小中学と一度もなかった家庭訪問が、高校になり始めて行われた。

猫のひっかきで何度も変えたソファーは、また最高に中が見えるほど引っかいてある

 

壁はマンション購入時から一度もリホームしていない。 猫のひっかきとカナウの汚すので汚いこと。

 

あまりに酷いところは市販の壁紙を2メートル程購入し張り替えることにした。 ソファーは全体を包むカバーシーツで覆った。

 

カナウの家にはこれといった家具は置いてない。 小さいプラスッチックの引き出しのタンスとテレビぐらいなもの。

 

テレビは押しして倒れないように工夫してある。 カナウは物を投げる。 何か見つけるとポイポイと家の隅に投げてしまう。

 

特にクレジットカードなど投げられたら大変。 探すところもないほどで再発行かと思案に暮れると、冷蔵庫の上にあったなってのもよくあること。

 

そんな家庭事情も話さなければならない。 3人の生徒に3人の先生のクラス担任と副担人の二人が家庭訪問に5kほどの距離を自転車でやってきた。

 

二匹の猫の1匹は納戸に隠れ、もう1匹は先生にすりすりしている。 先生のスーツは毛だらけになった。

 

学校でのカナウの様子は、10時ごろでもうお腹がすいたらしく胸をトントン叩きしゃけ、しゃけと言うらしい。 鮭が食べたいわけでもなく、何でもいいから食べたいのだろう。

 

先生は言う、カナウ君がしゃけと言い出すと、私もおなかがすいてくるんです。 クラスは他のクラスの子も出入りする。

 

 お化粧をした女生徒も来て、なんだか不機嫌でプリプリしていたが、カンナウの隣に座り、カナウを突いたり触ったりし、ご機嫌で自分のクラスに帰るんだとか。

 

 その間カナウは嫌がるでもなく押したりもしない。 ただ隣にいるだけ、特に嬉しそうでもない。  

 

 若い先生は言う、校庭にに連れ出すと、砂遊びを始めたり、うろうろしてるから全速力で先生が走るとカナウもついてくる。

 

 先生負けそうになるから、もっと早く走ればそれもついてくる。 カナウはもっと早く走れる人に付いていくことも出来るのではないかと。

 

 あれ程の大きい子で体力の有り余ってるような子が、本当に穏やかな性格の子を私は見たことがりません。 そう言われたとか。

 

 私は娘に言った 「 無償の愛の塊のような子なんだよ」 良い子に育ててくれたのだと.....

 

 先生はこうも言われた。 将来施設で暮らすとしても、生活支援の施設に通うにしても愛される子になってほしいと。

 

まだ若くて頼もしい先生の家庭訪問の間、カナウは鼻歌を歌いながらお風呂に入っていた。