「木製の12尺ディンギー」
この船は、昭和42年ごろに静岡大学ヨット部のために作られた3隻の船の内の一艇(ネットなどで調べた)。
ヨットが代替わりし、長らく使われずに放置されていたこの船は、M氏によって修復された。
その後、早稲田大学ヨット部OB会のメンバーによって活用・メンテされてきた。
(この度、メンバーの高齢化とチームの解散で手放す事になったようだ)
これまでは、A級ディンギー全国大会にも参加していた艇なので、この艇もレース用に色々と工夫されている。
A級ディンギーは、昭和47年頃まで国体正式種目(ヨット)の一つのカテゴリーであった。
その後、数年間はインカレでの正式なクラスでもあり続けた。
イタリアやオランダでは、まだ、数百艇が、レースをしており、最近でも、FRP艇が新造されている。木造での新艇は聞かない。
Net情報では、日本国内では、九大ヨット部OBの村上さんが、3年ほど前に最後の木造艇を仕上げたのが最後ではないだろうか。
(セール番号 A310、A311、A312)
2019年春、この艇を譲ってもらってから、艤装に慣れたり、少し工夫して改良したりして、ヨット部だった息子と霞ヶ浦での帆走を楽しんでいる。
しかし、設計後、50年も使われていると、船を早く走らせるため、沢山の人達の工夫・知恵が蓄積し、現在の船は、船の外観・帆の形式・基本構成は設計当時と同じだが、帆の形を整えたり調整するためのシート類や、マストの補強のためのステー類が追加され、複雑になっている。
日没近く、東風に押されてマリーナに帰る直前のA級ディンギー。
マスト周りには沢山のシート類が見て取れる。
マストの直ぐ左に見えている垂直のシートはカニンガム(ブームを引き下げておくためのシート)
太陽のすぐ右にあるのはサイドステー(マストを垂直に保つための横ステー)。風下側のサイドステーは緩めてある(風上側で引っ張っている)。
手間に見える斜めのシートはバング(ブームの跳ね上がりを防ぐ)。
小説に出てくる12尺ディンギー達(アマゾン号、ツバメ号、スカラブ号)には、カニンガム・バング・サイドステーなど、帆の形を整えるためのシート(ロープ)類が無い。
帆走時に扱う(調整するべき)シート類が多いので、通常はダブルハンド(二人)で乗るのだが、上手に乗れる人はシングルで走らせることができる。
息子はヨット部で鍛えられているので、いわば、老練なる船乗りだ。私は見よう見まねで教えてもらっているビギナー。
ティラー(舵)とメインシートは主に息子が操作し、私は、周りのサイドステーやカニンガム、ガフの入れ替え、センターボードの上げ下げ、垢汲みなどをすることが多い。