また思い出してしまう
聞き飽きたフレーズを繰り返し
君が褪せて行くような音を探した

今日も嘘をついていたね
その茶色い瞳を少し細めて

何も信じたくないと
大きく吸った生ぬるい空気

「演じることで歌っていける」
その言葉と背徳感
はにかんで笑った そしてまた


重なるアルペジオと
重ならない君の細い声
その声で見上げた窓のない上
閉じ込められたその悲しい目が
たまらなく愛しくなる

-

背負ったギターが唸る
投げ出してしまいたくなる
君を開放したくなってしまうんだよ

「今日は嘘をつけなかった」
君が泣いていたのを見た

好きになってしまったって
この曲をもう手放せないって

嘘が綺麗だなんて誰が言ったの
それは絶対に君にしか
演じられないもののはずなのに


ただ刻むハイハットに
そっと手を差し伸べるベースライン
そして君の声がまた
閉じ込められて苦しくて
たまらなく愛しいのに

重なるアルペジオと
調和してく君の「嘘つく」
その声の探す出口を
両手で塞いでしまったんだ
君がたまらなく愛しくて










バンドマンのうた。歌うとき、その歌になりきる人はいるけど、「君」は嘘をついて歌うという。そんな嘘をつく「君」を好きになってしまって、嘘のない舞台で歌わせたい気持ちと閉じ込めたい気持ちが入り混じる微妙な歌。
男目線のつもり( ; ; )

by伊南

iPhoneからの投稿