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(続き)
次が一切の罪を消滅して、覚者解脱の心境を開く涅槃(空寂)の心である。
 涅槃――無明我欲など一切の束縛支配を離れて自由無碍となり、全く心の平安解脱の心境を開くことを云うのである。これが仏教の極意であり究極目標である。
涅槃は二つの性格に分けられる。一つは無明・迷妄・苦悩を根絶して、永遠に煩悩に惑わされることのない平穏の生活と境地を得るに至ることを云い、もう一つは空寂の意義を知ることである。我々が在ると思っている物欲や事物は本来無いものである。実在するものは空寂だけである。現象の事物や名誉・地位・財産などは、假象であって実体でないから何時かは跡形もなく消滅してしまう。それは元々存在するものでないと謂うことを悟った時、初めて永遠の実在生命の輝きを知るという解釈の一つである。
釈尊のいう、「諸行無常」「諸法無我」「涅槃空寂」の三大真理は、仏教悟道解脱の真髄である。苦悩迷妄は無明に出る。人間はこの無明我欲のため自己本位になり、自己中心になりなるため我欲に狂うのである。
(続く)