■市が民間病院である特定医療法人
社団御上会「野洲病院」(同市小篠
原)を市立病院化して、JR野洲駅南
口に新たな病院施設を整備する計画
に反対する理由は?

――

稲垣 今後の超高齢化社会、広域的
な医療の役割分担の観点から、総合
病院は必要だ。

しかし、まちの玄関口であり、市内
で最もにぎわいのある駅前に建設す
るのは反対する。市が以前実施した
市民アンケートでは、「病院は必要
か、必要じゃないか」を問うただけ
で、市計画の全てが市民の理解を得
られているとは考えにくい。

市議会では、住民投票で決めるべき
と訴えてきたが、受け入れられなか
った。

さらに、総事業費八十六億円や市直
営による病院経営は、今後の市財政
に重くのしかかる。収支計画では開
院八年後に黒字転換するが、試算に
野洲病院の単年度最高収益の数字を
使ったり、公立病院のベッド利用率
の平均は七〇%なのに九〇%を想定
するなど、希望的観測に基づいてお
り、計画どおりに経営するのは困難
だ。

■市立病院の整備計画はどうあるべ
きか。

――

稲垣 市の限られた財源を考え、む
しろ身の丈(たけ)にあった計画に
見直すべき。具体的には、野洲病院
の現施設を活用し、総事業費を半分
に抑える。

耐震性で問題のある東館を建て替え
るだけで、西館と北館は十分使用で
きる。経営については、高コスト体
質の市直営でなく、独立行政法人ま
たは指定管理者制度を採用すれば人
件費を抑えられる。

■現在の野洲病院の地で"公設民営"
を主張する点は、市長選に立候補予
定の栢木氏と同じ主張だが。

――

稲垣 相対的に似ているかもしれな
い。しかし、私は市議当選以来、市
議会の質問で毎回、市の病院整備を
取り上げ、首尾一貫して反対を主張
してきた自負がある。

それを市の計画に反対する支援者が
評価して、立候補の決意を後押しし
てくれた。

■駅南口をどう整備するのか。
――

稲垣 若者に支持される映画館や飲
食店、人気アパレルショップなどが
入った低階層の商業施設や、四季の
花で彩られた市民公園を整備し、に
ぎわいと安らぎが調和した憩いの場
所を創出したい。

■このほか、どのような施策を進め
るのか。

――

稲垣 人づくり、まちづくりに向け
て税収を上げるため、助成金や優遇
措置による企業誘致を進める。子育
て支援では、小中学生の通院医療費
の無料化を拡充させる。

また、低成長時代に入り、前例踏襲
の行政運営から脱却し、新しい分野
にチャレンジする職員が求められて
いる。このため、職員と顔を突き合
わせて、風通しのよい、自由に発想
できる職場環境をつくりたい。