっている.

元々、空港があった周辺を開発し、後から引っ越してきた人達が「環境が悪い」と文句を言う、それが通る.

 

先に空港があったのだから、その音がするのは当たり前なのだとは理解しない。空港は広い敷地が必要で、そう簡単に移動させられない(転移面という、敷地外の進入路の高さの制限もあるので、滑走路前後2㎞ほどは制限がかかる).

 

運用を止める飛行場が出ると、そこに駐機していた自家用機の保管場所がなくなり、登録抹消や海外への売却などが行われた結果、自家用飛行機の機数の減少という事になった.

 

 

 

空港周辺の飛行に関しては、公共・民間含め、どこの空港でも、近隣の住宅地周辺を飛ばないようなローカルルールが公開されている場合が多い.

(非常事態等の緊急時以外の時は)そういうエリアの上空を飛ばないように、パイロットは配慮しながらフライトしている.

 

しかし、多少、飛行経路をずらしても、下から見ると、すぐ近く(真上上空)を飛んでいるように見える(感じる)事があるので、そう言うトラブルは、ほぼ世界共通で起きている.

 

 

米国で訓練していた空港KFDKでも、滑走路 30は、離陸後、数十秒の比較的低い高度で、左旋回するルートが設定されていて、住宅地や学校を避けるためと説明されていた.

離陸まもない低空での旋回は、旋回中に失速する恐れがあり、余り良いマニューバとは言えない.

特に初心者が、それを気にしすぎて、十分な速度・高度がない所で旋回を始めると失速に陥って、立て直す前に墜落という危険性を常にはらんでいる.

滑走路05と滑走路12は、住宅地を避けるため、右回りのトラフィックパタンとなっている.

 

 

私が、日本でベースにしていた茨城県・阿見にあった阿見飛行場も、10年ほど前に閉鎖され、今や、太陽光発電所となってしまった.

そこに駐機していた飛行機の多くは、静岡空港や福島農道空港その他の遠い場所にベースを移さざるおえなくなった.

そうなると、自家用機を飛ばすために、自動車で2〜4時間近くかけ、空港まで行かなければならなくなる.

何のために、飛行機を使うのかが、本末転倒してしまう.

 

 

当時、一緒に飛んでいた(飛行機に乗せてくれていた)自家用機のオーナーは飛行機を手放しパイロットを辞めてしまった.

(彼は、完全に自家用・自費だけで2500時間以上のフライトタイムを持ったベテランだった)

 

 

 

ちょっと残念なことばかりが日本では起こっている.

 

羽田、伊丹、関空、中部、成田などの空港は、自家用機を受け入れないとなっていて、着陸させてもらえないのだが、実はそうではない.

 

ビジネスジェットなどのお金持ちの自家用ジェットはちゃんと受け入れており、金持ちだけが日本の一番便利なインフラを利用できるという不公平な運用を平気でやっている.

納税者である国民がそれを使えないというおかしな事態だと感じる.

 

公共空港は税金でつくられ、税金で運用されているのに、その国民が利用できないというのは、やはりおかしな国だ。

 

 

 

私は、米国でのフライト訓練で、KIAD(ダラス国際空港)の01Cという、通常、B777などが離発着する5㎞もある長大な滑走路に、計器誘導・着陸をさせてもらったことがある。

もちろん、小型機なのでその滑走路の1/10ほどしか使わないで、着陸後、すぐにTaxiWayに出た。

その時も、すぐ後ろはUnitedの旅客機がアプローチしていたのに、その間に、小型機だってちゃんと着陸させてくれる.

 

米国では、小型機も、大型機も同じように扱ってくれるし、着陸拒否などありえない。

 

権力や財界が、インフラを独占している自由主義国は、日本だけなのではないか?と感じる。