ジョン・アーヴィング 『また会う日まで』
ジョン・アーヴィングの『また会う日まで』。
アーヴィングは、好きな作家ならばベスト10、好きな現代作家ならばベスト3、好きなアメリカの現代作家ならばベスト1、というのが僕の評価。年末から先週まで、1ヶ月ぐらいかけてじっくり読みました。
- また会う日まで 上/ジョン・アーヴィング
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有名な話だけれども、アーヴィングが繰り返し用いる筋とかモチーフ(レスリング、幼児虐待、シングルマザー等々)はアーヴィング自身の実体験に基づいている。だから、過去の作品の主人公はアーヴィング自身をモデルにしているということはよく言われている。この作品も例に漏れず、「自叙伝的な」という書評の扱いが多く、実際、これまでの作品の中でも一番その色が強いと感じた。著者自身と同じ時代設定が選択されているのは、著者が、最も自伝的に書こうと意図したことによるのかもしれない。
その真偽はともかく、自伝的というのがこの物語を現実的なものにしている、のか、現実的な語りがこの本を自伝的と思わせるのか、とにかく、いつもの”不条理”が物足りなかった。
悲しいけれど滑稽、というのも度々アーヴィングの書評に現れるフレーズだが、僕はいつも”不条理”が根底にあるものだと思っている。この物語は、悲しくもないし、滑稽でもない。
でも、こういう感想はアーヴィングの小説に馴れしたんでいて感覚が麻痺している人間のものかもしれない。この作品で初めてアーヴィングを知った人ならば、やはりそこに不条理で、悲しいけれど滑稽な世界観というのを感じるのかな。
