カナウ(15歳)知的障害をともなう自閉症、婆ちゃんの自慢の孫、大切な私の生きがい。
この子の自閉症は娘が言い出した。1歳過ぎごろだろうか、なんか変、どこかおかしいと...
男の子の言葉の遅いのは普通だよ、こんなに小さいのに数字も読めるしすごく頭のいい子だよ、婆ちゃんは言い続けた。
娘が正しかったと2歳を過ぎてようやく解り、子育てを手伝わなければならない。そう思いスープの冷めない距離に引っ越した。
あれから12年にもなるんだね。自閉症がどんな障害なのか何一つわからなかった。カナウのやること全てを婆ちゃんが受け入れるには時間もかかった。
ついに今月は特別支援学校の中学部を卒業する。春からは全く新しい環境で長い人生を生きていくのに必要なことを学んでいくだろう。
今日は給食がない日だった。カナウの学校では給食がない日は少ない。カナウの頭の中はもしかしたら、学校=給食なのかもしれない。
朝お母さんに、今日は給食がないから早く帰るんだよと言われ暗い顔になったと娘からラインが来た。
直ぐに、婆ちゃんがお弁当作るとカナウに言って とラインを返した。カナウが一番好きなこと、美味しいものを食べること。
アサイチなんか見てのんびりしていたが、立ち上がり2合のお米を研いだ。おかずは鮭一切れ、鳥の唐揚げ、厚焼き玉子、切り干し大根の煮つけ、カボチャのサラダ、
切り干し大根は自分で作った大根を干して作ってある。カボチャサラダは、ハムと
これも婆ちゃんが種まきして作った菜の花を、熱湯くぐらせて入れた。
カボチャの黄色に菜の花の緑、ピンクのハム、とても色合いがいい。帰宅する12時に熱々の弁当を届けた。 これらを作ってくれた婆ちゃんを見もしないで黙々と食べている。
しかし何も言わないがカナウは知っている。学校に行く前、婆ちゃんが弁当作ってくれるって、とお母さんに聞くと、美(ビ)よし、とひとこと言ったそうだから。
2歳ぐらいから年に数回しか言わないが、美よし、カナウ語です。想像するに何か良いことがあると出る言葉、不思議なカナウ語。
そんな日は自分で作詞した婆ちゃんの歌を、お風呂で泡を飛ばしながら、楽しそうに歌ってるそうだ。♪ バアチャン バ~チャン バ~アアチャン ♪