所属する「文教福祉常任委員
会」の行政視察、2ヶ所目に
ついて報告します。

②愛知県常滑市「常滑市民病院」
研修内容:市民病院整備事業




常滑市(とこなめし)は愛知
県の西部に位置する人口5万
6千人の街です。

2005年に開港した、中部
国際空港(セントレア)を有
しており、窯業が主要な伝統
産業で、市内には、レンガ煙
突が点在するなど、窯業で栄
えた古くからの町並みが残っ
ています。



市財政は、窯業からの税収の
ほか、空港、市直営のボート
レースとこなめ(旧:常滑競
艇場)の競艇事業に支えられ
ています。



ボートレースは最近でこそ、
好調ではありませんが一昔前
までは、常滑市の財政に大き
く寄与していました。



さて前回の東海市を後にし
「常滑市民病院」を視察し
ました。

この病院は昭和34年、病床
数188床の総合病院として
開院しました。市内唯一の入
院施設をもつ総合病院の位置
付けですが、近年、市民から
は汚い、暗い、待ち時間が長
い、職員の態度が悪いと散々
であり、



医療制度改革による診療報酬
の改定や、臨床研修制度の開
始に伴った大学による医師の
引き上げなど、病院に対する
社会の大きな波を乗り越える
ことができず、

経営的にも赤字経営が続き過
年度において一般会計から1
0億円前後の繰入を要してい
ました。



病院機能の低下は元より、施
設の老朽化により質の高い医
療を提供できなくなる事態に
陥いります。赤字経営なので
新しい病院はいらないなど厳
しい意見も出されるなか

市民の安心・安全を支える最
重要インフラである市民病院
を廃止するわけにはいかず、



市の行政職員給与15%カッ
トの断行や、空港・ボートレ
ースの豊富な税収見込と「
コミュニケーション日本一の
病院」を合言葉に平成27年
5月、病床数は267床、総
工費112億円をかけ病院の
新築(完全建替)が行われま
した。



新病院の合言葉には、患者、
市民、地域とのコミュニケー
ション、スタッフ間のコミュ
ニケーションにおいて、日本
一をめざすという決意が込め
られています。



急性期を中核とし、それを脱
した後の回復期の患者さんも
積極的に受け入れています。



他に、新病院の特徴は、36
5日動いているリハビリセン
ター、併設された保健センタ
ー、入院部屋ではベッドごと
に窓があるといった快適な環
境になっていて心のケアにも
配慮されています。



住民自身が、地域医療の担い
手という意識が高く、多くの
市民が病院でのボランティア
の登録をしています。また病
院による地域住民への感謝の
気持ちを届ける「病院祭」は
今年で5年目を迎えています。

日本では公共物は行政がつく
る。行政に与えられるという
考えが根強く残っています。
しかし常滑市は、安定的な自
主財源の元、自分たちの病院
は自分たちでつくり上げると
いうオーナーシップの意識を
感じることのできた行政視察
となりました。