「木製の12尺ディンギー」


乗船時に掲げている「ツバメ」の旗🚩。

アーサーランサムのツバメ号にちなんで作成。

(旗生地:スピネーカー用帆布、文字・絵:セール番号用の接着色生地)




木製のA級ディンギーの重量は、ざっと150kg超ある。

艇体は木で作られているので、勿論、木の浮力はあるのだが、レース用にセッティングされているこの船のマストやブームはアルミ製。

一般に、木材の浮力はそれほど大きくはなく、水に浸けると60〜85%位が水面下に入ってしまう。
(木材の種類・比重によっても違いがある)

デッキや甲板が無いディンギー艇は、強風に煽られたり、大きな横波などで大量の水を被ったり、横倒しになることがある。
甲板が無いので、即、水が艇内に入ってくる。
その時でも沈まない様にしておくのが安全。


木製のヨットは、基本浮くが、転覆時にどの程度沈む(水面下に入ってしまう)のかを知っておく必要がある。

比重は、体積と重量から簡単に計算できるのだが、船の構造体の体積(排水量ではない)を計測するのは、事実上不可能なので、実際に沈めて見て、浮力を確認する方がずっと簡単。

艇の内部容積は結構な大きさがあり、300Lから400Lはありそう。
つまり、300〜400kgの水を船の内部に溜め込む可能性がある。

この艇を譲り受けた時、40L位の浮き(細長い浮力体)が左右二本ずつ(4本)セットされていた。
(浮きだけで、160kgの浮力を稼いでいる)
しかし、厚手のビニールで出来た浮力体は、空気漏れが生じたり、操船時に邪魔になったり、足で踏んだり、蹴ったりして誤って気室を破ってしまう可能性もあった。


そこで、座席下の浮力体はそのまま温存し、前方両舷にとりつけてあった浮力体を取り替える事にした。
浮力体を撤去し、硬質発泡スチロールで浮力部を作成。その上に板を張りの座席として使えるようにした。


第一スゥオートと第二スゥオートの間に、新たな座席を作り、その下を浮力体で埋めた。


浮力の検査
帆走時の帆を上げた時と同じようにマスト、ガフ、ブームをセット。
センターボードを下ろし、マリーナ内でヨットを横倒しにして、浮力の状態をチェック。


結果
 70%以上が水面上に出た状態で浮いていた。
浮力は十分にあると判断出来た。

これだと、たとえ、沈(横倒し)しても、艇を復元した後、艇の上で排水すれば、帆走を継続できるだろうと判断できた。

また、横倒し状態から、センターボードを押し下げることで、簡単に復元できることも確かめることができた。

これで、この船の安全性を自分の目で確認することができた。

ちょっと安心😮‍💨


ちなみに、船の内側に水が溜まった状態で、船を陸上に上げてしまうと、艇体に中の水の重量がかかってしまい、艇体が壊れてしまう場合がある。
なので、船を陸上げするときは、船底の水抜き(ベイラー)を解放し、水をできるだけ抜きながら陸上げ作業をしなければならない。
先ほど計算したように、艇内の容積は数百リッターあるため、その重量は、数百キロに及んでしまうからだ。
その重量が、直接、船の内側から外向きにかかったら、船は容易に破損してしまう可能性がある。