3月から、継続審議となって
いた新・野洲市立病院の基本
設計委託料8800万円に伴
う補正予算が4月28日の予
算常任委員会で賛成多数で可
決され、5月議会又は、臨時
議会に提出され、可決される
見通しとなりました。



補正予算の可決を報じる、翌日の
京都新聞  ↑



予算常任委員会に出席する各議員  ↑

第1回評価委員会に提出され
た収支計画の修正案が、3月
12日開催の、第2回評価委
員会に提出されました。

修正案では、少しでも収支計
画の内容を良くするために数
値の修正が行われ、病院事業
損益が16年目に黒字という
内容となっています。

しかしながら、それも、一般
会計からの年間最低3億円に
のぼる繰入額や、開院20年
後の累積損益は18億円の赤
字となるなど、数値の修正に
も限界点を露呈することとな
り、大局的な大きな変化には
至らりませんでした。

修正された収支計画を含めた
新・野洲市立病院整備計画の
滋賀県庁の職員の主な反応は
以下の通りです。


■病院用地取得費の取り扱い

土地購入に伴う借金の残額で
計上しており、取得費で計上
していないことについて疑義
がある。公営企業の独立採算
や税負担の公平性から取得
費用ですべきである。


■病院事業債の同意について

第2回評価委員会の修正案
では、野洲市の財政の現状を
考えると起債同意が得られず、
交付税が認められない可能性
が大きい。同意には、経常収
支の黒字化到達の期限は5年
程度と考えている。


■単独財源を用意する必要あり

交付税を入れて、毎年6億円
を病院事業特別会計に拠出す
る必要がある。交付税は特定
財源ではなく、算定ルールは
毎年変わり、額が保証された
ものではない。

行革関連の交付税の減額の可
能性や、将来の交付税の不確
定要素を加味すると、6億円
を毎年用意する必要がある。


■建築費の収支計画への見込

現在の建築費が上昇している
経済情勢下での20%増の見
込金額に疑問をもっている。


市長サイドは、病院事業債の
同意に関して楽観的に、見て
いるのではないかと、心配し
ています。

赤字補填を永続的に、一般会
計からの繰り入れに頼る前提
では同意は難しいでしょう。

一番恐れる事態としては、本
会議で、補正予算が可決され、
新・野洲市立病院整備計画が
進み、新病院の開設だけが認
可され、病院事業債は不同意
債になるというマヌケなこと
です。

仮に不同意となった場合、野
洲市に単独で病院事業を成立
させるだけの財政体力が備わ
っているかどうか。

野洲市は、特別会計を合わせ
て現在442億円の借金を抱
えている状況で、一般家庭の
貯金に相当する基金も、十分
な額があるとはいえません。

今後、団塊の世代の市職員が
退職する時期を迎えることも
あり、多額の退職金の支払い
が発生する時期がやがて到来
します。

想定外の一般会計からの繰り
入れにより、今後積極予算を
組む機会を喪失し、病院事業
の経営が万が一、悪化した場
合、野洲市は、不測の事態に
陥る可能性が高くなることを、
大変危惧しています。

行財政改革も、目標に対して
未達となる中、財政的自立無
くして市の将来の展望は開け
ないでしょう。

経営感覚をもった財政論が置
き去りにされ、雰囲気、情熱
に流されるまま、新・野洲市
立病院整備計に対して、安易
に市税投入を決定すべきでは
ないと思います。



補正予算に対して、対応を協議する
所属会派の議員  ↑


この新・野洲市立病院の事業
計画が凍結になっても、現・
民間野洲病院が直ぐになくな
る訳ではありません。


私は、新・野洲市立病院の事
業計画の変更を上申するにあ
たり、野洲の地域医療を守る
ため、対案を提示していきた
い。それは

野洲市による現・野洲病院へ
の新たな包括的な支援を策定、
金融支援により耐震問題を含
め、支援医療法人を含めた、
あらゆる営業継続の可能性で
あり、

相対的に多額の費用を要する
公務員型を極力排除し、非公
務員型で野洲の地域医療を維
持すべきだと考えます。

現在、自治体病院は全国に約
1000あり、全病院の10
%を占めている。しかしなが
ら、経営は大変厳しい状況で、
60%以上が赤字となってい
ます。

この背景には診療報酬改定や
医療の効率化に伴う低医療費
政策、また不採算医療を担っ
ていることに対する国の財政
措置が削減されてきているこ
とが影響しています。

病院の建築費は借金で調達さ
れ、返済の一部が地方交付税
によって賄われるため、市長
や市議会議員、市民に至るま
でコスト意識が芽生えにくい
土壌があります。しかし、借
金を返すのは市民であること
には変わりないのです。

また人件費においては、自治
体病院職員の給料は民間病院
に比べて、どうしても高くな
ってしまいます。これは年功
序列の公務員型になってしま
うからです。

野洲市の財政バランスが健全
ならまだしも、長引く不況で
税収が落ち込む中、高い建築
コストが原因で借金の返済に
苦しむことになるのは、一目
瞭然です。

計画通り、このまま推移すれ
ば、他の自治体のように、自
治体財政が圧迫され、資本を
流出させた結果、独立行政法
人化や、指定管理者制度によ
る運営に移行することに、結
局は繋がっていく終末を迎え
ることになると思う。

先日の採決では、しっかりと
した医療体制計画の基で、市
税を投入するべきであるとい
う考え、から補正予算案に反
対しました。