おじいちゃんは、よく草刈りをする。
たぶん、年中草刈りをしている。
ぼくは草刈りがすごく嫌いで、あまり手伝わない。
切っても切っても生えてくるから、意味がないと悟ったからだ。
農作業で行き来する通路の草刈りはまだ分かる。
通りづらくなるから。
でも絶対に立ち入らない崖のような場所。
なぜおじいちゃんたちは毎年そこを草刈りするのか?
「みっともないから」
おじいちゃんも、おばあちゃんも、おとうさんも口を揃えて言う。
誰もこないし、誰も見てないし、みっともないとは?と反論するも、軽く怒られる。
しかも、いざ草刈りを手伝うと「もっと下から切らんと」とか「それ切ったらあかん花や」とか、「まだそんなとこ草刈ってんの?日暮れるなぁ」とか、色んなヤジが飛んでくる。
おじいちゃんもおとうさんも、草刈りに対して変なプライドを持っているに違いない。
ぼくはそのプライドを根こそぎ刈り取ってしまいたいと、心底思っている。