アーサーランサム(Arthur Ransome)

19世紀から20世紀にかけて英国の子供向けの作品を書いた作家。

英国湖水地方でのヨット・少年少女(15歳〜18歳位の主人公)の物語。




代表作である第1巻の「ツバメ号とアマゾン号」から始まり、第12巻「しろくま号と謎の鳥」で完結。

(この一連の小説群がランサムサーガと呼ばれている)


アーサーランサム自身については、ロシアとの二重スパイとか、色々な噂があるようだが、彼については「アマゾン号に乗ってみたい」というWebサイトを作っている方が、英国まで行って関連する文献などを収集なさっていて詳しく記述されている。

(注:現在は「アマゾン号に乗ってみたかった」というWebサイト)





1968年頃から順次出版された岩波少年文庫(ハードカバーの大型版)


父の仕事の都合で、小学校4年生の時、埼玉県→和歌山県に転校。

その際、小学校の同級生だったお友達から頂いた本が、シリーズ第11巻の「スカラブ号の夏休み」だった。

面白かったので、父が順番にこのシリーズを買って揃えてくれた。

(最初の本が11巻だったので、自宅の蔵書も11巻だけ、背表紙が焼けてしまっている)


私にとっては、ヨット=「スカラブ号」なのだが、ランサムサーガを第1巻から読み始めた息子にとっては、ヨット「ツバメ号」

アーサー・ランサムのシリーズでは、ツバメ号の兄妹姉妹(4人)が、一番良く出てくるからだろうか?



このアーサーランサムの小説は、ホイチョイプロダクションが1980年代?に作った「彼女が水着に着替えたら」という映画のネタ素になっていると思われる。


その理由は、

 1。映画に出てくる船名が「ツバメ号」「アマゾン号」であること 

 2。映画の中のシーンで、荒らされた谷啓さんが入院していた病室の床に、岩波書店の「ツバメ号とアマゾン号」の本が落ちているシーンがあること。

 3。「ツバメ号とアマゾン号のメンバー達が、お友達でもあり、張り合っている」という設定がされている事

 4。映画では墜落機の財宝探しなど(宝探し)をしているところ(ツバメの谷などで、ツバメ号のメンバーは金鉱探しをしていた)

 5。年齢的に、小説の翻訳が出版された世代(1950年〜1965年生まれくらい)が、制作スタッフの世代

などから類推される。




小学生の時に読んだ、これらランサムサーガ(神宮輝夫さんの翻訳)に影響され、

私は、時計をクロノグラフと呼んだり、ゆで卵を作るときは6分きっかりにしている。


クロノグラフ“は、現代では秒針や補助針(ストップウォッチなど)が付いた時計を指すことが多い。

本来はギリシア語のCronos(クロノス:農耕の神・時間の神を指す単語)を、接頭語としてCRONO-として用い、ギリシア語(後にラテン語も)のGraph(図形、絵という意味)にくっ付いて、時を描く(示す)という事から来ている。


ゆで卵は、卵を水から火にかけ始め、沸騰してから6分ということ。2分〜3分だと、中身がトロトロの半熟卵になる。7分を超えると、黄身の縁に緑黒い色が現れ始めて見た目が悪くなる。




現在、岩波書店さんのハードカバーの大判本は絶版になっており入手が難しい。古本屋さんを廻って探すしかない。

今は、小型の(少し大きめの文庫サイズ)文庫版の岩波少年文庫シリーズで出版されている。

個人的には、現在出版されている「岩波少年文庫」のサイズよりも、昔出ていた大判・ハードカバーの本の方が、読みやすいし、大切に置いておこうと感じる。

(ランサムサーガ以外にも、ドリトル先生のシリーズや、ナルニア物語も、大判サイズ・ハードカバーで売られていた)


原書は、ペーパーバックで比較的安く売られている。(米語とは違い)英語で書かれている原著は、スラングが比較的少ないし、元々子供向けに書かれているので、どちらかというと読みやすい。

第1巻目と第11巻の自分のお気に入りの2冊だけ手に入れた。




本の題名:

 「ツバメ号とアマゾン号」は原著そのままの翻訳だが、「スカラブ号の夏休み」は原著では「the Picts and the Martyrs」(ピクト人達と殉教者達)となっている。

 本の内容を知ってしまえば、この表題は内容にピッタリなのだが、いきなりこの表題だけを見ると、日本人では意味不明な題名となってしまうだろう。

「スカラブ号の夏休み」の方がとっつき易い。そもそも、日本の小中学生に「殉教者」との表現は理解不能だろう。「殉教者」は、本来、宗教的な意味で使われる単語なので、日本では一般にはほとんど聞くことがない単語だ。




小学生・中学生の頃、この本に胸躍らせた時代を過ごした。

子供の頃に読んだヨットの冒険小説は、大人になっても憧れる対象でもあり続けている。


小さい頃に、良い本に出会うことは大切さだと思う。