（続き）
大阪建設業協会も同じく北浜にあったのだが、此処は会員の名簿を快くコピーで頂いた。爾来各県で大会を催す時は必ず建設業協会を表敬訪問して、会員名簿を貰うようにしている。それを基に地域別に名簿を作り直し、無駄がないように廻っているのだが、大会世話人が殆んど保守系の国会議員で固めているので結論は早い。社長か責任者と直接会えれば大概は協賛頂いている。只、一般企業は特に議員との利害関係がないので飛び込みで行ってハイ分りました、と云って協力する企業は皆無である。日本社会はコネとカネと云われるが、酒場のお店に拘わらず「一見さんお断り」の人間社会であり、特にこの大阪は人情味が厚い分、根回しと平素の付き合いが何をやるにしても肝腎なのだ。当時乗っていた車も中古の三台目で地元大阪の或る社長が無償提供して呉れたものだ。又、寄宿舎を紹介して呉れた先輩（元侠客）の活動家は、自分が着ていたスーツを不肖の体形に合わせて仕立て直してプレゼントした上に、甲子園の近くの自宅マンションに招いて箪笥からブレザーやジャケットやコートやセーターを取り出して、大きな段ボール一杯三箱、車に積み込んで帰ったものだ。気っ風の好い所と気前の好い所は、戸松会長に聞かされていたのだが、本部事務所の改装や古くなった会長の机を目新しい机に買い替えたりして、本部に何かと貢献していた先輩であった。
（続く）
