赴記 (おもむき)

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いくつになっても刹那的に遊ぶことだけに貪欲な筆者・稲葉が、旅日記、テロ戦記、他愛ない日常を気の赴くままに綴る、稚拙なブログです。

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日本での疲労が鬱積したままタイへやってきて、開放感に浸る日々。

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このまま帰れるはずもなかった。

3ヶ月間丹精込めて育んだ疲労はやはりここで惑星ベジータ並の大爆発を起こす。
旅の終盤のお約束。もはや水戸黄門の印籠のようなタイミングを確立してきた。ババーン。

今回は赤痢かノロウイルスか大腸菌感染症かは定かではないが、夜から朝まで寝る間もなくトイレで上から下からかめはめ波。

ご経験者ならおわかりいただけるだろう。今からとんでもなく尾ろうな話をする。
上からも下からも容赦なく催すので、便座に手をついて吐いたと思えば、次の瞬間には便座に座って下す。もはや衰弱して震えてすらいるのに、この時ばかりは恐るべき瞬発力とフットワーク。 この反復運動を夜から朝まで繰り返す。

ハイ、「マンボNo.5」のリズムに合わせて、
チャッチャ チャラッチャ(吐く)
チャッチャ チャッチャッチャ(下す)
チャチャチャ(吐く) 
チャチャチャ(下す) 
ウー!(キメ)

陽気なパーカッションと共に、白目でトイレの夜は明ける。
慣れない人なら倒れているだろう。

ひとまず病院には行かず、長い長い闘いの後、チョーク(お粥)だけ食べてぐったり。

夕方は病体に鞭打ってプラスメン砦の公園でエアロビに参加し、粥なんぞで旅を締めてなるものかと、ムーディーなチャオプラヤのリバーサイドレストランで意地のゲッソリディナー。
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夜の便でバンコク→上海→関西へ向かう。

しかし雷雨の影響で飛行機の出発時間が変更になり、かなり遅れた。

上海での乗り継ぎ便にも間に合わず、エアチャイナは我々を置いて既に飛んでいってしまった。急遽手続きをして別便に振り替えてもらう。

なんだかんだでだだ遅れ。ゲーゲーしながら半日ほど遅れて帰国した。


しかし、飛行機が遅れようと、吐き下そうと、雨期バテしようと、日本の仕事がしんどかろうと、会社の昼礼スピーチが苦手であろうと、マイペンライ(なんとかなるさ)だ。そう思えばサヌック(楽しい)で、サバーイ(快適)だ。

そんな類の話を昼礼スピーチでぼんやりしたら、ある社員から、「タイは行ったことないけど、昨日の稲葉さんのスピーチ好きでした!」と言われた。

ほら、マイペンライならサヌックでサバーイだ。

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それにしても暑い。雨期はこんなに暑かったろうか。
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耐え難いと初めて感じる。

疲労のせいか?年齢のせいか?温暖化のせいか?
節電のせいは…、ないか。(冷房ガンガン、電飾ギラギラ)

あまりの暑さにバテてしまい、寄宿付近をぶらつくのみ。
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買い物をして、タイマッサージをして、スコールに見舞われたので夕食へ。

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タイの往路、上海で我社の社員に連絡をした。
「今からバンコクに行きます」
彼は転勤で先月からバンコクに来ているはずだ。

年末にその話を聞き、「えー寂しくなりますよーぅ」と言っていたらまんまと私の方が先に異動になった。
そして私は長期出張に出ていたがために彼がいつ転勤したか知らなかったのである。

奇襲にもかかわらず、バンコクで2夜に渡って遊んでくれた。
異国の地で、3人が緩い恰好で会社の話をするのもなかなか不思議である。

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翌日もバテつつ、大好きなタイシルクのジムトンプソン本店で買い物をし、
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ソンブーンでプーパッポンカリーを食し、売春通りのパッポン通りを冷やかし、おゲイ様との触れ合いを楽しみ、タクシーで帰ることに。

しかし勿論パッポン通りにまともなメータータクシーあらず。
何台も断り、ようやくメーターを動かすタクシーに出会ったので乗り込んだ。

しかしこのタクシー、メーター云々どころの騒ぎでないほどヤバイ代物であった。
スピードメーターに目隠し代わりの紙切れが貼られていたのはほんのご挨拶。
私のいる角度からはスピードメーターが少し見えるのだが、彼がアクセルを踏むたび跳ね上がる針。同様に跳ね上がる運ちゃんのテンション。
ふし~ぎな~ふし~ぎな~ 茶色の~小瓶ホホ♪を取り出し、口に含めばウヒョーと更に上がるテンション。
そして猛スピードできりまくるハンドル。改造しまくりのロケットスタートで逆走、交差点おかまいなし。

我々は車内で縦横無尽に揺られ、「何故こんなところで頭文字Dの実写体験を…」と苦笑いするだけだった。
小瓶は外見こそ栄養ドリンクだったが、中身が気になって仕方ない。

パッポンが誇るアトラクション、「ジャンキードライバーのドキドキドライブ☆」。幸せのピンクタクシーを見つけたら、迷わずスリルを楽しもう♪
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昼前に起きて、まずはビールブランチ。

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船と電車でバンコクの中心街サイアムへ向かう。

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永年欲しいと思っていたタイ文字のオーダーメイドアクセサリー、満を持して自分の名前のものを作ることにしたのである。貧乏性稲葉がアジアで自分のために1万円以上の買い物をするなんていう大スペクタクル、仕上がりが楽しみである。

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それからスーパーで買い物をしたりしていると、スコールが降ってきたので早めの夕食にタイスキを食べに行く。

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バスでサイアムから帰ることにした。
バスが停まりそうな人だかりで、自分の目的地に行く番号のバスをひたすら待つ。

その時だ。
大都会の喧騒を打ち破る、女性の悲鳴が響いた。

何?どこ?誰?
人混みで事態は見えないし、一方でバスは捜さないといけないし、何事かよく理解できない。

やがて見えたのは泣きわめく若い女性。
私が見た時は体育座りでギャーと狂ったようにわめいていた。

ベージュか肌色の服来てはる…? いや…

ぜ、全裸っ!!


我々のようなオモロイ体型とオモロイ声ではないけど、テロですやん!

首都1番の都心、サイアム駅真下で若い娘が裸でわめくなんて常軌を逸した行動、我々のように笑い目的でなければどういう事の顛末なのだろう。

人がひしめく街も、彼女の周りだけはポッカリと空間を作った。

相変わらずバスを探しつつ、事件を見つつ、と落ち着かない私が次に目にしたのは彼女の立ち姿だった。

青いTバーーック!

かろうじてパンツだけは履いていたようだ。

何が彼女をそうさせたのか…

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深まる謎を胸に、ようやく到着した満員赤バスに揺られて寄宿付近に帰り、ビールを飲んだ。

彼女の身の上の憶測を肴に。

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こういうのを過労と言うんだな、と痛感している今日この頃。

「寝ても覚めても仕事の疲れが取れなくてネェ」と日曜のお父さんのような台詞を吐くようになったあたり、この歳でようやく給料泥棒ではなくなったようだ。

前日夜まで濃厚な東京出張(内容:ドキッ!女だらけの大モメ会議!、暑気払いという名の取締役と深酒、幹部にガチガチのプレゼン)、翌朝には関空。
上海乗り継ぎでバンコクへ。

慣れた国とはいえ、変貌凄まじいアジア。愚かにも何の下調べもできないままであった。
相変わらず格安航空券のため中途半端な乗り継ぎ時間。
よって特に所望していない上海へ降り立つ。


と言いつつも、リニアモーターカーで街に出て、

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新しい地下鉄10号線で豫園へ。
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しっかり南翔饅頭店で小龍包をいただく。

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ちゃっかり外灘からビル群を見て「パチンコ1、2、3ー!延田グループ」と叫ぶ。

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うっかり観光に没頭し帰りは大慌て。

てっきり間に合ったと安堵したが、空港に新たに第2ターミナルができていてそちら発の便だと言われ、どっきり猛ダッシュ。

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しかし気を揉んだのもつかの間、離陸が遅れていてぐったり待ちぼうけ。


そんなこんなで、現地時間の明け方にバンコク着。
やはり路線バス556番の深夜運行はなくなっていたので、公共バスターミナルからタクシーでとりあえずカオサンへ。


民主記念塔通りはまばゆいほどのイルミネーションだった。

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クリスマスのルミナリエを凌ぐ輝きが示すのは、タイ王国シリキット王妃のご生誕日である。

雨は夜更けすぎに 雪へと


変わっていただきたいくらい、暑い熱い国へ着いた。
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私の部屋には10年近くこのポスターが貼られている。

松田直樹に惚れ込んで、マリノスサポーターになった。

周りの友人にマツの魅力を布教活動のように語りまくった。

特別限定版写真集などを予約購入しては、大切に大切に、しかし読みまくった。

関西のリーグ戦は全てゴール裏で観戦し、直樹のチャントを叫びまくった。
マリノス優勝戦は横浜まで行って観戦。朝まで祝杯をあげ朝1番の飛行機で帰阪し、泥酔、酩酊状態で出勤した。

マツの象徴とも言うべき非売品のヘアバンドを入手し、喜んでつけた。

顔が似てると言われて嬉しく、従兄弟だからと言うとみんな騙された。




つくづく思うが人の死に対していつも実感が湧かない。
月並みだが、どこかで生きている気がする。

マツなら天国に行っても一発レッド、「やるよ?やっちゃうよ?」で主審に暴言吐いて永久追放だろう。

松本山雅をJ1に上げてマリノスに勝利しないといけないし、溺愛してる家族がいるからあっちに行ってる場合ではないはず。

私の携帯アドレス、トルコ語で「最高!愛してる!松田直樹」は永遠に変わらないこととなった。



ナ~オ~キ! ナ~オ~キ!
ナ~オ~キ!ナオキオレ!!!
オマエの韓国旅行記はもうエエ!とお思いのこととは思いますが、記録のための執筆をご容赦くださいまし。

年明けから4月下旬まで仕事のピークなので、ゴールデンウイークの計画を立てる暇がなく、慌てて母と近場のソウルに行って来た。

赴記 (おもむき)-KAL

初訪韓の母とおなじみコースを満喫。
今回宿泊したのは東大門東側の東廟。清渓川と市場沿いという至便ながら一筋入ると蚤の市、というレトロなエリアである。

赴記 (おもむき)-東廟裏キル2

赴記 (おもむき)-東廟裏キル


沢山の珍しい野菜と肉を食べられる店で、プルコギをサムパでいただいた。

赴記 (おもむき)-多菜棚

赴記 (おもむき)-プルコギサムパ


翌日は毎度おなじみノリャンジン水産市場で活け造り。

赴記 (おもむき)-上から生簀

赴記 (おもむき)-かに生簀

赴記 (おもむき)-アラ

赴記 (おもむき)-フェ捌き中

赴記 (おもむき)-フェ



そして国鉄京義線で国境へ向かう。
展望台から肉眼で北朝鮮を拝むためである。



「地球の歩き方」にすら「交通の便が悪いのが難点。」だけの情報でバッサリ切り捨てられているこの地。

一抹の不安を胸に、…しかしビールが効いて1時間弱の列車内で居眠る。

5年ぶりに訪れた金村駅前は変わり果てていた。

赴記 (おもむき)-金村駅外観

赴記 (おもむき)-金村駅構内


昔は、
上京するためセーラー服の女学生がローカル線に乗り、見送りに来た家族がホームで「きつかったらいつでも帰ってきんさい」とお守りを渡す。
走り出した列車に「菊ちゃ~ん!」という声。
ふと外を見ると田んぼの畦道を級友たちがいつまでも自転車で追いかけてくる。
菊子は窓から身を乗り出して白いハンケチを振った…
「みんな~!ありがと~!がんばって世界一のデザイナーになるけんね~!」

…そんな光景が繰り広げられそうなノスタルジックな駅だった。
しかし近代化した高架駅ではE.T.と自転車に乗らない限り見送りはできない。

5年前の苦労が嘘のように駅前にはタクシーがスタンバイ、シャトルバスを貸し切りで動かしてもらい、オドゥサン統一展望台に着いた。

この日は黄砂が酷く、以前より見晴らし良好とは言えなかった。

赴記 (おもむき)-北朝鮮2

赴記 (おもむき)-北朝鮮1


学生時代に南北分断について色々と考えていた母にとっては国を分かつイムジン河に特別な思いがあり、北朝鮮を目の当たりにしていたく感銘を受けていた。

明日のボケをどうするか、ネタ作りに明け暮れた私の学生時代とは雲泥の差である。

北朝鮮の展示物や生活を再現した部屋を楽しみ、平壌冷麺をいただいた。

赴記 (おもむき)-将軍様


赴記 (おもむき)-北朝鮮教室

赴記 (おもむき)-北朝鮮民家

赴記 (おもむき)-北朝鮮の衣類

赴記 (おもむき)-南北ジオラマ

赴記 (おもむき)-平壌冷麺

赴記 (おもむき)-統一念願室


赴記 (おもむき)-天へ馳せる願い


赴記 (おもむき)-段幕



さて金村駅までどうして帰ろうかと考えながら展望台を出た瞬間、もぎりのアジョッシに「テクシ?クムチョンヨク?」と声をかけられ、無線でタクシーを呼んでもらった。

かくしてスイスイと金村駅→ソウル/新村駅まで帰ることが出来たのだ。

五年という歳月。帰国後アルバムを開いて五年前金村駅で撮った写真を確認した。 変貌した田舎の駅にも、なにひとつ成長していない自分にも、時の流れの恐ろしさを感じた。


……。
赴記 (おもむき)-ハルモニ


帰りは新村で下車。「女子校育ち/辛酸なめ子著」を読みたてで梨花女子大に行けば華やかな学び舎に顔がニヤケる。

赴記 (おもむき)-学びの園

赴記 (おもむき)-麗しき聖堂


キッチュな学生街を散策し、初訪韓以来通い続けている、通称「角肉」でヤンニョンカルビを食す。大衆的であるのは変わらないが、何と壁に書かれたハングルメニューはなくなり、日本語まで記されたメニューが出来、ドラム缶席&風呂イスは激減、テーブル&背もたれ椅子が出来ていた!

赴記 (おもむき)-角肉店内

赴記 (おもむき)-ヤンニョンカルビ


その後は宿すぐ近くにあるチムジルバンでサウナ&垢すり。
「東廟スパレクス」には初めて行ったが館内はなかなか清潔で垢すりアジュンマの感じもよく、是非リピートしたい。

翌朝は穴場テジクッパの店へ。なかなかディープな店構えだが、美味しくて清潔で感じが良い。

赴記 (おもむき)-フンインテジクッパ

赴記 (おもむき)-テジクッパ調理場

赴記 (おもむき)-テジクッパ



歴史好きの母のために昌徳宮と故宮博物館へ。
至るところにつつじなどの花が咲き誇り、ただでさえ鮮やかな朝鮮建築に彩りを添える。韓国家屋で食べるサムゲタンも欠かせない。

赴記 (おもむき)-光化門

赴記 (おもむき)-玉座


赴記 (おもむき)-昌徳宮前整列位置
赴記 (おもむき)-昌徳宮重なる屋根
赴記 (おもむき)-昌徳宮屋根細部

赴記 (おもむき)-黄色い花と昌徳宮

赴記 (おもむき)-つつじ

赴記 (おもむき)-桃の花と昌徳宮

赴記 (おもむき)-土俗村個室


赴記 (おもむき)-サムゲタン


仁寺洞や清渓川のイベント、市庁前を散策し、

赴記 (おもむき)-Tシャツ群


赴記 (おもむき)-100W



明洞の外れでおいしいサムギョプサルをいただき、足りない私は韓国らしくコンビニでカップラーメンを作って食べた。


翌日、帰国。そして急遽社内の友人と広島旅行へ。

宮島の大鳥居の真下で、どう見ても我社の社員と鉢合わせる。
同行の友人も明らかにそうだと認めた。

挨拶しようと間近で目を3秒ほど見たが、彼は目をそらさず一切動じなかった。同じ事務所内で毎日一緒に働く人間を目の前にし、微動だにしないとなると、逆に何か余程やましい状況だったのだろうか…
一緒にいた女性はまさか嫁では…ない…?

連休明け、彼から皆にもみじまんじゅうが配られるだろうか。
私は同様に韓国土産を配り、彼を安堵させてあげよう。
「連休はソウルに行ってたもので!」と。
「広島行ってたんですか!私は久しく行ってないなぁ~。2日ほど!」と。

赴記 (おもむき)-ねこ
「女子校育ち」 辛酸なめ子著

この本の存在を知った時、買いに走らずにはいられなかった。

私は高校、大学と女子校に進み、就職後も百貨店下着売り場、受付、マナー講師と、女子だらけの職場で働いている。

女子校育ちは個性派揃い。なかなかできない経験を培った。

中学までは公立の共学校に通っていたが、一日も早く女子校に行きたくて仕方がなく、何かと縛りが厳しく男尊女卑の田舎の中学で行儀よく真面目なんてくそくらえと思いながらアウトロー扱いされる日々に耐えた。

入学をもぎとった女子校には、自分が求めていた以上の理想の世界があった。

まだ入学間もなくドキドキしていた頃、私の後ろの席のばーびーが、さっかんを「なー、えりちんげー」と呼んだ。

…これぞ言論の自由…!
彼女らは中学から女子校育ちなのである。

歴史あるお嬢様学校の母校は、校則こそ厳しいが、生徒の個性を尊重してくれる。

女子校での日々はひたすら楽しく、浮世離れしたお嬢様や、人間離れした妖怪など、個性豊かなクラスメイトに囲まれ、一生ものの誇り高い日々を過ごした。


女子校育ちは意外と陰湿ではなく、自分のことは自分でするのでタフで裏表がない。(男子の前で甘える奴などは干される)

むやみに美人になりたいなどと憧れたりせず、皆が自分の個性を大切にしている。(容姿を他人と比べず中身を重視する)

社会に出ても女子校育ちはだいたい見分けられるしノリが合う。

今でも集まるとつい賛美歌を歌う。(同級生の結婚式での新婦側友人はハウンド・ドッグ並に賛美歌を熱唱)

結婚の予定すらないのに、自分の子供を母校に入れるつもりでいる。


この本では調査範囲が首都圏なので、関西の女子校とは分類がやや違う。

母校を分類するならば「ハデ好き、個性派、笑い命。弱肉強食中性的お嬢様系」だろうか。


この本を読むと「そうそうそう!」と興奮してしまう。
共学育ちの方には「非現実的でアホらしい」と思われてしまうかもしれないが、女子校で過ごした突飛な経験こそ、今なお続く私たちの青春なのである。


ゴールデンウイークを読書に充てようとしている方、気が向けば一冊いかがでしょう。


私は読みながら通勤電車で笑いをこらえて奮え、引き笑いの末ブタ鼻になったので公衆の面前で読むことを断念した。


女子校、バンザイ!!

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