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(続き)
中世は、古代聖人天才の理想を啓蒙する時代であった。中世の仏教・キリスト教・イスラム教は寺院 教会を建て、僧侶・司祭者・神父が教典をもって、神の教義を普及した神信仰万能の宗教文化時代であった。中国の儒教は、宗教というよりは政治倫理・為政者治者の教義というべく「四書五経は政治道徳論」であって、天の上帝を祀る宗廟(帝王治者)、各族の祀る社稷(農業神~被治者)祭祀信仰はあるが純然たる宗教ではない。老荘の道教も、生命論的自然主義的神秘主義の傾向が強く、宗教というより哲学に近い教義であると云うべきであろう。日本の中世は外来の文化が奈良朝、平安朝時代を経て、鎌倉時代に至るまで仏教全盛時代であり、又制度機構法規は儒教に学んだ時代で、本来の神道は、祭祀を掌る他民心を直接積極的に指導する事はなかったと言えよう。近代は、中世紀一千年の宗教時代は宗教家等がその権威に狎れ、動脈硬化に陥り、ルネサンス及宗教改革を通じて、神中心主義と人間中心主義の流れをつくり、後者が主流となって現代の科学文明の時代を開くに至ったのである。それは嘗てローマ帝国の辺境の植民地であった西ヨーロッパに於て、創造せられた知的探求の成果が齎したものである。
(続く)