キャストして広く探れる方が有利
よく言われている文言です。
ただ、船釣りにおいては半分正解で半分不正解だと考えています。
いつでもどこでも考えなしにキャストしていると
確実にチャンスを逃します。
まず、広く探るという行為は
🐙との接触チャンスを増やす
ことが目的です。
おかっぱりであれば自身が歩いて移動しない限り立ち位置が変わりません。よって、自分の足元に仕掛けを落とした状態で誘い続けてもエギは横移動しません。従って、キャストして足元までサビいてくることによりエギを通せる面積が増えます。
その結果、🐙との接触チャンスが増えることになります。
これに対して船は海に浮かんでいる状態
すなわち、潮の動き、風で船が押される、エンジンで強制的に移動する 等の理由で自分の立ち位置が移動します。これに伴い、船下で誘い続けても船が流れた距離分だけ自分のエギも移動します。
このことから、船下のみで釣っていてもおかっぱりでキャストしてサビくことと同様の状況になっています。
まず、キャストが有効と考えられる状況は以下の通りです。
1.船が流れない、もしくは流れないに等しい状況
風が無い、潮回りが小さい、潮止まり前後で船が流れない、もしくは流れないに等しい状況の場合、船下で誘い続けてもエギが移動しません。従って、この状態のときはキャストした方がエギを通せる面積が増えます。
2.船が近づけないポイント
岸壁付近や超浅場、ストラクチャー付近(テトラポット、海上建造物 等)無理に近づくと接触による船体破損、座礁による海上事故に繋がる恐れがあるため、接近出来るポイントには限界があります。
船が近づけないポイントを攻める時はキャストが必須となります。
3.潮先有利時
自分が潮ケツ側で潮先側が仕掛けを通した後を攻める際、潮先側が先に釣って自分に🐙が回ってこない場合はキャストしてエギを通す筋を変えることで🐙が残っている筋に当てられる確率が上がります。
しかし、これらを満足していれば何時如何なるときもキャストが有効とは言えません。
潮向き、ポイントの地形によっては逆にトラブルを誘発したり🐙との接触チャンスを失ってしまう可能性があります。
ミヨシのお立ち台に立って考えなしにひたすらキャストしている人に限って釣果が伸びない。
タコ船あるあるな光景の一つです。
次にキャストのデメリットについて書いていきます。
1.ロスタイム
キャストしたときはエギが空中を飛んで行きます。チョイ投げで1~2秒、遠投して3~5秒程度飛行している状態です。その分だけ底にエギを通せる時間が減ります。
1回のキャストでは数秒単位でも1日に50回、100回キャストすると分単位でロスタイムが増えます。
加えて回収→再キャスト→着底までの時間を加算すると何十秒単位のロスタイムとなるため、底にエギを通せる時間は何十分単位で少なくなっていきます。
2.巻き上げ距離が長くなる
キャストして🐙が乗った時、自分と🐙との距離が遠いため巻き上げ距離及び時間が長くなりバラシのリスクが上がります。また、巻き上げに時間がかかることから手返しの面でも不利になります。
これは🐙釣りに限らず他の釣りものにおいても同様です。
3.根掛かりの回避行動制限
キャストして自分とエギの距離が離れるほどロッドとライン角度が小さくなります。従って、エギを天方向へ跳ね上げることが出来ず、根掛かりの回避行動に制限が出てしまいます。
その結果、根掛かりを外せずにロストするリスクが高くなります。
これらを踏まえた上で状況に合わせてキャストするしないを判断する必要があります。
キャストするしないの判断要素は以下の通りです。
①潮向き
自身の釣り座、立ち位置と船の流れ方向によって潮先になるか潮ケツになるか決まります。横流しの場合、船下にラインが入ると潮先、自分の正面にラインが出ていくと潮ケツとなります。
エンジン流しの場合は風向き+潮向きでラインが斜め方向に移動することもありますが、基本的にラインが船下に入れば潮先、出て行けば潮ケツという状況は横流しのときと同じです。ただ、状況によってはラインの傾きが真横になることがあります。自分が左舷側にいるときはラインが右方向へ傾くとトモ側が潮先、左方向へ傾くとミヨシ側が潮先となります。右舷の場合はその逆です。
・潮先の場合
基本的にキャストはしません。キャストしても自分がエギに近づいていく方向へ船が流れます。従って、船下で待っていればキャストして狙いたい位置に自分のエギが到達します。他の方が自分の流れの筋に被せて先に🐙を抜かれるという状況であればキャストして獲りに行く必要がありますが、そうでなければキャストしてロスタイムを増やすより船下で待った方が効率的です。
潮の流れが極めて速い場合はステイ時間を確保するためにあえてキャストするという選択も有りかと思いますが、東京湾でそのような状況になることは皆無に等しいです。
・潮ケツの場合
基本的に潮先側が攫った後のポイントを流すことになります。ただ、先述した通り、潮先側が全ての🐙を釣り切るという状況はそうありません。潮ケツ側の時はキャスト可能なポイントであれば積極的にキャストしていきます。潮ケツ側だとキャストから着床するまで自分とエギが遠くなる方向へ向かうのでサビいてこれる距離が長くなります。また、キャストの距離調整で🐙が固まっていそうなポイントを何度も狙い撃ちしやすくなります。
②地形
・平場
平場は根掛かりのリスクが少ないためキャストが使いやすいポイントです。ここで勘違いしないようにして頂きたいのがあくまで使いやすいというだけでいつでもどこでも有効ではありません。
平場の基本形状は以下の2点です。
A.平底
海底の起伏が少ない砂地もしくは泥底。経験上🐙が密集していることは少なく、広く薄く点在している、もしくは居ないに等しい。
B.かけあがり、かけ下がり、縁
水深が浅くなるor深くなる砂地もしくは泥底。こちらも🐙が密集していることは稀ですが、エサになる生物(魚、貝 等)が集まりやすいので平底より🐙が居る可能性は高めです。
A or B or A+B
これに加えてツブ根、ゴロタ石 等のストラクチャーが点在していたり海藻が生えていたりと組み合わせによって様々な平場が形成されます。
更に水流、水温、水深によっても🐙の集まり方が異なります。
船で狙う平場は主にBのかけあがり
その理由は海底に変化があるポイントに🐙が集まりやすいから
平底もしくは広く緩いかけあがりでメリット>デメリットというコンディションが整った場合のみキャストを多用することで釣果が伸びる可能性があります。
・ガリガリ場
いわゆる根回りです。基本は石やコンクリートブロック等の平積み、山積みなど根を形成しているもの、状態によって様々です。いずれにも共通するのは
根掛かり
というやっかいな要因が増えるので出来ればやりたくないなぁと思われる方も多いのではないかと思います。
ただ、🐙は自分が身を潜められる場所が大好き、加えてエビやカニなどエサも多い。という理由で平場よりも根回りのほうが🐙が居る可能性が高いこともあり、釣り船では状況に応じてガリガリ場も攻めています。
ガリガリ場ではまず、根掛かりの回避が最優先。
根掛かりを外せずにラインを切った場合、再セッティングまでのロスタイムが発生します。再セッティング中も船は流れて行きますのでその時アタリ筋に入ると獲れたであろう🐙が獲れなくなります。
次にガリガリ場の🐙は根のキツさに比例してエギを追いかけるというよりも巣穴で待ち構えて自分の目の前に来た獲物を捕縛していると想定されるような状態が多いように思われます。
例えて言うならば引きこもりのニート状態
自分の手が届く範囲の獲物にだけ飛びつくという感じで平場の🐙よりも活動範囲が狭いと考えられます。
従って、キャストして🐙の近くに通しても手が届かなければそのままスルー。そして根掛かった際に回収出来ないリスクが上がる。
そうなるとキャストのデメリットの方が勝ってしまうため、
潮先潮ケツ関係なく基本船下を狙います。
ただ、根の形状によって外しやすい根掛かり、外せない根掛かりがあります。
ガリガリポイントにおけるキャストのネックは主に根掛かりです。
ゴロタ石、いわゆる丸石が点在しているポイントであればロッド操作で9割方外せます。ただ角ばった石が積載しているポイント、大中小の石が積載しているポイントは所々穴状になっており、この穴にハマるとまず外れません。
※着底で穴にホールインワンするとマジで泣きそうになります(´;ω;`)ウッ…
その他、土嚢袋のようにエギの針が刺さりやすいものが沈んでいるポイントも根掛かりを外すのが困難です。
しかし、外しやすい根掛かりがメインのポイントではキャストが有効になるケースが多々あります。
そんなポイントでは状況次第で積極的にキャストしていきます。
どのポイントがどのような地形でどこに何があってこの辺りに🐙が集まりやすい。
これらは実際に船上で体験してみないとわかりません。
授業料を払って経験を積んだ分だけ自身のノウハウとして蓄積されていきます。
また、各ポイントの地形情報は船長が持っているノウハウでもあります。
私自身、東京湾の第2海堡以北のポイントについては東西ともに9割以上およその地形を把握しています。
しかし、安易にポイントや地形を公開することは船宿の営業妨害に繋がるのでどのポイントがどのような地形か詳細を記述するのは差し控えさせて頂きます。
他のブログや動画を見ているとポイント丸出しのまま動画を公開されている、酷いケースではGPSマップまで乗せてブログを書かれている
頭の悪い方
ボチボチ見受けられます。
船長さんからしてみれば自分の秘蔵ポイントを安易に公開されて、翌日には船団が出来ている。先にポイントに入られて荒らされる。
湾で船釣りをしているのは船宿の釣り船だけではありません。
プレジャーボートを所有されている方々も有益な情報があればイナゴの群れのごとくワラワラと集まって来ます。
それを回避しながらタコ船の船長さんたちはその日の作戦を考えて必死になってお客さんに🐙を釣らせようとしてくれます。
自分の努力、想いを踏みにじられる。
釣らせられなかったら客数が減って売り上げも減る。
という感じで船宿の船長さんに見られたら
出禁にされてもおかしくない行為
です。
自分は日頃お世話になっている船宿さんに対して、恩を仇で返すようなことはしたくありません。
船宿さんが無ければ船釣りを楽しむことは出来ませんから
少々話が逸れましたが、各ポイントの地形を把握していれば初めからヒット率の高い戦略を組み立てやすくなります。
次回はいくつかのモデルケースにおけるキャストの使い方について書いていきます🐙