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それでは、そろそろ始めましょうか。

こんばんは、稲川淳二です。




それでは、そろそろ始めましょうか。




皆さん、怖・楽しい時間を、楽しんで下さいね。




あっ、折角ですから、雰囲気を出すために、



部屋を真っ暗にして、楽しんで下さいね。





それでは、始めましょうか。



何も無ければいいんですが、



何があっても、知りませんからね!!





それでは、怖・楽しい時間を、楽しんで下さい。

あれっ、あなたの後ろに・・・・。




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私は気が向くと、

ふっと、心霊探訪に出掛けるんです。



それは、時間がある時なんですが、

大体冬の終り頃から春にかけてが多いですね。


この季節はどこへ行っても人が少ないですからね。



その時々でひとりの時もあれば、

仲間うちの誰かと一緒の時もあって、


どちらもそれなりに楽しいものですがね。



もう何年も前の事になるんですが、



私の仲間で、

オオノ・ショウキュウという男がいまして、


彼はお坊さんの修行もした事のある人間で、

たまに私と、霊的な土地へ出掛ける事もあるんです。




そのオオノショウキュウさんが、

群馬県の温泉地からしばらく行った所に、



いいロケーションがある、

というんで、行ってみようという話になった。



ただ、ロケーションがいいところっていうのは、


道も狭かったりするんで、


その時は軽トラックを借りて出掛けたんです。




その時は、ショウキュウさんが用事でこれなくなったんで、


谷口君という、

私の若い友人が、付き合ってくれたんですがね。




で、彼が運転する軽トラで、


あっちこっち回っているうちに、日がドップリ暮れちゃった。



夏じゃないですからね、日が短いんですよね。



もう景色も見えないし、そろそろ帰るか、

という事になったんですが帰り道が暗いんだ。



街灯もなければ人家の明かりもないんですよ。



他の車ともまったくすれ違わないし、借りたのも軽トラックで、

ナビゲーションが付いてないものですから、




(いったい自分達は、どこを走ってるんだろうなぁ)



と思いながら、

ヘッドライトの照らす前方を見ていたんですが、



私も何も言わないし、

運転している谷口君も、なんにも言わないんだ。




ふたりともただ、だまーって乗ってる。





と、不意に、






「連れてけや」


って、声がしたんですよ。






一瞬、谷口君が言ったのかなぁと思ったんで






「何か言った」


って、聞くと




「えっ?」


って、言うから






「今、声がしたよねぇ」


って、言ったら





「えぇ、しましたよねぇ」


って、言うんですよ。





見ると、彼が真っ青な顔してんですよね。


表情がこわばって、何か恐がっている様子なんで、


「なんだろなぁ、今の。

長距離トラックの、運転手さん同士の、無線かなんかが入ったのかなぁ。」


と言ったんですけど、それ無線じゃない。



全然そんな、電気的なもんじゃないんです。



それにね、軽トラックって狭いじゃないですか。




本当に私の頭と彼の頭のちょうど間くらいから、


誰かが顔をだして言ったように、


耳元で声がしたんですよ。





右耳のすぐ横でもって、






「連れてけや」

って。





でも、彼が恐がってるもんだから、




私が、わざととぼけて、嘘、言ったんだ。




「なんだあれ、

ラジオに電波が飛び込んできたんだねぇ」




って、言ったら、彼がまじめな顔で




「いえ、ラジオ、スイッチ切ってるし、

壊れてますから、これじゃないですよ」




って、ラジオを指差した。





何だか、妙な雰囲気になってると、





突然、谷口君の携帯電話が鳴って、彼が出た。





ことわっておきますが、





この頃は、まだ運転中の携帯電話は、違反ではなかったんですよ。




「はい、もしもし、はい、タニグチです。



あ、ええ、はい。



あのショウキュウさんからですよ、大至急だそうです」




って、言って、よこしたから、




「あっ、もしもし、私だけど」


と出ると、







「あっ座長?」






って、言う、






いつに無く、慌てた様子でショウキュウさんの声がして、






「今どこで、電話してます」


って、だしぬけに言うから、





「あッ、軽トラで、移動中だよ」




と答えると、




「それ、どの辺です」


って、言うんで、





「いやわからないよ、真っ暗でなんにも見えないし」

って、言った。






「あのねぇ、座長。


今、走ってる道のねぇ、



どっち側かわからないけど、



片側、鬱蒼とした森じゃありません?」





ショウキュウさん、そう言うんですよ。





「ああ、そんな森だねぇ」


って、言うと、






「その反対側って、

道路に沿って、こう、狭―い川が、流れてませんか?」


って言うから、






「あぁ、流れてる流れてる。


ガードレールがあってよく見えないけど、


たぶんそうだよあれ、低くなってるからね」





って、言ったんだ。






でもこれ実際はねぇ、嘘なんですよ。






彼が興奮してるから、




面白半分にからかってやろうかなと思って、


私が調子を合わせたんですよ。





「あぁ、なってるねぇ。

そうだよそうだよ」





って、言った訳なんですよ。




そしたら運転してる谷口君が、





「ありますよ、森と川。


この先がそうですよ。


さっきも通ったような気がするなぁ」








って、言ったんですよ。









つづく





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如何でしたか。





何も起きなかったですか、それとも・・・・。






あれっ、あなたの後ろに・・・・。






それじゃまた、明日の夜に。