ぼくに彼女ができて、彼女と約束したことがある。


嘘は言わず、なんでも正直に話すこと。


特に、僕は食べることが好きだから、

美味しいものは「美味しい!」

美味しくないものは、「美味しくない」ときちんと言うからね、と伝えた。


美味しくないものを、美味しい!と伝えて、

それがこの先も続いて、

美味しくないのに、美味しいと言って食べ続けるのは、お互い幸せになれないから。


彼女も、「そうだね。お互いにきちんと言おうね」と頷いた。



ある日、彼女が作ってくれた料理が、僕の好みに合わなかった。

この料理はあんまり好きじゃない、と伝えると


そんなこと言うならもう作らない!

と怒られた。



僕はこの前約束したことを話したけど、

彼女は怒って、機嫌が戻らなかった。

ぼくはこれからのことを考えて正直に言っただけなのに、

約束が違うと、全然納得できなかった。


そして、同じようなことが定期的に起こるようになって、

この約束は成立しないものだと諦めた。



ぼくは、友だちにこのことを熱弁した。

約束したのに、おかしくない?と。

ぼくが作った料理で彼女におんなじことを言われても、

じゃあ次はこういう味付けするね、と

お互いが幸せになるように言うのに。



友だちは、彼女も正直な気持ち言ってるだけだから、別に間違ってなくない?と言った。



確かに。

約束は正直に言うことだったから、

それに対して、彼女は正直に怒っただけだ。

美味しくないと言って、もう作りたくないと思うことも正直な気持ちだから。

そう思ったのに、それを言葉にしないことも、

それはそれで良くない。



僕の中で、長年もやもやしていたことが晴れた瞬間だった。





その翌日、僕が作った料理が美味しくないと彼女に言われた。


いつもは、どこらへんが微妙?と聞くのだけど、

「じゃあもう作らない」と言ってみた。



彼女は、いつもそう言ったら怒るくせに、

なんでそういうこと言うの?

と目をキッとさせた。


でもこっちも正直な気持ちやから、

作りたくないっていうのも正直な気持ちやから、約束はきちんと守ってる。

はい論破!

と返した。




彼女は激昂して、しばらく口を聞いてくれなかった。



理不尽だと思ったこと

 

 

 

 

 

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