雲が月と僕らの間に
薄い膜をつくって
光の広がる夜だった
口づけの味はいつも
どこかタバコまじりの濃い味で
僕を迷わすには十分なほど
届きそうな近い距離は
きっと届かない遠い君を
僕に縛り付けているようで
肌が触れて打ち合う身体が
どんなに不安を蘇らせるのだろう
だけど目を閉じて視界を消してしまえば
誰を想うことだって可能なの
体感温度は氷点下の夜
鋭い風が僕らに
血のにじむような痛みを与えた
深くなってしまえば
戻ることは不可能なのに
知りながらも
大切なものは得られないと
知りながらも
強く強く握る君の手を
ごまかしたいもう遅いのかもしれない
きっといつまでも僕らは
2人でいて孤独を味わうのだろう
ここにいるから大丈夫
君はそう言うくせに
消えてしまうだろう
僕がどんなにしがみついても
君は届かない
肌が触れて打ち合う身体が
どんなに気を紛らわせても
目を閉じてしまえば君はいない
君はどこにもいない
by伊南
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