おばあちゃんは、よく漬物を作る。
白菜、きゅうり、たくわん、なすび。
おじいちゃんは、白菜の漬物には醤油を足すことが多い。
じゃこをかけたり、塩を足すこともある。
おとうさんは、おじいちゃんが漬物に醤油をかけているのをみると「せっかくおばあちゃん作ってくれたのにそんなことしなさ」と注意する。
おじいちゃんは「うまいうまい」とだけ返事する。
ぼくはあまりおばあちゃんの漬物を食べない。
おばあちゃんが作る漬物は、いつも食卓のおじいちゃんの席に置いてあって、おじいちゃんがよくクシャミをするから、汚いのだ。
おじいちゃんに「くしゃみは手で押さえて」と言っても、なかなかやってくれない。
しかもおじいちゃんのくしゃみは人の3倍くらい力強い。
連続でくしゃみすることも多くて、ぼくや弟は、自分の食事がくしゃみで汚くならないように、身体いっぱい使ってガードする。
ぼくは漬物自体は好きだから、たまにおかあさんにきゅうりのキューちゃんを買ってもらう。
おばあちゃんは、きゅうりのキューちゃんを食べるぼくを見て「おばあちゃんの漬物は食べてくれへんのか」と、すねる。
そんな時は、おばあちゃんにきゅうりキューちゃんをあげる。
「おばあちゃんにもくれんの?嬉しいわー」と喜んで食べるから、あまり罪悪感はない。
これは内緒だけど、おばあちゃんの漬物は、子供のぼくには少しくさい。